一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる

キーワード: 一無・二少・三多 ストレス関連疾患/適応障害 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 認知症 身体活動・運動不足

 ウォーキングなどの運動を毎日続けると、うつ病の予防につながることが、約8,000人を対象とした大規模な調査で明らかになった。
 運動を習慣として続けることで、脳の老化を防ぎ認知症の予防にもつながるという研究も公表されている。
1日35分のウォーキングがうつ病の予防に効果的
 ウォーキングなどの運動を習慣として行うことで、うつ病の予防効果を得られる可能性があることが、米国のハーバード公衆衛生大学院の研究で明らかになった。

 週4時間の運動を行うことで、うつ病を発症するリスクは17%低下するという。

 「平均して35分以上の運動を毎日行うと、うつ病のリスクが軽減することが分かりました。運動量を増やすとより効果的で、毎日1時間の活発な運動をすることが勧められます」と、ハーバード公衆衛生大学院のカーモル チョイ氏は言う。

 この研究は、大規模な前向き研究である「英国バイオバンク」に参加した成人7,968人の遺伝データを分析したもの。

 研究チームは、加速度計を用いて得た客観的なデータにより、運動の活動レベルとうつ病の発症の関連を調査。

 その結果、身体活動レベルが高い人ほどうつ病になりにくく、将来の発症予防にもつながる可能性があることが示された。
遺伝的リスクの高い人でも運動は効果的
 うつ病の遺伝的リスク別に、運動と将来の発症リスク低減との関連も調べたところ、うつ病になりやすい遺伝的素因をもつ人は、2年以内にうつ病と診断される可能性が高かった。

 こうした遺伝的にリスクが高い人であっても、身体活動レベルを高めれば、うつ病リスクを抑えられることが示された。

 「肥満や2型糖尿病のある人に、医師が運動の処方箋を書くことは、とくにうつ病を発症する遺伝的素因をもっている場合は、運動により得られる利益を増やすことにつながります」と、チョイ氏は述べている。
運動で脳のインスリン抵抗性を改善できる
 運動を習慣として行い、体を活発に動かしている人は、心臓病、2型糖尿病、がんなど、さまざまな健康上の問題が起こる可能性が低いことが知られている。

 運動をするとブドウ糖がすぐ消費され、血糖値が下がる。さらに運動を習慣化すると、血中のブドウ糖の量をコントロールするインスリンが効きやすい体質になる。

 加えて、運動は脳の健康にも良いことが、最近の研究で分かってきた。運動の脳への効果に、「インスリン抵抗性」が関わっているという。

 ニューヨーク州立大学の研究によると、脳のインスリン抵抗性は認知症の危険因子となり、運動により改善できる可能性がある。

 2型糖尿病の原因のひとつであるインスリン抵抗性とは、肥満や運動不足などが原因でインスリンが効きにくくなり、ブドウ糖が細胞に十分取り込まれなくなった状態のこと。

 インスリン抵抗性は、身体的な作用だけでなく、脳にも作用する。運動をすることで、脳のインスリン抵抗性が改善し、認知力などのパフォーマンスが向上する可能性がある。
ウォーキングなどの運動が脳の老化を改善
 糖尿病は認知症とも関連が深い。とくに高齢者で、糖尿病や高血糖は認知機能の低下や認知症の危険因子となることが分かっている。

 うつ病は認知症とも関連が深い。認知症外来を受診する高齢者の5人に1人でうつ病などの障害がみられるという報告がある。

 しかし、ウォーキングなどの運動を続けていれば、認知症の発症も予防できる可能性があることが、ボストン大学医学部の研究で明らかになった。

 研究は、米国のマサチューセッツ州フラミンガムの住民を対象とした「フラミンガム心臓研究」に参加した成人2,354人を対象としたもの。

 調査の結果、1日の歩数が多い人ほど、あるいは身体活動量が多い人ほど脳容積は大きいことが分かった。

 1日に平均1万歩以上歩く人では、平均5,000歩未満の人と比べて脳年齢が1.75歳若く、また、中強度の身体活動が1時間増えるごとに脳年齢は1.1歳若返るという。
脳の老化は40歳代から始まっている
 「運動は激しいものである必要はなく、通常のウォーキングなど中強度の運動でも、脳構造に良い影響があらわれます」と、ボストン大学医学部のニコール スパルターノ氏は言う。

 スパルターノ氏の過去の研究では、40歳代の時点で運動をする習慣をもたず、体力が低下していると、60歳を過ぎてから脳の容積が減少し、認知機能も低下しやすいことが分かっている。

 「多くの人は年齢を重ねるまで、自分の脳の健康について気にかけない傾向がありますが、実は脳の老化は40歳代から始まっています。若い頃から運動をすることが、脳の健康を保つために必要です」と指摘している。

Exercise may stave off depression, even among those at higher genetic risk(ハーバード公衆衛生大学院 2019年11月7日)
Physical activity offsets genetic risk for incident depression assessed via electronic health records in a biobank cohort study(Depression & Anxiety 2019年11月5日)
Insulin modulates hippocampally-mediated spatial working memory via glucose transporter-4(Behavioural Brain Research 2017年9月21日)
Light, Physical Activity Reduces Brain Aging(ボストン大学医学部 2019年4月19日)
Association of Accelerometer-Measured Light-Intensity Physical Activity With Brain Volume: The Framingham Heart Study(JAMA network open 2019年4月19日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 認知症

2020年01月09日
7月12日は「人間ドックの日」 ロゴマークの募集を開始 日本人間ドック学会
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月19日
トランス脂肪酸の上昇が認知症リスクを高める 日本人1,600人を10年間調査 久山町研究
2019年12月19日
牛乳やチーズなど乳製品が認知症を予防 1日1杯の牛乳は脳の健康にも良いことが判明
2019年12月11日
認知症の原因は酸化ストレス 新開発の抗酸化サプリメントで認知症を予防 岡山大が臨床試験

一無・二少・三多 ▶ 三多(多動・多休・多接)

2020年01月07日
睡眠不足が肥満やメタボを悪化させる 脂質代謝にも異常が 睡眠を改善する3つの方法
2020年01月07日
生活を朝型にする乳がんリスクを減少できる 睡眠障害はホルモン分泌に影響
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月19日
睡眠中は照明を消すべき? 寝室が明るいと動脈硬化が進行しやすくなる 平城京スタディ
2019年12月19日
血液1滴から13種類のがんを99%の精度で検出する技術を開発 健診の血液検査でがんを早期発見

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月19日
佐賀県の「歩くライフスタイル推進プロジェクト」 無料アプリを配信しウォーキングを促進
2019年12月19日
腰痛は失業率が上昇すると増える 1%上昇するごとに77万人超が腰痛に
2019年12月06日
【2/5市民公開講演会「多動で生活習慣病・がん予防」参加者募集中!】全国生活習慣病予防月間2020
2019年10月10日
運動が体の老化を抑制するメカニズムを解明 骨に加わる力が炎症を抑制

一無・二少・三多 ▶ 「多動」身体を活発に動かす

2020年01月15日
「全国生活習慣病予防月間2020」スローガン川柳最優秀賞が決定!
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月19日
佐賀県の「歩くライフスタイル推進プロジェクト」 無料アプリを配信しウォーキングを促進
2019年12月19日
腸内環境を人工知能(AI)で解析 特定保健指導に腸内環境という新たな視点を導入
2019年12月19日
腰痛は失業率が上昇すると増える 1%上昇するごとに77万人超が腰痛に

疾患 ▶ ストレス関連疾患/適応障害

2020年01月09日
7月12日は「人間ドックの日」 ロゴマークの募集を開始 日本人間ドック学会
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月11日
なぜ漢方便秘薬は効くのか 腸の水分分泌メカニズムを解明
2019年07月11日
高齢者の難聴は「外出活動制限」「心理的苦痛」「もの忘れ」を増やす 13万人強を調査
2019年07月10日
メンタルヘルスケアが糖尿病患者の寿命を延ばす 血糖コントロールも改善

 ▶ 一無・二少・三多

2020年01月07日
睡眠不足が肥満やメタボを悪化させる 脂質代謝にも異常が 睡眠を改善する3つの方法
2020年01月07日
生活を朝型にする乳がんリスクを減少できる 睡眠障害はホルモン分泌に影響
2020年01月07日
家庭での食塩摂取量が多いと心臓病や脳卒中のリスクが上昇 家族ぐるみで減塩に取組むことが必要
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2020年01月07日
母乳育児が糖尿病と高血圧のリスクを低下 糖尿病リスクは半分に減少
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート