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「1日10分程度」のウォーキングで死亡リスクは低下 忙しい人も心配はご無用 運動は限られた時間に行っても効果がある

キーワード: 糖尿病 がん 身体活動・運動不足

 ウォーキングやガーデニングなどのあまり激しくない身体活動を、週に60分未満しか行っていない場合でも、続けていれば、心血管疾患、がん、2型糖尿病などの予防・改善効果を得られることが、大規模な研究で明らかになった。
 短時間に運動強度を高める簡便な方法も開発されている。
忙しくて運動に時間をとれない? 心配ご無用
 活発な運動を長時間行うと効果的だが、たとえばランニング、サイクリング、スポーツ競技などは、心臓や足腰などへの負担も大きく、とくに高齢者にとっては危険がともなう。

 また、運動は毎日まとまった時間をとり運動をすることが理想的であっても、「毎日忙しくて運動に時間をとれない」という人が多い。

 「1日に10分程度の運動でも、続けていれば効果があります。それくらいの運動なら無理なく続けられるでしょう。もっともリスクが高いのは、まったく体を動かさないことです」と、研究者は述べている。

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週に60分間の運動が死亡リスクを低下
 中国の山東大学公衆衛生学院のボ シ教授らは、米国疾病対策センター(CDC)による全米健康聞取り調査(National Health Interview Survey)から1997〜2008年のデータを分析した。

 40〜85歳の成人8万8,140人を対象に、余暇の身体活動量を評価し、2011年までの死亡率のデータと関連づけて、身体活動量が死亡リスクにどれだけ影響するかを調べた。

 その結果、ウォーキングなどの運動を週に60分間行うだけで、まったく運動しない場合に比べ、死亡リスクは低下することが分かった。

 適度な身体活動を週に10分〜1時間行っている人では、座りがちな生活の人と比べて全死亡リスクは18%低かった。

 ただし、運動の時間が長いほど死亡リスクの低減効果はより大きく、また運動は少なくとも10分間は継続して行う必要があるという。
運動量を増やすと心筋梗塞や脳卒中のリスクはより低下
 米国の運動ガイドラインでは「週に150〜300分以上」の適度の運動をすることを勧めている。この条件を満たしている人では、全死亡リスクは31%低下した。

 さらに、全死亡リスクの低減効果に加えて、適度な運動を週に10分〜1時間行うと、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(CVD)による死亡リスクは12%、がんによる死亡リスクは14%低下した。

 身体活動の時間が長くなるのにともない、CVDによる死亡リスクは最大で37%、がんによる死亡リスクは最大で47%低下した。

 なお、運動は「有酸素運動」と「筋力トレーニング」を並行して行うと効果的だという。研究では、27%が筋力トレーニングを行っており、そうした人では高血圧、2型糖尿病、高コレステロール血症の割合が少なかった。
運動をまったくしないことがもっとも危険
 「働き盛りの世代の人のなかには、週に150分以上の時間を運動にあてるのが難しいという人が多い」と、研究者は指摘している。

 「短い時間の運動は時間効率的に有利です。運動にあまり時間をとれないという人も、運動強度を高めるなど工夫して、とにかく運動を続けることが大切です」と強調している。

 研究は、観察にもとづくものなので、「因果関係については確かな結論を導きだせない」としながらも、「もっとも危険性が高いのは、坐ったままの時間が長く、運動をまったくしないことです。運動ガイドラインは、運動をするために時間をとれないという人たちに対しても配慮するべきです」と、研究者は指摘している。
10分間に1,000歩を歩くのが目安
 運動は意識してプランを立てて行うと効果的で、運動に慣れてきたら徐々に運動強度を高めるのが好ましい。そのために、運動の量や強度をはかる尺度が必要となる。

 「メッツ/MET(またはMETs)」とは、運動や身体活動の「強度」を表す単位で、安静時(座って安静にしている状態)を1メッツとし、それぞれの身体活動がその何倍の強度に相当するかを示す。座ってテレビを見たり車に乗ると1メッツ、普通歩行は3メッツ、ジョギングは7メッツ、水泳は11メッツに相当する。3メッツの運動を60分行うと3MET・時となる。

 ただし、METで運動量や強度を計算するのが面倒に感じる人も多い。そんな人のためにより簡単な運動強度のはかり方を、マサチューセッツ大学公衆衛生大学院が考案した。

 21〜40歳の成人は1分間に約100歩で歩くのが中程度の運動で、1分間に約130歩を超えると激しい運動になるというもの。1分間の歩数が110歩であると4メッツに、120歩であると5メッツに、それぞれほぼ相当する。

 運動強度が中程度に達した後は、1分あたりの歩数が10歩増えると運動強度は1メッツ増すという。歩数については、たとえば15秒間の歩数を数えて4を掛けると1分間の歩数が分かる。
ウォーキングは低コストでもっとも取り組みやすい
 「ご自分の運動の強度を知るためには、1分間の歩数を測るだけで目安を得られます。歩数や心拍数を数えたり、面倒な計算や脈拍数の測定は、必ずしも必要ではありません」と、チューダー-ロック教授は言う。

 研究チームは、21〜40歳の5歳ごとの各年齢層に男性10人、女性10人ずつ配置し、合計80人を対象に、ウォーキングのリズム(1分あたりの歩数)と強度(代謝率)について測定した。

 「ウォーキングを行うとなると、ほとんどの人は毎分100歩以上のペースで歩くことが分かりました。ウォーキングは低コスト、低スキルで行え、もっとも実行しやすい運動です。しかも、健康増進に対する効果も大きいのです」と、チューダー-ロック教授は言う。

 現代人はテレビを見て、車に乗り、家ではリモコンに頼っている。生活の中で意識して運動する時間を作らないと、容易に運動不足に陥るという。「ウォーキングを続けていれば、運動ガイドラインの推奨を達成するのは難しくありません」と指摘している。

Even low levels of leisure time physical activity lowers risk of death(BMJ 2019年3月19日)
Beneficial associations of low and large doses of leisure time physical activity with all-cause, cardiovascular disease and cancer mortality: a national cohort study of 88,140 US adults(British Journal of Sports Medicine 2019年3月19日)
Walking for Health Benefits Just Got Easier to Track(マサチューセッツ大学 2019年1月31日)
Walking cadence (steps/min) and intensity in 21-40 year olds: CADENCE-adults(International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 2019年1月17日)

(Terahata)

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