一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
ニュース

遺伝性の脂質異常症「家族性高コレステロール血症」 若いうちからLDL-Cが上昇

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 「少酒」お酒はほどほどに 「少食」食事は腹7~8分目

 コレステロール値が高いのは遺伝のせいかもしれない。生まれつきLDLコレステロールが高い「家族性高コレステロール血症」という病気が注目されている。
 日本動脈硬化学会は社会啓発を目的としたセミナーを開催した。
気付かれにくい家族性高コレステロール血症
 悪玉のLDLコレステロールが生まれつき多い「家族性高コレステロール血症(FH)」という病気がある。若いうちから動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞などの危険性が増す。

 この病気に気付いていない患者が大勢いるとみられている。とくに小児の場合、臨床的な症状が乏しく、健康診断などによるLDLコレステロール値の早期発見が難しい。現時点で10歳前後の血液検査を実施している自治体はとても少ないからだ。

 日本動脈硬化学会は、このほど社会啓発を目的に、家族性高コレステロール血症に関するプレスセミナーを開催した。
家族性高コレステロール血症とは
 日本での家族性高コレステロール血症の患者数は、50万人超と推定されている。200〜500人に1人が発症し、遺伝性代謝疾患の中でもっとも頻度が高く、日常診療で高頻度にみつかる疾患だ。

 原因は、LDLコレステロールを肝臓で取り込む受容体に関係する遺伝子に異常があること。

 通常の脂質異常症は、食べ過ぎや運動不足、肥満などが大きく影響するが、家族性高コレステロール血症はこれらの生活習慣と関係なく、15〜20年も早く発症する。

 ヒトの遺伝子は、父親由来と母親由来の2つが一組となってできている。LDL受容体やその働きに関わる遺伝子の、いずれか一方のみに異常が認められる場合を「ヘテロ接合体」と呼び、両方に異常がある場合を「ホモ接合体」と呼ぶ。

 家族性高コレステロール血症のヘテロ接合体の患者は、血清総コレステロール値が高く、180mg/dL以上に上昇する(通常は120〜220mg/dL)。このため、適切に治療を行わないと、若い頃から動脈硬化が進行して、狭心症や心筋梗塞などの命に関わる病気を発症する。
アキレス腱が厚くなっている人は要注意
 家族性高コレステロール血症が疑われるのは次の3つの場合だ。2つ以上に思い当たる場合は、糖尿病・内分泌代謝内科や循環器内科などの専門の医療機関を受診することが勧められる。
(1)未治療のLDLコレステロールが180mg/dL以上である
(2)皮膚や腱に黄色腫がある
(3)家族(両親、祖父母、子供、叔父、叔母)で以下に当てはまる人がいる
・ LDLコレステロールが180mg/dL以上
・ 若年で冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)と診断されている(男性は55歳以下、女性は65歳以下)

 家族性高コレステロール血症では、とくにアキレス腱に黄色腫と呼ばれるコレステロールの塊がみられることが多い。成長とともに、結節状にもりあがった黄色腫が認められるようになる。黄色腫は肘や膝、手首、おしり、手の甲などにできることもある。
薬を使った治療
 家族性高コレステロール血症と診断されたら、LDLコレステロール値100mg/dL未満を下げることを目標に治療をする。

 治療では薬が積極的に使われる。まず、コレステロールの合成を抑えるスタチンが使われる。ただ、スタチンだけでは効果が足りないことが多く、コレステロールの吸収を抑えるエゼチミブ、体内での脂質の合成を阻害するロミタピド、LDLの酸化や黄色腫を抑えるプロブコール、胆汁酸の吸収を抑えるレジンなどが併用される。

 それでも効果が足りない場合に、LDLアフェレシスという治療法がある。LDLアフェレシスは、体外循環を用いて悪玉コレステロールであるLDLを取り除く治療法。

 また、2016年にPCSK9阻害薬(エボロクマブ)が登場した。2〜4週間に1回注射する薬で、スタチンと併用して使用する。スタチンとの併用で、スタチン単独の場合に比べ、LDLコレステロール値が平均7割近くも下がるという報告がある。
早期発見・治療で確実に予後が良くなる
 薬による治療だけでなく、生活の改善も大切だ。食べ過ぎや運動不足、肥満などが重なると、さらにLDLコレステロール値が上がってしまうので、適正体重を維持し、食事療法と運動療法を続ける必要がある。禁煙と受動喫煙も防止も必須だ。

 家族性高コレステロール血症で重要なのは早期発見・治療だ。「なるべく早く診断し、適切な治療を行うことで、確実に予後を良くできる。そのためにはFHについて、医療者だけでなく、社会にもよく知ってもらう必要がある」と、国立循環器病研究センター研究所病態代謝部の斯波真理子氏は述べている。

家族性高コレステロール血症とは?(日本動脈硬化学会)
難治性家族性高コレステロール血症患者会
[Terahata]

関連トピック

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2021年07月28日
糖尿病はアルツハイマー病の危険因子 脳を活性化して予防 新しいことにもチャレンジ
2021年04月16日
人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究
2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
運動をすると睡眠を改善できるのはなぜ? 日中に活発なウォーキングを1時間行うと効果的 睡眠時の脳波を調査
2021年04月16日
オフィスを活動的にすると「座り過ぎ」が減る 肥満やメタボの検査値も改善 オフィス環境づくりは大切

一無・二少・三多 ▶ 「少酒」お酒はほどほどに

2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年03月11日
女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
2021年01月15日
女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査

一無・二少・三多 ▶ 「少食」食事は腹7~8分目

2021年04月16日
自分の身体能力を過信している高齢者は体力が低下しやすい コロナ禍でも体を動かし活発な生活を フレイル予防アプリも公開
2021年04月16日
高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック
2021年04月16日
腎臓病を予防・改善するための「8つの法則」 世界の成人の10人に1人が腎臓病 世界腎臓デー
2021年04月16日
中学生でも肥満だと代謝異常リスクが3倍に上昇 女子中学生では軽度の過体重でも高血圧のリスクが
2021年04月16日
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に
全国生活習慣病予防月間
明治PA3
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート