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厚労省が「食事摂取基準2020年版」の要点を公表 脂質異常症と高齢者のフレイルに対策

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 CKD(慢性腎臓病)

 厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の策定ポイントを公開した。2020年版の要点や目標量などの数字についてパブリックコメントも募集した。
生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連を追加
 厚労省が改定作業を進めている「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、9月末から10月中頃に、大臣告示に合わせて公表される予定。

 2020年版では「対象特性」として、▼妊婦・授乳婦、▼乳児・小児、▼高齢者が、各論の一部として加えられる。2015年版では参考資料とされていた。

 また、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について、▼高血圧、▼脂質異常症、▼糖尿病、▼慢性腎臓病(CKD)の記述が新たに加えられる。
BMIをエネルギーのバランスを示す指標として採用
 エネルギーの摂取量および消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標としてBMIを用いるのは2015年版から変わっていない。日本人のBMIの実態などを総合的に検証し、目標とするBMIの範囲を提示する。

 2020年版では「65歳以上では、総死亡率がもっとも低かったBMIと実態との乖離がみられるため、フレイルおよび生活習慣病の予防の両方に配慮する必要があることもふまえる」とされ、高齢者の筋力・体組成や身体活動レベルが、エネルギー必要量を介して各栄養素の充足、フレイル進展に及ぼす影響についての検討が加えられる見込みだ。

 さらに、▼75歳以上(特に男性)の基礎代謝測定値のデータ収集が必要、▼個人の身体活動レベルを判断する質問表等の開発が必要、▼高齢者の筋力・体組成や身体活動レベルが、エネルギー必要量を介して各栄養素の充足、フレイル進展に及ぼす影響の検討が必要、▼高齢者の消化吸収不良がエネルギー出納に及ぼす影響についての検討が必要――と指摘されている。

炭水化物は目標量を設定
 炭水化物については、必要量が不明であり、乳児以外では十分に摂取していることから、推定平均必要量、推奨量および目安量は設定されていない。

 目標量は、下限はタンパク質と脂質の目標量の下の値に対応する炭水化物の目標量をもとに設定された。上限はタンパク質と脂質の上の値に対応させて設定された。ただし、「食物繊維の摂取量が少なくならないように注意が必要」としている。
脂質はタンパク質や炭水化物の摂取量を考慮して設定
 脂質については、総エネルギー摂取量に占める割合(%エネルギー)として目標量(範囲)を設定。エネルギー産生栄養素であるため、「タンパク質や炭水化物の摂取量を考慮して設定する必要がある」としている。

 飽和脂肪酸は、高LDLコレステロール血症の主な要因のひとつであり、循環器疾患や肥満のリスク要因でもあるため、生活習慣病の発症予防の観点から目標量を設定。

 日本動脈硬化学会は、LDLコレステロールを動脈硬化に密接に関係しているとして重視している。空腹時のLDLコレステロール値が140mg/dLの人を犹藜前枉鐓畢瓩旅LDLコレステロール血症、120〜139mg/dLの人を境界域高LDLコレステロール血症としている。

 総コレステロールからHDLコレステロールを除いたnon-HDLコレステロールについては、170mg/dL以上を高non-HDLコレステロール血症、150〜169mg/dLを境界域高non-HDLコレステロール血症としている。

 平成29年国民健康・栄養調査によると、日本人のnon-HDLコレステロール値の平均値は男性 142.9mg/dL、女性 143.2mg/dL。
「脂質異常症の重症化予防」を追加
 2020年版では食事で摂取する飽和脂肪酸について「過剰摂取を介して生活習慣病に関連している」として重視。飽和脂肪酸の目標量の上限が設定される。

 飽和脂肪酸と同じく、脂質異常症および循環器疾患に関与する栄養素としてコレステロールがある。「コレステロールに目標量は設定しないが、これは許容される摂取量に上限が存在しないことを保証するものではない。また、脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満に留めることが望ましい」と記述された。
 飽和脂肪酸摂取を減らし、植物や魚の脂に多く含まれる不飽和脂肪酸に置き換えると、冠動脈疾患のリスクが低下することを示した研究が多いことから、不飽和脂肪酸の種類ごとに記述している。

 n-6系脂肪酸については、冠動脈疾患の予防に役立つ可能性を示唆する研究報告はあるものの、「当該報告にもとづいて目標量を策定することは難しいことから、目標量の設定は見送り」となった。

 n-3系脂肪酸については、とくにEPAおよびDHAの摂取が循環器疾患の予防に有効であることを示した研究報告が多数存在するが、類似の目的で行われた介入研究の結果をまとめたメタ・アナリシスはその考えを支持しておらず、目標量の設定は見送られた。

 コレステロールについては、体内で合成され、脂質異常症および循環器疾患の発症予防の観点から目標量を設定することは難しいが、「脂質異常症を有する者およびそのハイリスク者においては、摂取量を低く抑えることが望ましい」とされ、脂質異常症の重症化予防のための量を設定し、飽和脂肪酸の表の脚注として記載された。「脂質異常症の重症化予防」という観点は、2020年版で新たに追加されるものだ。

 また、トランス脂肪酸の摂取による健康への影響は、飽和脂肪酸の摂取によるものと比べて小さいと考えられるものの、飽和脂肪酸と同じく冠動脈疾患に関与する栄養素として、摂取に関する参考情報を、飽和脂肪酸の表の脚注として記載された。
高齢者のタンパク質の目標量を引き上げ
 タンパク質については、推定平均必要量が設定される。成人・高齢者・小児の全年齢区分で男女ともに同一のタンパク質維持必要量[0.66g/kg体重/日]を用いて算定。

 目標量の下限は、推奨量以上で設定。高齢者のフレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、高齢者については、摂取実態とタンパク質の栄養素としての重要性を鑑みて引き上げる。

 タンパク質が関与し重症化予防の対象となる重要な疾患としてフレイル(サルコペニア含む)と慢性腎臓病があるが、研究報告の数が十分でなく、一定の結論を得られていないことから、量の設定は見送りされる。

 フレイル予防について、65歳以上の高齢者で目的量を定めるのは難しいが、「身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75歳以上であって加齢にともない身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい」とされる。
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
食事摂取基準の策定ポイント(厚生労働省健康局健康課栄養指導室)

(Terahata)

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