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糖尿病の重症化予防 未来投資会議「全世代型社会保障」の糖尿病戦略

キーワード: 糖尿病

 政府は「未来投資会議」で、2型糖尿病などの生活習慣病の一次予防・二次予防への積極的に取り組みを促すため、保険者への財政支援を拡充する方針を示した。
 安倍晋三首相は「個人の努力に加えて、地方自治体や健康保険組合といった保険者の予防への取組みが重要。本年は全世代型社会保障元年。夏にとりまとめる成長戦略の実行計画に向けて、病気・介護予防についての保険者のインセンティブ強化策の具体的な検討を進める」と述べている。
一次予防・二次予防への積極的な取り組みを促進
 政府は「未来投資会議」で、2型糖尿病などの生活習慣病の一次予防・二次予防への積極的な取り組みを促す方針を示した。

 具体的には、まず病気の予防について、国民健康保険における保険者努力支援制度の抜本的強化と配分のメリハリを強化する。この際、民間サービスの活用も重要となる。これにより検診などの受診率の向上や、生活習慣病の重症化予防をはかるという。

 30兆円超の医療費のうち3分の1以上を生活習慣病関連が占める。2015年度の医科診療費は30兆461億円。そのうち糖尿病が1兆2,356億円、高血圧が1兆8,500億円、心疾患が1兆8,848億円、脳血管疾患が1兆7,966億円、がんが3兆5,889億円を占めている。

 予防医療の取り組みを強化し早期介入をして、患者の重症化を防ぎ医療費を抑制することが重要だ。たとえば、糖尿病患者の年間医療費は、重症化が進むにしたがって急増する。糖尿病の年間医療費は、合併症がないと年間5万円だが、腎症を発症すると25万円、腎不全となり透析が必要となると575万円に跳ね上がる。

 糖尿病性腎症の重症化予防の取組みは、市町村国保で差があるが、予防に成功している例も出ている。広島県呉市では、地元のベンチャー企業が、レセプトデータから国民健康保険加入者の健康状態を推計し、糖尿病性腎症の重症度合いの高い患者に対し、保健指導の介入を実施。これにより、6年間で新規透析導入患者を6割減少することに成功した。

 保険者の特定保健指導の実施率は、改善傾向にあるが、市町村国保で24.7%、協会けんぽで14.2%、保険組合で19.2%となっており、依然として目標を下回る。がん検診の受診率も、増加傾向を示しているものの、依然として4割〜5割程度にとどまっている。受診率を高めることが重要課題となっている。
個人の努力に加え、保険者・医療機関・企業・地方自治体の役割が重要
 政府はこうした状況に対策するために、医療・介護について、全世代型社会保障の構築に向けた改革を進めていく方針を打ち出した。まずは、70歳までの就業機会の確保などにあわせて、予防・健康インセンティブについて保険者努力支援制度や介護インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金)の強化を検討する。

 これに加え、生活習慣の改善・早期予防や介護・認知症の予防を通じて、生活習慣病関連の医療需要や介護需要が拡大するのを抑えることで、社会保障制度を持続可能なものにしていく考えだ。

 そのために、(1)病気や要介護になることを防ぐ1次予防、(2)病気になった後の早期治療や重症化予防等の2次予防――という2段階で取り組みを促す。個人の努力に加えて、個人を支える企業、保険者、地方自治体などの役割が重要となる。

 疾病予防では、地域や職域の保険者の役割が重要となる。保険者の予防・健康インセンティブの強化をはかることが必要。

 具体的には、国民健康保険には加入者の健康維持や予防の取り組みに応じ約1,000億円の公費を配分しており、2020年度予算案から段階的に増やす方向で検討する。健康保険組合は健康・予防の取り組みに応じ、高齢者医療向けの支援金の負担を増減させる。加減算の幅を17年度の0.23%から20年度に最大10%まで高める。

 介護予防でも、市町村や都道府県に配る交付金を、取り組みの実績を評価して加減。保険者(市町村)や都道府県の介護予防への取組状況について評価を加え、保険者や都道府県に交付金を交付する介護インセンティブ交付金を設ける。

 また、総合的な社会保障改革を進めるなかで、予防健康事業においてウェアラブル機器やデータなどを活用した優れた民間サービスの活用を進め、(1)個人の健康改善、(2)担い手の増加、(3)成長産業の育成にともない、経済社会を活性化させる改革を進める。
日医は「健診データの一元化による健康管理や日本健康会議の取り組み」を強化
 日本医師会(日医)の横倉義武会長は記者会見で、政府の未来投資会議が議論している予防・健康づくりの方向性について、日医の見解を示した。

 「人生100年時代を迎えて病気予防や介護予防の役割が増加しており、健康寿命の延伸、個人のQOLの向上、高齢者の活躍促進といった多面的な意義がある」という政府の見解について、「これらのことは未来投資会議に設置されている産官協議会にも、日医の役員が常時オブザーバーとして出席し、主張してきたことである」と説明。

 横倉会長は「日医は、かかりつけ医が予防・健康づくりに積極的に関わることが必要だと考えている」と強調。人生100年時に向けた具体的な取り組みとして、宮城県など6県で立ち上げられている地域版日本健康会議を他の都道府県でも立ち上げるための活動や、会内に予防・健康部門に一体的に取り組む部署を設置して推進していることなどを紹介。

 日本医師会は昨年9月には、埼玉県医師会、埼玉県とともに「かかりつけ医の糖尿病診療の推進と重症化予防に向けた連携協定」を締結。3者が連携して糖尿病の重症化予防に取り組み、健康寿命の延伸を目指している。

 今後も、(1)健(検)診データの一元化による生涯を通じた健康管理、(2)経済団体、医療団体、保険者、自治体等から成る日本健康会議の取り組みなどによる健康寿命の延伸――などに力を入れていく方針を打ち出していくという。

 「日医として、健診データの一元化による健康管理や日本健康会議の取り組みなどを通じて、健康寿命の延伸ができるよう、予防・健康づくりを引き続き進めていきたい」と述べている。

第25回未来投資会議(首相官邸)
日本医師会

(Terahata)

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