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企業向け「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」 がん治療と仕事の両立 心がけるべき7ヵ条とは?

キーワード: がん

 国立がん研究センターは企業向け冊子「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」を作成し、ホームページで公開を開始した。大企業編と中小企業編があり、治療と仕事の両立支援のポイントや、企業での実施例などを紹介している。
がんは共生する疾患になった
 2018年に新たにがんと診断された患者数は約101万人。がんは、高齢になるほど発症数が増えるが、就労世代(15〜65歳)でも多い疾患だ。がん患者の約3割は就労世代に発症している。

 社会の高齢化にともないい、社員の高年齢化は避けられない。また、30〜40歳代では、がんにかかる女性の割合が高くなる。

 がんと診断される社員が増える一方で、医療の進歩によってがんは治る、もしくはかなり長期にわたる安定状態を期待できる病気になってきた。がんの5年相対生存率は男女計で62.1%(男性59.1%、女性66.0%)で、年々伸びてきている。

 さらに、内視鏡手術などの普及で手術の身体への負担が少なくなり、入院期間は短くなった。抗がん剤や放射線治療も、現在は副作用をかなり抑えられるようになり、通院で治療するケースが増えている。
がん対策は健全な経営に欠かせない
がんになっても働ける職場づくりガイド
国立がん研究センター

大企業編

中小企業編
 「がんは重篤な疾患であり、長期の療養を必要とし、就労は困難」という誤解は少なくないが、実際にはがんの適切な治療を受けた患者の多くが社会や職場へと復帰している。

 医療の進歩により、仕事への早期復帰や、治療をしながら働き続けることが、可能になった。いまやがん対策は、企業として欠かせない経営課題となっている。

 ガイドブックでは、「会社側が少しだけ柔軟に配慮すれば、貴重な人材を失わずに済みます」と指摘。

 通院のために有給休暇を半日や時間単位で取得できたり、時差出勤で通勤ラッシュを避けられたりするだけで、働き続けられる場合が多い。「がん対策は健全な経営に欠かせない」と強調している。
実際にがんの治療をしながら働き続けた事例を紹介
 ガイドブックでは、実際にがんの治療をしながら働き続けた人たちの事例や企業の取り組み例について紹介。

 「がんと就労にかかわる情報を収集して、今できることから始めましょう」と呼びかけている。企業が取り組むべき具体的な行動として下記を挙げている。

(1)がんと就労について情報を集める
 がんに限らず、病気の治療と仕事の両立についての基礎知識を得るために、厚労省サイトの「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」などに目を通すことを勧めている。

(2)支援制度を総点検
 「有給休暇制度」「有給休暇の積立制度」「病気休職制度」などが治療の助けになる。治療を受けながら働くためには、「時短勤務制度」「フレックスタイム制度」「在宅勤務制度」などが有効だ。

(3)社内に情報を広める
 がんと診断された社員が最初に相談するのは、多くは直属の上司だ。管理職には、がんの正しい知識、がんにかかった社員への対応の仕方、利用できる制度などを知っておくことが勧められる。
 管理職研修で、グループワークやロールプレイを使った実践的な研修を行った例などを紹介。

(4)話をしやすい職場の雰囲気づくり
 相談しやすい職場にしていくためには、話をしやすい雰囲気づくりが大切だ。相談のしやすさは、会社との信頼関係とも関わる。
企業が心がけるべき7カ条
 実際に社員が診断されたときには、どう対応すべきか。ガイドブックでは、企業が心がけるべき7ヵ条を紹介している。

第1条 社員の気持ちに寄り添う
 まず重要なのは、本人の気持ちに寄り添い、受け止めることだ。

第2条 本人の意向を確認し、話し合う
 対応を決めるために、よく話し合うことが必要。

第3条 がんのイメージに振り回されない
 正確な情報をもとに行動することが大切。

第4条 状況の変化に柔軟に対応する
 時間軸による変化にも注意する。

第5条 個別性を考慮する
 がんは個別性が高い病気で、同じがん種で同じステージでも、治療法や副作用のあらわれ方、予後が全く異なるケースは少なくない。

第6条 個人情報の取り扱いに気をつける
 どのような情報をどこまで開示するかは、本人と話し合いながら、慎重に判断する。

第7条 周囲の社員への配慮も忘れない
 本人だけではなく、周囲の人への配慮も忘れないようにする。
「大企業」と「中小企業」とでは経営余力や支援制度が異なる
 ガイドブックは、「大企業編」と「中小企業編」の2種類がある。職場での支援では、企業規模により経営余力や支援制度が異なる可能性がある。

 大企業のおよそ半数には、産業医や専門スタッフによる支援制度がある一方で、中小企業では、個別対応で支援しているケースが多い。そのため中小企業編では、実際の取り組み例も取り入れてある。

 「がんと共に働く」プロジェクトでは、2018年に「がんに対する意識と備えに関するアンケート調査」を実施。

 それによると、がんにかかったときの現在の職場での勤務の継続希望の有無については、中小企業社員71.4%、大企業社員の87.7%から、「今の会社で勤務を継続したい」という回答を得た。

 社員ががんにかかった場合の相談先は、中小企業社員の61.2%、大企業社員の75.1%が「上司」を挙げた。

 がんと就労の問題に関する限り、中小企業と大企業との間に大きな違いはなかったが、がん治療に対するイメージは入院主体であるという誤解が根強く、中小企業、大企業を問わず、多くの会社で、相談窓口が社員に周知されていないという課題が明らかになった。

 ガイドブックは、経営層ならびに人事・総務担当者向けにまとめたものだ。「5年間の活動の集大成として作成した。がんサバイバー、企業経営者や人事・総務担当者の方々などで構成したアドバイザリーボードの多大なご協力を得ている」と、国立がん研究センターでは述べている。

がん情報サービス〜がんと共に働く まず一歩前へ。(国立がん研究センター)

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がん情報サービス
(国立がん研究センター・がん対策情報センター)

がん患者の就労継続及び職場復帰に資する研究
(国立がん研究センター・がん対策情報センター)

治療と仕事の両立支援ナビ
(厚生労働省)

治療と仕事の両立について
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
(厚生労働省)

長期療養者就職支援事業
がん患者等の採用と定着のススメ−長期療養者の雇用に向けて−
(厚生労働省)

(Terahata)

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