一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

「睡眠負債」は週末の寝だめでは解消できない 睡眠を改善するための6ヵ条

キーワード: セルフケア 身体活動・運動不足 疲労(休養不足)

 睡眠不足により、血糖を調整するインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が進みやすくなる。
 「生活スタイルを工夫することで睡眠は改善できます。週末の寝だめは解決策になりません」と、専門家はアドバイスしている。
週末の寝だめは睡眠負債の解消にはならない
 睡眠不足が続くと健康への悪影響が借金のように積み重なる「睡眠負債」を抱えてしまう。睡眠不足を放っておくと、肥満や2型糖尿病などの代謝疾患のリスクが高まる。

 睡眠不足は深刻な健康障害だ。平日に忙しくて十分な睡眠をとれなくても、週末に寝だめをすれば、睡眠負債を解消できるだろうか?

 専門家は「週末の寝だめは効果的な戦略になりません。毎日きちんと睡眠時間をとるのがもっとも効果的です」と答えている。
睡眠不足によりインスリン感受性が低下
 コロラド大学ボルダー校のケネス ライト教授(統合生理学)の研究では、睡眠不足が慢性化すると、夕食後に間食をとりたくなり、結果としてカロリー摂取量が増える傾向があることが示された。

 肥満や2型糖尿病などの代謝疾患に対策するために、睡眠不足を解消する必要がある。ただし、週末の寝だめだけでは効果は不十分だ。「週末の寝だめにより体重が増加したり、インスリン感受性が低下する傾向がある」という。

 今回の研究では、36人の健康な男女(平均年齢25.5歳)を対象に、睡眠パターンで3つの群にランダムに割り付けて、研究室で9日間観察した。

 1つ目のグループには毎晩9時間までの睡眠をとってもらい、2番目のグループには睡眠時間を5時間に制限してもらい、3番目のグループにはまず5日間にわたり睡眠時間を5時間に制限してもらった後で、週末には好きなだけ遅くまで寝てもらい、再び、睡眠時間を5時間に戻して2日間過ごしてもらった。

 その結果、睡眠不足だった2つのグループでは、血糖を調節するインスリンの感受性が低下する「インスリン抵抗性」が高まり、夕食後のカロリー摂取量と体重が増えていた。

 さらに、週末に睡眠時間を多くとると夕食後のカロリー摂取量は減少するが、ふたたび5時間睡眠に戻るとカロリー摂取量は増え、インスリン感受性が低下することが分かった。
睡眠時間を十分にとることが大切
 「今回の研究結果は予想していなかったものです。週末に寝だめをした人では、筋肉と肝臓に特異的なインスリン感受性が悪化していました」と、ライト教授は言う

 インスリン抵抗性が続くと、2型糖尿病のリスクが上昇する。慢性的な睡眠不足は糖尿病や肥満と関連が深いことは、これまでの研究でも示されている。

 「慢性的な睡眠不足は、疲れやすさ、集中力や注意力の低下、ストレスを高めるなど、メンタル面にも悪影響が及びます。毎日十分な睡眠時間をとることを心がけるべきです」と指摘している。

 米国睡眠医学会は、ひと晩に7時間以上の睡眠をとることを推奨している。しかし、「多くの人は十分な睡眠をとっていません。米国ではひと晩の睡眠時間が6時間未満という人が7,000万人に上るという調査結果があります」と、米国睡眠医学会会長のロナルド シャービン氏は言う。
20分の昼寝は効果がある
 「人から借りたお金は返済できますが、睡眠負債はそうはいきません。人によっては寝だめにも一定の効果はありますが、どうしても睡眠時間を確保できない場合は、20分の昼寝の方が効果的です」と、ミシガン大学睡眠障害センターのキャシー ゴールドスタイン氏(神経学)は言う。

 人の体は、1日ほぼ24時間の周期でリズムを刻んでいる体内時計の働きによって、夜には眠くなり、朝には目が覚めるようにコントロールされている。体内時計を調整するホルモンのひとつであるメラトニンが入眠を促している。

 一般的にメラトニンは午後9時を過ぎると分泌が増え、翌日の午前中に低下する。夜に眠りにつきにくいと感じるようであれば、体内時計に変調が起きている兆候だという。

 「1日に1時間、睡眠時間がずれただけでも、体内時計に影響が出てきます。最終的には毎日十分な睡眠をとることが目標です。そうすることで代謝や心血管、メンタル面での健康を向上でき、多くのメリットを得られます」と、ゴールドスタイン氏は指摘する。

 たった20分の昼寝であってもリフレッシュ効果を得られることが分かっている。また、休日も規則的な睡眠を心がけることで、体内時計のずれが大きくならず、平日の睡眠の質を改善することにつながる。
睡眠を改善するための6ヵ条
 睡眠を改善するために、ゴールドスタインは次の生活スタイルを勧めている。

・ 7〜8時間の睡眠をとるとることを目標に、スケジュールを調整する。就寝時間も一定にする。これを毎日続けることが大切だ。

・ 朝も一定の時刻に起き朝食とることで、体を目覚めさせる。朝に太陽の光を浴びて、運動するのも効果的だ。

・ 午後になったらカフェイン入り飲料を控え、夜もアルコールを飲み過ぎないようにする。これらは睡眠の質を低下させるおそれがある。

・ ウォーキングなどの運動を習慣的に行うとよく眠れるようになる。運動すると睡眠を促す神経伝達物質が増える。ただし、就寝の直前には行わない。できれば運動は午前や午後に行うと良い。

・ スマートフォンなどのブルーライトは、メラトニンの分泌を抑え、睡眠の妨げになる。スマホやタブレットなどの電子機器には、就寝の2時間前からさわらないようにする。

・ 寝室に入ったら、眠ることに集中する。仕事や雑務、悩みごと、コンピュータを使った作業などを、寝床にもちこまない。

Does extra sleep on the weekends repay your sleep debt? No, researchers say(Cell Press 2019年2月28日)
Ad libitum Weekend Recovery Sleep Fails to Prevent Metabolic Dysregulation during a Repeating Pattern of Insufficient Sleep and Weekend Recovery Sleep(Current Biology 2019年2月28日)
5 Tips for Better Sleep (Counting Sheep Not Required)(ミシガン大学 2017年3月14日)
A Sleep Expert's Shut-Eye Setback: Join Dr. Goldstein's Challenge(ミシガン大学 2017年3月7日)

(Terahata)

関連トピック

テーマ ▶ セルフケア

2019年09月12日
認知症患者を介護する家族は睡眠不足になりやすい 睡眠は保健指導で改善できる
2019年08月23日
「ワークライフバランス」の改善の効果 生活満足度は女性より男性で改善 34ヵ国を比較
2019年07月31日
「口から食べる」ことが健康維持に役立つ よく噛むとホルモン分泌が増える
2019年06月24日
座ったままの生活で死亡リスクは上昇 「1日30分、体を動かそう」
2019年06月12日
「生活にゆとりのない」家庭は食育に関心がない 子供の孤食や栄養バランス不足に親の生活習慣病が影響

生活習慣 ▶ 疲労(休養不足)

2019年10月17日
体重を3%減らすだけで肥満症を改善 肥満解消のための実践的取組み 【日本肥満症予防協会セミナー・レポート】
2019年09月12日
認知症患者を介護する家族は睡眠不足になりやすい 睡眠は保健指導で改善できる
2019年03月14日
「睡眠負債」は週末の寝だめでは解消できない 睡眠を改善するための6ヵ条
2019年01月17日
慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大
2018年10月11日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2019年12月06日
【2/5市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」参加者募集中!】全国生活習慣病予防月間2020
2019年10月10日
運動が体の老化を抑制するメカニズムを解明 骨に加わる力が炎症を抑制
2019年09月17日
毎日の家事が女性の寿命を延ばす 軽い身体活動を積み重ねると死亡リスクが低下
2019年09月11日
筋肉の質の低下を決める3つの要因が判明 高齢者の筋肉を維持するために 名古屋大学
2019年08月30日
筋力アップで糖尿病に対策 血糖値の上昇を抑える 週1回の筋トレで効果
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース
毎年2月は、全国生活習慣病予防月間
Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
乳がん治療と乳房再建の情報ファイル
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
大人の健康生活ガイド 30代以上の中高年者に関する健康情報を提供
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート
病気別BEST100サイト 知りたい病気の最新情報がすぐにわかる、病気サイトの百科事典