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糖尿病の人には筋肉を増やす運動が必要 運動は若さを保つための最善の策

キーワード: 糖尿病 身体活動・運動不足

 ウォーキングなどの運動を十分行っているつもりだが、最近、体重が増えてしまい、増えた分を減らすことができない・・・そう感じている人はいないだろうか?
 「40歳を超えたら、筋肉を減らさないよう、運動のやり方を工夫する必要があります」と専門家はアドバイスしている。
 運動を続けることで、実年齢よりも体を若く保つことができ、寿命を延ばせるという研究も発表された。
筋肉量は10年ごとに3〜5%減少
 「30歳を過ぎると、対策をしないと、筋肉量は10年ごとに3〜5%も減少してしまいます。筋肉減少は代謝に大きな影響を及ぼし、肥満や2型糖尿病のリスクを上昇させます」と、クリーブランド クリニック 機能医療センターのケヴィン ハイネ氏は言う。ハイネ氏は米国スポーツ医学会(ACSM)認定の運動生理学者(エクササイズ フィジオロジスト)だ。

 中年以降になると、若い頃よりも基礎代謝量(じっとしているときでも消費されるエネルギー量)が減っていく。1日の消費エネルギー量は、基礎代謝量と、活動や運動による消費エネルギー量の合計だ。

 筋肉はエネルギーの貯蔵庫でもあり、血糖値の調整を行う働きもする。食事をすると、血液中に増えた糖の一部は筋肉に取り込まれる。筋肉の量が減ると、血糖値が上昇したときに糖をためる場所が少なくなり、糖を調節する力が低下してしまう。

 筋肉が増やすことができれば、基礎代謝が向上し、体を動かしていないときのエネルギー消費も増やせるので、結果として1日の消費エネルギー量を増やすことができる。
加齢にともなう筋肉の減少を抑える
 「ウォーキングなどの有酸素運動は、内臓脂肪を減らす効果は高いのですが、それだけでは加齢にともなう筋肉の減少を抑えることはできません。筋肉に負荷をかけて行う筋力トレーニングを加えることをお勧めします」と、ハイネ氏は言う。

 米国スポーツ医学会は、筋力トレーニングを週に2回以上行うことを勧めている。階段の昇降だけでも筋肉を鍛える効果を期待できる。毎日2〜3階分程度を目安に階段の上りを習慣にすると良い。

 肥満はあるが筋肉は少ないという状態になると、体を安定して支えづらくなるため、関節に負担をかけたり、転倒しやすくなる。高齢者の場合は加齢により筋肉量がとくに低下しやすく、骨折や寝たきりになる危険性が高まる。

 「意識して筋肉を使うようにしないと、40歳を過ぎると自然に減ってしまいます。それを防ぐために効果的なのは、自身の体重に少し負荷を増やして行う"体重負荷運動"です」。
自分の体重を利用して筋力を維持・アップ
 ウエイトマシンなどを利用して筋力トレーニングを行うのは効果的だが、スポーツジムに通う必要があり、専門のスタッフによる指導も必要となる。そうした余裕がないという人が多い。

 「体重負荷運動」は、自分の体重を利用して効果的な筋力維持・アップをはかる運動。とくに下半身の筋力を向上させると、椅子から立ち上がる、歩く、階段を昇るといった日常の生活運動をスムーズに行えるようになる。

 大腿四頭筋は、膝の曲げ伸ばしに関わる太ももの筋肉で、歩行や椅子からの立ち上がりなど日常生活を行うのにもっとも必要だが、加齢とともに萎縮が生じやすい。自分の体重をかけて行うスクワットなどの運動をすると大腿四頭筋を鍛えられる。

スクワットのやり方
(1) 足を肩幅に広げて、つま先をやや外側に向けて立つ。背筋を伸ばし、手は腰に当てる。
(2) 前傾姿勢で息を吸いながらゆっくり腰を下げていく。太ももが床と並行になるのが理想的だが無理はしない。
(3) 息を吐きながらゆっくり立ち上がるが、ひざは完全には伸ばさない。
(4) (2)〜(3)を繰り返す。

■ 家庭でも行いやすい「貯筋運動」
 健康・体力づくり事業財団は、家庭でも行いやすい体重負荷運動として、「貯筋運動」を提唱している。
 貯筋運動は、▽いす座り立ち、もも上げ、▽カーフレイズ(ふくらはぎの筋トレ) 、▽立位での横への脚上げ、▽上を向いて寝た状態での上体起こしなどで構成される。
 大腿四頭筋や腓腹筋、腹直筋など、体を支える重要な筋肉を鍛えることができる。
貯筋運動 立位 アップ

 腎臓や心臓の病気を抱えている人は、運動に制限が必要な場合があるが、ほとんどの人にとって運動は有益だ。運動を開始する前に、あらかじめ医師に相談しておくと、安全で効果的な運動のやり方が分かる。
運動を続ければ健康に長生きできる
 運動テストを実施し、実年齢よりも体力テストにもとづく推定年齢の方が寿命を予測する因子としての精度が高いことが、クリーブランド クリニックが12万人超の患者を対象に行った調査で明らかになった。

 研究グループは、心臓病の検査のために1991〜2015年に受診した12万6,356人の患者に対し、トレッドミルで心臓に負荷を与えて体力を測定する運動テストを行った。テストでは、運動による心拍数の上昇と、そこからの回復を調べた。運動能力を調べる体力テストを行うことで、実際の体の状態を示す「体力年齢(A-BEST)」を算出した。

 参加者の平均年齢は53.5歳で、検査から平均8.7年追跡したところ、8%(9,929人)が死亡した。解析した結果、登録時の実年齢よりも体力年齢の方が、死亡の予測因子としてより精度が高いことが明らかになった。糖尿病や喫煙習慣、高血圧など、影響の大きい因子を調整してもこの傾向は変わらなかった。

 「実年齢が45歳でも、体力年齢が55歳であると、若死する危険性が上昇します。逆に、実年齢が65歳でも、体力年齢が50歳であれば、同年齢よりも長生きできる可能性が高まるのです」と、クリーブランド クリニックのサージ ハーブ氏は言う。

 欧州心臓病学会(ESC)の治療ガイドラインでは、喫煙習慣、コレステロール値、高血圧、2型糖尿病などの危険因子をチェックし、心血管疾患の発症しやすさを考慮し、推定年齢にもとづき治療を行うことを推奨している。

 「運動は健康に長生きするために必須であることが明らかになりました。運動パフォーマンスにもとづく推定年齢を患者に教えることが、患者の気付きを促すことにつながります。健康寿命を延ばすためにも、運動は欠かせません」と、ハーブ氏は強調している。

The Best Way to Stay Fit After Age 40(クリーブランド クリニック 2019年3月15日)
What’s age got to do with it?(欧州心臓病学会 2019年2月14日)
Estimated age based on exercise stress testing performance outperforms chronological age in predicting mortality(European Journal of Preventive Cardiology 2019年2月13日)

(Terahata)

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