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糖尿病の人は夏こそ「フットケア」 水虫に対策するための8つの方法

キーワード: 糖尿病

 温度・湿度が高い夏は水虫に注意が必要だ。糖尿病の人が水虫を治療しないで放置しておくと、深刻な事態に進展してしまうおそれがある。
 水虫に対策するための8つの方法をご紹介する。
水虫は軽視できない
 日本の夏は高温・高湿だ。じめじめするこの時期に、気になるのが水虫。日本皮膚科学会によると、水虫の患者数は国内に約2,200万人に上る。

 水虫の原因になる真菌は、体力が落ちているときや抵抗力が弱くなっていると増殖し、トラブルの原因になる。水虫に感染しないために、日常生活で心がけることが肝心だ。

 水虫は、足の裏や指の間の角質層に常在する真菌が増えることによって起こる感染症だ。一般的な真菌感染症としてもっとも多いのは、真菌の一種の白癬菌が寄生して起きる足白癬(水虫)で、次に多いのが、主に足の指の爪にできる爪白癬。
足に80種類以上の真菌が生息
 米国立衛生研究所(NIH)は、DNAシーケンス解析でゲノム解析を行い、人間の体に真菌がどれだけ生息するかを調べた。その結果、人間の細胞は、多くの細菌や真菌と共生していることが判明した。

 「人間の体はひとつの生態系になっていると言えます。真菌は体のさまざまな部位で生息しており、とくに足には多く、健康な人の足にも40〜80種類の真菌が生息しています」と、米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)のダニエル カスナー氏は言う。

 足には多い人で80種類を超える真菌が生息しており、これに比べると、背中、首の後ろ、耳の内側、耳の後ろ、頭や胴体の部位は、それぞれわずか2〜10種類しか生息していないという。

 なぜ白癬菌は足を好むのか? 「足は靴や靴下を履いているため湿度が高くなっています。特に夏の靴の中は湿度が95%にも及びます。また、足は体の一番下にあるため、体の他の部分に比べて温度が低い傾向があり、それらが白癬菌の繁殖に適した環境をつくります」と、カスナー氏は説明する。
血糖コントロールが良好でないと、足の感染症にかかりやすい
 糖尿病のある人が高血糖の状態が続くと、白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、殺菌能が低下する。その結果、病原菌と十分に戦えない状態になることがある。

 また、糖尿病の神経障害を発症すると、感覚が鈍くなったり、血管障害で血流が悪くなり、皮膚に必要な栄養や酸素が行きわたらなくなり、感染症が増えやすい。

 汗の分泌に自律神経が関わっていおり、神経障害があると汗をかけなくなることがある。そうなると痒みによる引っ掻き傷から感染しやすくなる。また、神経障害の影響で痛みを感じない場合もあり、重症であることに気がつきにくくなる場合がある。

 水虫のある皮膚が破裂して感染してしまうと、そこから雑菌が入り、足の組織が壊死してしまい、ひどい場合には切断につながる危険がある。

 糖尿病の人は血糖コントロールが良好でないと、足の感染症にかかりやすいので、フットケアが大切になる。たかが水虫と侮ることなく治療に取り組むことが大切だ。

 足の皮膚の症状がある場合は、主治医に相談するか、皮膚科に相談しよう。
水虫に対策するための8つの方法
 白癬菌は湿度70%以上、温度15℃以上になると活発に増殖するため、梅雨から蒸し暑い夏には注意が必要だ。

 生活でちょっとした工夫をすることで白癬菌の感染を抑えられる。米国糖尿病学会(ADA)では、水虫に対策するために、次のことをアドバイスしている。

● 適切な血糖コントロールが大切

 感染症を防ぐためには、血糖値をできるだけ正常に保つことが大切だ。
 前述のとおり血糖値が高いと菌と戦う力が弱まるので、糖尿病の治療をきちんと行い、血糖コントロールを良好に保つ必要がある。
 糖尿病の合併症である神経障害や血管障害は感染症の原因となるので、感染につながる合併症を防ぐためにも、良い血糖値を保つことがいっそう重要となる。

● 清潔と乾燥が予防の基本

 カビが増える状況をできるだけ減らすことが効果的なので、汗や汚れをそのまま放置せず、清潔に保つと効果的だ。
 風呂やシャワーをこまめに利用し、体全体を石鹸を使って洗い、よく乾かそう。洗い方は、足の指一本一本を丁寧に洗うことが肝要だ。

● 足を強くこすって洗わない

 足水虫も爪水虫も清潔に保つことが大事だが、強くこすると皮膚が傷ついて雑菌が侵入しやすくなる。そうならないために、石けんの泡で包み込むように、優しく洗うことが大切。

● 通気性の悪い靴・靴下を避ける

 入浴後やスポーツなどで汗をかいた後は、足をしっかり乾燥させ、なるべく涼しく保つことが大切。通気性の悪い靴・靴下はなるべく避けよう。

● 靴下を毎日履きかえる

 水虫を治療するためには、清潔な靴下を履くことが大切。適度な湿度がある履き古した靴下は水虫菌の温床になる。
 靴下を毎日履きかえ、使った靴下は洗ってしっかりと乾燥させよう。

● 足拭きマットは汚染されやすい

 水回り、特に浴室にある足拭きマットなどは、白癬菌により汚染されやすい。家族に水虫の人がいる場合は、足拭きマット、タオル、爪切り、スリッパなどはその人専用のものを用意する。
 面倒な場合は、水虫の人は足拭きマットを使わずに使い捨てのキッチンタオルなどで足を拭こう。

● 共同で使う施設では素足を避ける

 フィットネスクラブやサウナなどの共同で使う場所でも感染しやすい。足拭きなどを避けても、水虫の人の皮膚が剥離していて、それを踏んでしまうと感染してしまう可能性がある。
 共同で使う施設に行ったときは、サンダルを履くなどして素足でいるのを避け、帰宅後にケアすることが重要だ。

● 医師の診断を受ける

 水虫になったら、皮膚科で検査を受け、適切な治療を受けることが大切だ。治療は、細菌感染に対しては抗菌薬、真菌感染に対しては抗真菌薬が使用される。水虫は塗り薬で菌を殺したり増殖を抑えられ、飲み薬でも治療できる。
 爪の水虫は皮膚の水虫と違ってかゆみがないばかりか、見た目ではわからないこともある。しかし、放置すると爪が厚くなり手入れをしにくくなる。また、変形したり割れやすくなって、ケガのもとにもなる。
 日ごろから足を観察し、「水虫」「乾燥やひび割れ」「たこやうおのめ」「靴ずれ」「皮膚の色や温度」などを見逃さないようしよう。  皮膚病や水虫に悩まされている人は、医師に診断してもらい適切な治療を受けることが望ましい。
 足のトラブルに悩む糖尿病の人や、足の変形や痛みで困っている場合は、足潰瘍や足壊疽などの「糖尿病足病変」の予防を目的として、糖尿病の人を対象としたフットケア外来を開設している医療機関がある。
高齢者の水虫は転倒リスクに
 早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授らが、平均年齢75.2歳の高齢者1万581人を対象に行った調査によると、足の指や爪に足白癬、皮膚の炎症、爪の肥厚や変形、血流障害などの問題を抱えている高齢者は、男性の46.0%、女性の39.0%に上る。

 そうした人は転倒のリスクが高くなる。中村教授らの調査では、「足白癬」のある人ではそうでない人に比べ、過去1年間に転倒を経験した割合が、男性で1.37倍に、女性で1.29倍に増加することが分かった。

 高齢者の転倒による骨折は、要介護になる原因のひとつで、健康寿命を縮めることにつながる。転倒を防ぐためにも、水虫への対策は重要だ。

Athlete's foot(メイヨークリニック 2018年5月16日)
Skin Complications(米国糖尿病学会 2014年3月31日)
NIH researchers conduct first genomic survey of human skin fungal diversity(米国立衛生研究所 2013年5月22日)
地域在住高齢者における足部に関する問題と転倒経験・転倒不安との関連(日本公衆衛生雑誌、2010年)

(Terahata)

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