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「糖尿病性腎症」の重症化予防を強化 自治体向けに手引きを作成 厚生労働省

キーワード: 糖尿病 CKD(慢性腎臓病)

 厚生労働省は、「糖尿病性腎症重症化予防に関する事業実施の手引き」の公開を開始した。自治体が糖尿病性腎症の重症化予防に積極的に取り組むための具体的な手法を紹介している。
糖尿病性腎症の重症化予防に対する取組みが本格化
 糖尿病性腎症の重症化予防に対する取組みが本格化している。国は国保制度における保険者努力支援制度などを実施。

 国が定めた「健康日本21(第2次)」では、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少を数値目標として掲げられ、さまざまな取組が進められている。

 また、2015年に日本健康会議で採択された「健康なまち・職場づくり宣言2020」の中でも、重症化予防に取り組む自治体数の増加を目標としている。

 その結果、日本健康会議の宣言として掲げられた達成要件を満たしている市町村数は1,003市町村、後期高齢者医療広域連合数は31広域連合と拡大している(2018年時点)。

 厚生労働省はこれまで、▼「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の策定、▼日本医師会および日本糖尿病対策推進会議との「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」の締結、▼糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定、▼「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して」のとりまとめなどを実施。

 報告書では、長野県松本市、埼玉県および埼玉県所沢市・志木市、東京都足立区での糖尿病腎症重症化予防の先進事例を紹介。
かかりつけ医や専門医と保健師・管理栄養士が連携
 自治体が行う糖尿病性腎症重症化予防事業の目的は、
(1)糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関未受診者・受診中断者に対して、適切な受診勧奨、保健指導を行うことにより治療に結びつけること、
(2)糖尿病性腎症などで通院する患者のうち、重症化リスクの高い者に対して主治医の判断により保健指導対象者を選定し、腎不全、人工透析への移行を防止することだ。

 自治体が重症化予防の事業に取り組む理由として、
(1)糖尿病性腎症が重症化すると患者にとって著しいQOL(生活の質)の低下や健康寿命の短縮をきたす。全国で毎年1.6万人以上の新規透析患者が発生し医療費増大をもたらす点でも健康課題として重要、
(2)糖尿病性腎症は、重症化に至るプロセスで、健診やレセプトで把握しやすい疾患、
(3)適切な医療受診や生活改善などにより改善効果が示されており、保健師・管理栄養士などの専門職がかかりつけ医、専門医などとともに対応可能、
(4)対象者の抽出から事業評価まで、国保データベース(KDB)などの活用により効率的な運用が可能、
(5)医療保険者の保健事業として財源確保を行いやすく、国の支援もある
――といったことが挙げられる。

 一方で、重症化予防に取り組んでいる市町村などでは、▼保健指導の対象者の抽出でレセプトを用いている保険者が少ない、▼アウトカム指標で評価する保険者が少ないなど、取組の内容にはばらつきがみられる。

 その背景として、具体的な取り組み方がよく分からないという自治体関係者の声もある。

 そこで厚労省では実践事例などを収集・参照しながら、実用的な手引き書をまとめた。
国保データベース(KDB)の健診データ・レセプトデータを活用
 自治体の重症化予防事業の基本的な取組みは、体制整備(庁内連携、地域連携)・事業計画(Plan)、事業実施(Do)、事業評価(Check)、改善(Action:次年度事業の修正)という、PDCAサイクルで示される。

 重症化予防プログラムでは、重症化予防の取組みを広げ、質を確保するため、対象者の抽出や、関係者との連携や評価などを、PDCAサイクルに沿って事業を進めるための基本的事項をまとめている。

 具体的には、▼健康診査データ・レセプトデータなどで抽出されたハイリスク者に対する受診勧奨、保健指導、▼治療中の患者に対する医療と連携した保健指導、▼糖尿病治療中断者や健診未受診者に対する対応が行われる。

 国保データベース(KDB)などを活用して、糖尿病性腎症の対象者を把握し、受診勧奨対象者・保健指導対象者を合わせた糖尿病性腎症の対象者の把握が行われる。

 KDBには、被保険者の健診・レセプトデータが格納されており、事業対象者の抽出、事業対象者の経年的なデータ抽出などが可能だ。全国9割以上の市町村保険者および広域連合は、KDBを活用している。
糖尿病未治療の人、治療を中断している人にも対応
 糖尿病性腎症による新規透析導入患者を減少させるには、以下のような3段階での取組が必要となる。
(1)糖尿病性腎症予防の必要性を本人が十分理解した上で定期受診を継続するとともに、生活習慣を改善する(健康的な食生活、適度な身体活動、適正飲酒、禁煙など)。
(2)医療と連携して血圧や血糖、脂質のコントロール、腎機能維持を目指し、薬物治療や保健指導を行います。感染症対策などの日常の衛生管理を行うとともに、多剤を併用している場合は服薬指導を行うことも重要となる。
(3)以上の取組から腎機能低下を防止し、また対象者自身のQOL向上や生活機能低下防止につながっているかを確認しながら、継続的な関わりの中で包括的に支援していく。

 「糖尿病未治療の人、治療を中断している人」に対しては、日本糖尿病協会が発行している「糖尿病連携手帳」を各医療機関で配布して、糖尿病治療医療機関を紹介、あるいは市町村担当者への連絡が速やかに行えるよう、紹介システム体制の整備が行われる。

 保健指導は、電話などによる指導、個別面談、訪問指導、集団指導などを実施手段とし、具体的に検討される。
「糖尿病療養指導士」「腎臓病療養指導士」と連携
 自治体が行う保健指導の強みは、
(1)保有する健診・レセプトデータから「未治療」「治療中断」「コントロール不良」の人を抽出し継続的に追跡できる、
(2)対象者の日常生活をふまえて地域包括支援センターや福祉サービス、職域などの他部門、他機関と連携した包括的な支援が行えるということだ。

 さらに、地域の中核的医療機関の専門医、「糖尿病療養指導士」(糖尿病について高度で幅広い専門知識をもち、患者のセルフケアを支援するための資格)や「腎臓病療養指導士」(腎臓病の療養指導に関する知識をもつ医療従事者のための資格)などとの連携や、栄養士会などの職能団体との連携を拡大できれば、より包括的な地域連携を構築することが可能となるとしている。
厚生労働省が公開しているビデオ
糖尿病性腎症について「知って備えよう!糖尿病性腎症」
糖尿病性腎症重症化予防の推進に向けた広報事業(厚生労働省)

医療保険者によるデータヘルス/予防・健康づくり(厚生労働省)

(Terahata)

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