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血糖値スパイクは「隠れ糖尿病」 朝食を工夫して食後に血糖値を上げない

キーワード: 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 がん 認知症 セルフケア 食事

 食後の短時間に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」。放置しておくと動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞、脳梗塞、がん、認知症などのリスクが上昇する。簡単な方法で「血糖値スパイク」を改善できることが分かってきた。
食後にぐったりするのは「血糖値スパイク」が原因かもしれない
 食後の短時間に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」。放置しておくと動脈硬化が進み、血管がいたみやすくなり、炎症や酸化ストレスを起こりやすくなる。最近の研究では認知症の進展にも関連があることが分かってきた。

 糖尿病は慢性的に血液中のブドウ糖が増え過ぎて、血糖値が高い状態が続くことで、体に不調をもたらす病気だ。さまざまな要因により影響を受ける「血糖」に日頃から関心をもち、自分の「血糖値」の変動を知ることが重要となる。

 血糖値は常に変動していて、糖尿病と診断されていない人でも食後の血糖値が140mg/dL以上になることは珍しくない。こうした食後1〜2時間程度の血糖値の上昇は「血糖値スパイク」と呼ばれる。

 食後にぐったりして椅子で座ったままになったり、眠気を感じるほど疲労感があることはないだろうか。全体的に元気を感じられなければ、「血糖値スパイク」を疑った方がいいかもしれない。

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食後2時間血糖値が140mg/dLを超えると要注意
 空腹時血糖値と食後血糖値の差が大きかったり、食後に血糖値が大きく上昇すると、血管がダメージを受け、動脈硬化や糖尿病の合併症が進みやすくなる。放っておくと心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの合併症が進展しやすくなると考えられている。

 国際糖尿病連合(IDF)がまとめた「食後高血糖の管理に関するガイドライン」では、食後2時間血糖値が140mg/dLを超える場合は対処が必要だとされている。

 欧州での13件の前向きコホート試験から得たデータをもとに検討した「DECODE Study」では、食後高血糖が死亡リスクを高めることが示された。糖尿病患者の空腹時血糖値と死亡リスクの相関をみたとき、糖負荷後2時間血糖値が高いと、心血管病、虚血性心疾患、脳卒中、全死亡のリスクがそれぞれ上昇することが明らかになっている。
健康診断で見逃されやすい「隠れ糖尿病」
 「血糖値スパイク」は、一般的な健康診断では見逃されやすいため、「隠れ糖尿病」とも呼ばれる。医療機関で検査を受けることが大切だ。

 糖尿病の検査や健診などで多く行われているのはHbA1c検査だ。HbA1cは過去1〜2ヵ月間の平均血糖値をあらわす指標で、測定時点から過去にさかのぼって一定期間の平均的な血糖レベルをひとつの数値であらわすものだ。一般的にはHbA1c 6.5%未満を基準としている。

 しかし、HbA1cだけでは、血糖の日内変動や日差変動は把握できないので、「血糖値スパイク」や低血糖を見逃すことになる。

 食後高血糖を知るための方法として、糖負荷試験(OGTT)がある。OGTTは、水に溶かした75gのブドウ糖を飲んで、血糖値を2時間後まで時間を追って測る検査。食後の血糖値の変動を正確に知ることができる。

 もっと手軽な方法としては、血糖自己測定(SMBG)がある。食後1〜2時間後に血糖値をはかり、得られた測定値をノートに記録しておくと役に立つ。
CGMなら血糖の日内変動が分かる
 また近年、持続グルコース測定(CGM)が治療で使われるようになり、血糖変動の全体像が分かるようになった。血糖の日内変動(血糖値の1日の中での上がり下がり)が複雑であることが、CGMにより明らかになっている

 CGMは、お腹などに専用のセンサーを装着し、24時間連続で血糖の日内変動傾向などをみる検査。血糖値そのものではなく、血糖値と近い動きをする間質液中のグルコース濃度を測定する。

 CGMであれば、見逃されがちな食後高血糖を詳細に調べることができる。ただし、CGMの検査については、保険診療上の算定要件がある。
「血糖値スパイク」は健康な人でも危険?
 糖尿病ではない健康な人でも、「血糖値スパイク」が多くみられることが、スタンフォード大学医学部の研究で明らかになった。食事スタイルを工夫することで、「血糖値スパイク」を改善することは可能だという。

 研究グループは、糖尿病の診断歴がない健康な成人57人(年齢中央値は51歳)を対象に、CGMを2〜4週間装着してもらい、血糖変動のパターンを調べた。次に、参加者を血糖変動の大きさで3つの群(変動が小さい群、中程度の群、大きい群)に分けて比べた。

 その結果、1日を通した血糖値の動きは、空腹時血糖値や食後2時間血糖値、HbA1c値などと関連していることが分かった。血糖値が正常な人や糖尿病の前段階にある人でも、日内変動のパターンが大きい場合があり、そうした人では糖尿病へ進展するリスクが高いことが明らかになった。
糖質のみの食事は危険
 また、研究グループは25〜65歳の30人(男性10人)を対象に、CGMを装着した上で3種類のタイプの朝食をとってもらい、血糖変動への影響を調べる研究も行った。

 朝食として、(1)コーンフレークと牛乳(糖質が多く食物繊維が少ない)、(2)ピーナッツバター・サンドイッチ(タンパク質と脂肪が多い)、(1)プロテインバー(タンパク質と脂肪を調整してある)を食べてもらった。

 その結果、コーンフレークと牛乳を食べたグループの80%の人で、食後血糖値が上昇したことが分かった。血糖変動の観点からみると、体へに吸収の早い糖質のみが含まれる朝食は勧められないことが示された。

 「健康診断で糖尿病を指摘されなかったからといって、安心はできません。実は血糖値が大きく上下している場合があるからです。しかもご自分ではそのことに気が付かないのです」と、スタンフォード大学医学部のマイケル・スナイダー氏は言う。
タンパク質や食物繊維を十分に摂ることが大切
 カナダの研究によると、低糖質で高タンパクの朝食が、その日の血糖値の変動を正常にコントロールするのに役立つ可能性があるという。

 「典型的な西洋式の朝食は、シリアル、オートミール、トースト、フルーツなどですが、これらは手軽に食べられる一方で、糖質がとても多く食物繊維が少ないので、食後血糖値を上昇させやすいのです」と、ブリティッシュコロンビア大学健康運動科学部のジョナサン リトル氏は言う。

 研究グループは、2型糖尿病の人を対象に2日間の実験を行った。1日目には朝食にタンパク質の多いオムレツとサラダを食べてもらい、2日目には糖質の多いオートミールとフルーツのみを食べてもらい、それ以外の食事は同じものを摂ってもらい、1日の血糖値の変動を比較した。

 その結果、朝食の糖質を含む炭水化物のエネルギー比を50%以下にし、血糖値を上げにくいタンパク質や食物繊維を含む食品を十分に摂ることが、食事の血糖値上昇を防ぐのに有利であることを明らかになった。
食事の「食べる順番」を調整するのも効果的
 食事の「食べる順番」を調整して、米飯の前に、魚や肉料理、野菜をとると、胃の運動がゆるやかになり、食後血糖値の上昇が改善することは、日本の関西電力医学研究所のグループの研究でも明らかになっている。

 食物繊維に富んだ穀物の摂取量を増やすことも糖尿病リスクの抑制につながる。主食となる穀物を全粒粉や玄米などに変えると、食物繊維を多く摂取できる。

 米が精白される過程で、外皮、内皮、胚芽など、ビタミンやミネラルを多く含む部分が削りとられる。同時に食物繊維も失われる。食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑えるので、糖尿病を抑制するのに有用だ。

 「朝食は糖質に偏らないようにし、タンパク質も含めてバランスの良い食事をとることが、1日を通じて血糖コントロールに有利であることが分かりました。朝食で糖質を抑えると、その日を通じて高カロリーの食品に対する欲求も抑えられる傾向が示されました」と、リトル氏は指摘している。

食後血糖値の管理(国際糖尿病連合)
Diabetic-level glucose spikes seen in healthy people(スタンフォード大学 2018年7月24日)
Glucotypes reveal new patterns of glucose dysregulation(PLOS Biology 2018年7月24日)
UBC researchers say eggs for breakfast benefits those with diabetes(ブリティッシュコロンビア大学 2019年4月10日)
Restricting carbohydrates at breakfast is sufficient to reduce 24-hour exposure to postprandial hyperglycemia and improve glycemic variability(American Journal of Clinical Nutrition 2019年4月9日)

(Terahata)

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