一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

米を食べると肥満に対策できる 1日2杯のごはんが肥満度を低下 136ヵ国を調査

キーワード: 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム がん 食生活

 米を多く摂取する国では肥満リスクが低下することが、日本の研究チームが136ヵ国を対象とした国際調査で明らかにした。
 1日あたり150g(およそ茶碗2杯、カロリーは約530kcal)の米を食べると、肥満度が低下するという。
1日50g増やしただけで肥満リスクが1%減
 米の摂取量が多い国(平均150g/日)では肥満が少なく、米の摂取量が少ない国(平均14g/日)は肥満が多いことが、136ヵ国を対象とした国際調査で明らかになった。詳細は英国のグラスゴーで開催された欧州肥満学会(EASO)の年次学術集会で発表された。

 総カロリー摂取費、教育、喫煙、1人当たりの国内総生産、医療費、生活スタイル、社会経済的な要因を調整した後でも、米の摂取量と肥満は関連があることが示された。

 米の摂取量を、1人当たり50g/日とわずかに増やしただけで、肥満リスクを1%減らすことができるという。研究チームは、世界の18歳以上の大人の肥満の数を、6億5,000万人から6億4,350万人に減らすことができると推計している。精白米150gを炊いて水稲めしにすると、およそ茶碗2杯分に相当し、カロリーは約530kcal。

 研究は、同志社女子大学の今井智子教授らによるもの。「米を主食として食べる国では肥満者の割合が低いことが示唆されている。そのため、米をベースにした日本食やアジアの食事スタイルは肥満を予防する助けになるだろう。世界的に肥満度が上がっているため、肥満対策のために、より多くの米を食べることが推奨される」と、今井教授は述べている。
米と肥満の関連 136ヵ国のデータを調査
 EASOによると、世界の成人のうち、2億人以上の男性と3億人近くの女性は肥満だ。世界の20歳以上の成人のうち、35%以上が過体重で、11%が肥満だ。

 過体重や肥満は、2型糖尿病の44%、虚血性心疾患の23%、がんの7〜41%に影響している。過体重や肥満が原因で死亡する人の数は年間280万人以上に上り、世界の死亡リスクの第5位に位置づけられている。

 日本でも食の欧米化が進んでいるが、米を中心とした食事スタイルが推奨されることは、欧米諸国にも当てはまるという。

 これまでの研究で、食物繊維と全粒穀物を多く摂取している人では、あまり摂取していない人に比べ、肥満が少なくコレステロール値も低く、2型糖尿病などの非感染性疾患(NCD)などのリスクが低いことが知られている。しかし、米の摂取と肥満の関連はよく分かっていなかった。

 そこで研究チームは、国連食糧農業機関(FAO)の人口が100万人以上の136ヵ国のデータを使用し、食事の米(白米、玄米、米粉を含むすべての米製品)の相対的なカロリー摂取量(g/日)とカロリー消費量(kcal/日)の関連を調べた。
全粒穀物は脂肪が少なく血糖上昇を抑えられる
 肥満率、教育年数、65歳以上の人口、1人当たりの国内総生産(GDP)、医療費によってデータを解析し、米の摂取量によって2つのグループに分類した。

 その結果、米を多く摂取している国の順位は、(1)バングラデシュ(473g/日)、(2)ラオス(443g/日)、(3)カンボジア(438g/日)、(4)ベトナム(398g/日)、(5)インドネシア(361g/日)となった。逆に少なかった国は、(89)イギリス(19g/日)、(87)米国(19g/日)、(81)スペイン(22g/日)、(77)カナダ(24g/日)、(67)オーストラリア(32g/日)などだった。

 米を多く摂取している国では、総カロリー消費量、喫煙率、肥満率、65歳以上の人口、GDP、教育、医療費などが比較的低レベルであることが分かった。

 米を多く食べると、体重増加からの保護効果を得られることが示された。全粒穀物に含まれる食物繊維、ビタミンやミネラルなどの栄養素、植物性化合物は、満腹感を高め、食べ過ぎを防ぐことにつながる。米も脂肪が少なく、食後の血糖上昇も比較的抑えられる。

 「米の摂取量を適切にすることで、肥満を予防できる可能性があります。一方で、米を過剰摂取するとメタボリックシンドロームや2型糖尿病の発症リスクが上昇するという報告もあります。食べ過ぎには注意が必要です」と、今井教授は言う。

 今回の研究では、米の摂取と肥満の関係は国レベルで解明されていないので、「さらなる調査が必要」と研究者は述べている。横断研究だけでは交絡因子の結果として、誤った関連性が導かれるおそれがあるが、米の摂取と肥満の関連は、生活スタイルや社会経済的な因子を調整した後でも示された。

 研究者らは、米の摂取が個人でも肥満率の改善につながることを縦断研究で確かめることを目指している。

International study suggests that eating more rice could be protective against obesity(欧州肥満学会 2019年4月30日)
Obesity Statistics(欧州肥満学会)
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ がん

2021年01月14日
【セミナーレポート】今こそ“栄養のすすめ”−ウイルス、癌、認知症に打ち克つ力を!−Web配信中! 健康と長寿によって、活力ある未来社会の実現を目指す「世界健康フォーラム2020」
2020年12月14日
【新型コロナ】がん検診の受診者が減少 このままだと死亡リスクが上昇 コロナ下でも「がん検診は必要」
2020年12月14日
肥満や糖尿病に「コーヒー・緑茶・アルコール」は良い・悪い? どれくらい飲むと健康効果を期待できる?
2020年11月26日
ウォーキングなどの運動が体と心を健康にする がんサバイバーにも恩恵 どんな運動が良いのか?
2020年11月26日
乳がんサバイバーの体験・悩み・知恵をAIで共有するエピソードバンクを開発 大学と患者グループが共同で運営

疾患 ▶ 糖尿病

2021年01月28日
【健やか21】「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ 」の提言(⽇本産婦⼈科感染症学会・⽇本産科婦⼈科学会)
2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
【Withコロナ時代】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
「肥満」の原因は自分だけのものではない 子供時代の虐待体験も成人後の肥満に影響 2万人を調査

疾患 ▶ 肥満症/メタボリックシンドローム

2021年01月28日
【健やか21】「COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ 」の提言(⽇本産婦⼈科感染症学会・⽇本産科婦⼈科学会)
2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
【Withコロナ時代】運動・スポーツを通じて健康二次被害を防ぐポイントは? スポーツ庁がガイドラインを公表
2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
「肥満」の原因は自分だけのものではない 子供時代の虐待体験も成人後の肥満に影響 2万人を調査

生活習慣 ▶ 食生活

2021年01月15日
【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
2021年01月15日
日本人に「低炭水化物ダイエット」は効果がある? 肥満やメタボの食事療法としては勧められる?
2021年01月15日
【健やか21】「子どもの食育を考えるフォーラム」がWeb開催(日本小児医療保健協議会)
2021年01月14日
【セミナーレポート】今こそ“栄養のすすめ”−ウイルス、癌、認知症に打ち克つ力を!−Web配信中! 健康と長寿によって、活力ある未来社会の実現を目指す「世界健康フォーラム2020」
2020年12月24日
【新型コロナ】年末年始は「真剣勝負の3週間」 みんなで危機感を共有しコロナ収束の突破口に
全国生活習慣病予防月間
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート