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子宮頸がんは2000年を境に増加 世界では31万人超が死亡 専門家は早期診断とワクチン接種を呼びかけ

キーワード: がん 女性の健康

 世界保健機関(WHO)は、子宮頸がんは「予防・治療が可能」という声明を発表し、大阪大学は、「子宮頸がんの8〜9割を予防できるHPVワクチンの導入が必要」という提言を発表した。
 同大学の調査によると、日本での子宮頸がんの罹患率は1976年から減少したものの、2000年以降は増加に転じている。
「根拠のないうわさが接種を妨げている」
 世界保健機関(WHO)は、子宮頸がんは「予防・治療が可能」と強調し、そのために「早期診断とワクチンの普及が欠かせない」としている。

 子宮頸がんは、主に性交渉で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症する。

 WHOによると、世界で2018年の子宮頸がんの新規患者は推定57万人。毎年31万人を超える女性が死亡しており、有効な対策を施さないと、この数は2040年までに46万人に増加すると予想している。

 子宮頸がんは、早期の発見・治療により、もっとも予防しやすいがんだ。国際がん研究機関(IARC)は、「HPVの感染を防止するワクチンの有効性と安全性ははっきりとしている」と強調。

 IARCは女子全員のワクチン接種を勧めている。ワクチンは9〜14歳の間に接種するのが効果的だ。成人女性にもがんリスク軽減のためスクリーニング検査などを推奨している。

 しかし、専門家らがHPVワクチンの安全性を繰り返し指摘しているにもかかわらず、「ワクチンに副作用の可能性があるとの根拠のないうわさ(Unfounded Rumours)により、接種を受けられない女性が多い」としている。
国際がん研究機関(IARC)が公開しているビデオ
「HPVワクチンで子宮頸がんと戦おう」

子宮頸がん発症リスクを減らすためにワクチン接種が重要
 日本でも、HPVワクチンの積極的勧奨は一時中止され、5年間以上が経過している。

 これにより、接種を受けられなかった女子の将来のHPV感染リスクが高くなり、それにともない子宮頸がん発症のリスクが高くなっている。

 子宮頸がん検診の受診率も非常に低く、罹患率や死亡者数は上昇している。日本では、毎年約9,000人が新たに子宮頸がんと診断され、約2,000〜3,000人が亡くなっている。
 大阪大学大学院医学系研究科の上田豊講師(産科学婦人科学)らの研究グループは、HPVワクチンの積極的勧奨が再開された場合に直面する課題への対応策を提言としてまとめ、発表した。

 「HPV感染リスクと子宮頸がん発症リスクを減らすためにはHPVワクチンの接種が重要」と、研究グループは強調している。

 厚労省の積極的勧奨が再開された場合に、(1)HPVワクチンの積極的勧奨一時差し控えによる子宮頸がん罹患リスク上昇の軽減、(2)積極的勧奨が再開された場合のHPVワクチン再普及、が課題となることを示している。

 そのうえで、研究グループは次の6点を提言している――。
(A)ワクチン接種を見送って対象年齢を超えた女子へ接種を行うこと
(B)子宮頸がんの8〜9割が予防できると考えられている9価ワクチンを導入すること
(C)HPVワクチンを見送った女子と同年代の男子へ接種を行うこと
(D)子宮頸がん検診の受診勧奨等による、積極的勧奨一時差し控えによる健康被害を軽減すること
(E)行動経済学的手法を駆使した接種勧奨にてワクチンの再普及を図ること
(F)メディアに正確な情報を提供すること

 「HPV感染リスクと子宮頸がん発症リスクを減らすためにはHPVワクチンの接種が重要。厚労省が積極的勧奨を再開する際にこれらの対策をとることで、子宮頸がん発症率の減少と、日本の女性の健康が守られることを期待している」と強調している。

関連情報
日本における子宮頸がんの動向を解析 2000年以降は増加
 大阪大学は、大阪府がん登録のデータを用いて日本における子宮頸がんの動向を解析し、その結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科の八木麻未特任研究員(常勤)、上田豊講師(産科学婦人科学)らの研究グループによるもので、詳細は「Cancer Research」オンライン版に掲載された。

 研究グループは、1976〜2012年の間に登録された大阪府がん登録のデータを利用して、子宮頸がんの種類別、年齢層別、進行ステージ別、治療方法別の罹患率を解析。

 その結果、日本では10万人あたりの年齢調整罹患率は1976年から有意に減少したものの、2000年以降は増加に転じていることが分かった。

 1976年の患者数は人口10万人当たり推計28人で、2000年に同9.1人に減ったが、2012年には同14.1人に増えた。早期がんの10年生存率は2003年以降、改善した。

 40歳未満で発症した世代をみると、全期間を通じて悪性度が高い「腺がん型」が増え、放射線が効きにくい傾向があった。5年生存率は40歳未満は56.2%で、40〜59歳の60.6%、60歳以上の69.1%に比べて低かった。

 また、サバイバー生存率を調べたところ、診断から1年生きることができた場合の5年生存率、診断から2年生きることができた場合の5年生存率と生存年数が上がるにつれ、サバイバー生存率は有意に上昇することが分かった

 一方でがんのステージ別に調べてみると、子宮頸部に臓器に限定される「限局性」および、隣接する臓器にがんが広がっている「隣接臓器浸潤」のケースでは、10年相対生存率が2003年以降に著しく改善している。

New toolkit to improve collection and use of data in cervical cancer programmes(世界保健機関 2019年2月4日)
HPV vaccination is safe, effective, and critical for eliminating cervical cancer(国際がん研究機関 2019年2月4日)
HPVワクチンの積極的勧奨再開後の課題と対応策を提言(大阪大学 2018年12月21日)
Epidemiological and clinical analyses of cervical cancer using data from the population-based Osaka cancer registry(Cancer Research 2019年1月11日)
大阪大学医学系研究科・医学部
3 risk factors for cervical cancer(ロマリンダ大学2019年1月29日)

(Terahata)

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