一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大

キーワード: CKD(慢性腎臓病) 睡眠障害

 慢性腎臓病(CKD)の患者数は増加している。CKDは、高額な医療費が必要な透析療法の原因になる。CKDの増加を抑制するために、睡眠の改善が重要なことが、大阪大学の研究で明らかになった。
慢性腎臓病 透析回避のカギは睡眠
 慢性腎臓病(CKD)は腎臓の働きが低下した状態や、尿の中にタンパクが漏れ出る状態の総称で、日本には1,000万人を超える有病者がいると推計されている。

 CKDが進行し、腎不全となり腎臓が機能しなくなると、それを代替する透析が必要となる。

 日本では、高齢化や生活習慣病の増加にともない、高額の医療費が必要な透析患者が増えている。CKD患者数を抑制するために、喫煙や運動不足などの生活スタイルの改善につながる治療戦略の確立が急務となっている。

 大阪大学の研究グループは、CKD患者を対象に睡眠とCKDの進行による透析導入リスクとの関連を検討し、CKD患者は睡眠の質が低いのに加え、睡眠時間が短いあるいは長いと、CKDの進行により透析にいたるリスクが高くなることを、1,601人のCKD患者を対象とした調査で明らかにした。

 「CKDを治療し透析を防ぐために、血糖や血圧のコントロールに加え、睡眠の改善も必要なことが示されました」と、研究者は述べている。

 研究は、大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平講師と大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学の猪阪善隆教授らの研究グループによるもの。詳細は、医学誌「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」オンライン版に掲載された。

関連情報
CKD患者1,600人を4年間追跡して調査
 短時間の睡眠などの睡眠障害は糖尿病や高血圧などのリスクとなり、CKDを予防・治療するために血糖や血圧のコントロールが重要であることが知られている。一方で、睡眠とCKDの関連についてはよく分かっていなかった。

 CKD患者と睡眠についての研究は、約400人を対象とした米国の小規模なものがあるのみだった。研究グループは、透析にいたるリスクの高い通院中のCKD患者について、睡眠がCKDの進行にどのような影響を及ぼすかについて明確にしたいと考えた。

 そこで研究グループは今回、国内17病院に通院中のCKD患者の大規模疫学研究であるCKD-JAC研究の参加者1,601人の4年間の追跡データを用いて、CKD患者における睡眠の重要性を評価した。

 「CKD-JAC(Chronic Kidney Disease Japan Cohort)研究」は、大阪大学医学部附属病院を含む国内17病院において実施されているCKD患者の大規模疫学研究。2007〜2008年にCKD患者約3,000人が登録され、現在も追跡中だ。
睡眠時間が短いと透析リスクが2.1倍に
 研究開始時にピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)というアンケートに回答し、睡眠の質と時間を評価することのできた患者を対象に、追跡開始から約4年間にどの程度CKDが進行し透析にいたったかを調べた。

 ピッツバーグ睡眠質問票は、睡眠の質を評価するために開発された調査票。18項目の質問から、7種類の睡眠要素(睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、睡眠薬の使用、日中覚醒困難)をそれぞれ0〜3点で評価し、その合計点を算出する。21点満点で6点以上だと睡眠の質が低いと評価される。

 参加した患者の平均睡眠時間は7.0時間で、37%がPSQI総合得点が6点以上だった。追跡期間中に透析にいたったのは282人だった。睡眠の質が低い患者が透析にいたるリスクは、正常の患者(得点が5点以下)の約1.3倍だった。

 また、短時間睡眠(5時間以下)の患者では、睡眠時間6.1〜7.0時間(平均6.9時間)に比べ、透析にいたるリスクがそれぞれ2.1倍に上昇した。さらに、長時間睡眠(8時間超)の患者でも、リスクが1.5倍に上昇した。
睡眠時間と透析にいたるリスクの関連
CKDを治療するために睡眠の改善が必要
 CKDを発症すると、CKDの原因である糖尿病や高血圧が動脈硬化を進行させ、またCKDそのものが血管にさまざまな障害を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが上昇する。CKDが認知症のリスクを高めることも分かってきた。

 CKDを治療するために、血糖コントロールや血圧コントロールが重要であることが知られるが、今回の研究でそれに加え、睡眠の改善も必要なことが示唆された。

 睡眠の質が低いCKD患者と睡眠時間が短いあるいは長いCKD患者は、透析にいたるリスクが高いことが示された。睡眠障害のあるCKD患者では、その原因を特定し、その原因に応じた治療を行うことによって、透析にいたるリスクを軽減できる効果を期待できるという。

 「日本人は外国に比べ睡眠時間が短く、睡眠が健康に与える影響がもっとも強い。5時間以下の短時間睡眠がCKDの発症のみならず、透析への進行のリスクであることが明らかになった。健康増進と医療費削減のために、十分な睡眠時間を確保することが重要です」と、研究者は述べている。

大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
Sleep Quality and Sleep Duration with CKD are Associated with Progression to End Stage KidneyDisease(Clinical Journal of American Society of Nephrology 2018年11月16日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ CKD(慢性腎臓病)

2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開 日本臨床内科医会
2019年01月17日
慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大
2018年12月10日
糖尿病のある人はコレステロール管理がより重要 米国でGLが改訂
2018年11月22日
慢性腎臓病(CKD)の要因は腎臓での「エネルギー代謝障害」 新たな治療法を開発
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」

疾患 ▶ 睡眠障害

2019年01月17日
慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大
2018年10月11日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条
2018年05月16日
「睡眠障害」が高血圧・糖尿病に関連 日本で最大規模の研究
2018年02月14日
【全国生活習慣病予防月間講演会レポート】「生活習慣病」と「がん」その予防に共通するキーワードは?
2017年05月02日
階段運動はコーヒーを飲むより効果的 たった10分の運動で活力が向上
全国生活習慣病予防月間2019少酒
糖とカロリーのお役立ちTips
新着ニュース
毎年2月は、全国生活習慣病予防月間
Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典