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社会的な孤立が生きがいの喪失につながる 社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」

キーワード: 一無・二少・三多 三多(多動・多休・多接) 「多接」多様なつながり 認知症

 国立社会保障・人口問題研究所は「生活と支え合いに関する調査」の結果を発表した。一人暮らしの高齢男性が孤立しやすいことや、会話や世間話の頻度の低い人では生活の困難を抱えたり、「長生きは必ずしも良いことではない」と考える割合が多くなることなどが分かった。
生活が困難な世帯は減少
 年金・医療・介護といった社会保障制度が確立された1960年代から半世紀を経て、日本では高齢者が増え、若い世代が減少しており、制度の見直しが迫られている。調査は、生活困難の状況や、家族や地域の支え合いなどを把握し、公的な支援が必要なのはどのような人なのかを調査し、社会保障制度を見直す材料にすることを目的に実施された。

 調査では、「平成29年国民生活基礎調査」の調査地区の中から300地区を選び、18歳以上の個人および世帯を対象に、▼暮らし向き、▼生活の困難、▼人と人とのつながり、▼就労の状況、▼「長生き」の評価、▼健康診断の受診状況――などを調べた。調査は2012年にも行っており、今回は2017年7月に実施。有効票数は世帯票1万369(有効回収率は63.5%)だった。

 調査では、食料や衣服の困窮、電気・ガス・電話代の未払い、家賃・住宅ローン・その他債務の滞納を経験した世帯は、前回調査に比べ減少したことが分かった。

 過去1年間で、家族が必要とする食料が買えなかった経験がある世帯は13.6%(2012年は14.8%)、衣服では15.0%(同20.0%)と前回より減少している。また、未払いや滞納のあった世帯の割合も前回に比べ低下し、電気料金が3.3%(同4.8%)、ガス料金が3.4%(同4.7%)、電話料金が3.2%(同5.0%)、家賃が5.0%(同6.6%)、住宅ローンが2.0%(同4.6%)、その他債務が4.9%(同8.9%)だった。

関連情報
就業者では健診受診率が高いが、高齢者や非就業者では低い
 過去1年間に健康診断を受診しなかった人は、全体で29.7%に上る。未受診者の割合は、40〜64歳では25%前後で比較的少なく、30歳代以下では30%前後、および65歳以上では30%を超えている。とくに85歳以上の高齢者では49.2%が過去1年間に健康診断を受診していない。

 就業の状況と年齢で区分してみると、未受診率は「65歳未満で仕事をしていない、かつ仕事を探している」人でもっとも高く58.1%、「65歳以上で仕事をしていない人」が37.9%となっている。会社などの事業所の健診(40歳以上では特定健診を兼ねることが多い)が、健診率の向上に重要な役割を果たしていることが示された。
65歳未満で求職中の人の6割近くが、過去1年間に健診を受けていない
社会から孤立すると、日常生活の不安が増える
 高齢者が社会から孤立した状況が続くと、生きがいを喪失したり、日常生活に不安を感じる割合が上昇することも示された。

 あいさつ程度の会話や世間話をどの程度するかという質問については、毎日会話している人の割合は91.2%に上った。性・年齢階級別にみると、60歳未満では、毎日会話する人の割合はいずれの年齢階層でも男性で90%以上、女性で95%以上と高い。

 一方で、60歳以上では、毎日会話する人の割合は男女ともに低くなる。その割合は年齢階級が高いほど低下し、とくにに80歳以上の男性では81.7%、女性では78.5%となり、大きく低下している。「2〜3日に1回」という人の割合も、80歳以上の男性では10.1%、女性では14.7%に上る。

 1ヵ月間にどのような人と話をしたかという質問に対して、「同居の家族・親族」と会話した人の割合は、10〜30歳代までは76.9〜86.4%と高いが、その後、50歳代から年齢が高くなるとともに低下し、80歳以上では65.8%となっている。

 65歳以上の高齢者に「長生きすることは良いことだと思う」かを聞いた質問では、会話の頻度が「毎日」である場合、「とてもそう思う」という回答が24.1%、「ややそう思う」が42.1%に上る。しかし、会話の頻度が「2週間に1回」以下に減少すると、「あまりそう思わない」が41.4%、「全くそう思わない」が9.8%に増える。
年齢層が上昇すると会話の頻度は減っていく

会話頻度が高いと「長生きすることは良いことだと思う」割合は上昇する
一人暮らしの高齢男性が孤立しやすい
 会話が少ないということは、社会的なつながりが少ないということであり、病気や介護などの生活上の危機の際にも、人の手が借りられないことにつながる。男性の高齢者で孤立が目立っており、調査では「頼る人がいない」という回答が多かった。

 日頃のちょっとした手助けについては、8割近くが家族・親族を、3割以上の個人が友人・知人を「頼れる人」と回答した。一方、頼れる人が「いない」と回答したのは7.4%だった。「日頃のちょっとした手助け」で頼る人がいないという人は単独世帯の高齢者では、男性では30.3%、女性では9.1%に上った。

 単独世帯の高齢男性では、「介護や看病」について70%弱の人が頼る人がいないか、あるいは、そのことで人に頼らないとしており、「日頃のちょっとした手助け」では頼る人がいないが30.3%、そのことでは人に頼らないが15.5%に上った。

 一方、単独世帯の65歳以上の女性では、「日頃のちょっとした手助け」がないと答えた人は9.1%にとどまり、「近所の人」を頼れる人として挙げる人の割合が相対的に高かった。
男性では生活上の困難を「自助努力で克服する」という人が多い傾向がある
世代間・世代内の「負担の公平化」を望む人が多い
 社会保障制度の利用については、「所得や保険料負担に関わらず、誰もが必要に応じて利用できるべき」と考える人が8割に上った。その割合は年齢が高くなるほど増加することが示された。

 日本の医療保険や介護保険では、所得などの負担能力に応じて負担する方法(応能負担)と、所得の高低や能力に関係なくかかった医療費などの一部を負担する方法(応益負担負担など)を組み合わせているが、制度内で世代間・世代内の「負担の公平化」を望む人が多いことが示された。
社会保障制度に関する考え方(年齢階級別)
国立社会保障・人口問題研究所
「生活と支え合いに関する調査(2017年)」結果の概要(国立社会保障・人口問題研究所 2018年8月10日)

(Terahata)

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