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患者同士が支え合う「ピアサポート」 糖尿病のコントロールを改善

キーワード: 糖尿病

 糖尿病の療養に「ピアサポート」を活用する動きが海外で活発になっている。糖尿病医療に携わる医療者が不足しているなか、頼れる人がいると、糖尿病をコントロールするうえで多くの利点が得られ、また、ストレスの軽減や、うつ病などのメンタル面でも良い効果を得られるという。
共感できる仲間がいれば糖尿病のコントロールは改善
 「ピア」とは仲間を、「サポート」とは支援を意味している。「ピアサポート」とは、同じ病気をもつ人や仲間が、たがいに助けあい、課題解決に向けて交流する活動をさす。

 米国で成功している糖尿病のピアサポートのひとつに、地域の2型糖尿病患者がボランティアベースで参加している「Beyond Type 2(2型を超えて)」がある。

 米国糖尿病教育者協会(AADE)も協力しているこの非営利団体では、患者同士の交流を通じて、食事療法・運動療法・薬物療法など、糖尿病の自己管理についての情報の交換が活発に行われている。

 リーダーとなるのは、専門家による一定の糖尿病に関する教育を受けているものの、医療者ではなく普通の糖尿病患者だ。患者だけでは解決できない問題が持ち上がったときには、AADEの会員となっている療養指導士に相談することもできる。

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ピアサポートは糖尿病患者のストレスを軽減する
 ピアサポートのプログラムに参加した患者は、血糖コントロールがより改善し、うつ病の予防の観点でも好ましい結果を得られるという研究を、米国のアラバマ大学が発表した。

 AADEによると、糖尿病とともに生きることは、年中無休のハードな仕事に就くようなものだという。患者は、食事や運動、インスリン注射、血糖測定など、生活のさまざまな場面で重要な決定を自分でしなくてはならない。医師や医療スタッフに相談することも可能だが、多くの場合で糖尿病の医療専門家と過ごす時間は不足している。

 「オンラインと対面の両方のコミュニティに参加できるピアサポートは、糖尿病医療にある"隙間"を埋めるもので、上手に活用すれば糖尿病の管理を継続して向上することが可能です」と、アラバマ大学予防医学部のアンドレア シェリントン教授は言う。

 糖尿病は自己管理が求められる疾患で、糖尿病とともに生きる人は多くのストレスにさらされており、メンタル面でも危機に陥りやすい。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国人の9.4%にあたる3,030万人が糖尿病を発症している。シェリントン教授によると、その10〜30%でうつ病のリスクが高いという。

 糖尿病とうつ病を合併すると、食事の管理が難しくなり、服薬のアドヒアランスも悪化しやすくなる。医療費も高くなるという報告もある。
ピアサポートにより医療費を削減できる可能性
 シェリントン教授らの研究チームは、糖尿病の自己管理についてのサポートを求めている患者355人に参加してもらい試験を行った。168人の参加者者には糖尿病教育プログラムと1年間のピアサポートを受けてもらい、187人には糖尿病教育プログラムのみに参加してもらった。

 研究開始時に、参加者の半数は軽度のうつ病の症状を訴えており、4分の1で中程度のうつ症状がみられた。アンケートによるとうつ症状には、睡眠障害、以前は楽しめた活動への関心の喪失、絶望感などが含まれていた。

 ピアサポートを受けた参加者ではうつ症状が減少した。さらに入院が70%減少し、急性期医療の受診が50%減少することが分かった。医療費を削減できる可能性がある。ピアサポートを受けなかった参加者では変化はみられなかった。

 「糖尿病患者は、糖尿病のコントロールのために、日常生活で取り組まなければならないことが多く、上手くいかないことも少なくありません。そのため患者の多くは疲れてしまいます。そんなときに、自分と同じ糖尿病の経験をもち、知識を持っている人と話すことができれば、良いサポートになります」と、シェリントン教授は言う。
助けを求めている人に手を差しのべる
 「糖尿病とうつ病の人は、必ず専門家の診察を受ける必要がありますが、アラバマ州では医療者が不足しています。そのため患者の多くは十分なケアを受けられていないのが現状です」。

 インターネットとソーシャルメディアの普及により、世界中の人々が常にオンラインでつながることができるようになった。活気のあるコミュニティがいくつも作られ、毎日多くのユーザーが糖尿病など特定のトピックについて情報共有できるようになった。

 ただし、そうしたオンラインのコミュニティが本当の健康上の利点を提供できるようになるためには、医療専門家による一定の支援も必要だと、シェリントン教授は指摘している。

 さらに糖尿病のピアサポートのカウンセラーは、医療専門家ではないにしても、人々が病気を適切に管理し対処するのを助けるためのトレーニングを受けていることが望ましいという。

 「ピアサポートは特別なことではなく、一般的なことです。人々の多くは、助けを求めている人に手を差しのべることを、心地良く感じるものです」としている。

Peer support can help curb acute care for persons with depression and diabetes(アラバマ大学 2018年10月29日)
Impact of Peer Support on Acute Care Visits and Hospitalizations for Individuals With Diabetes and Depressive Symptoms: A Cluster-Randomized Controlled Trial(Diabetes Care 2018年10月)
The Importance of Peer Support(米国糖尿病教育者協会)

(Terahata)

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