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家庭での食塩摂取量が多いと心臓病や脳卒中のリスクが上昇 家族ぐるみで減塩に取組むことが必要

キーワード: 高血圧 二少(少食・少酒) 一無・二少・三多 「少食」食事は腹7~8分目 食生活

 滋賀医科大学は、家庭での食塩摂取量が多いと、その家族が将来に心臓病や脳卒中などの循環器病を発症しやすくなり、死亡リスクが高くなるという調査結果を発表した。日本人8,702人を24年間追跡して調査した「NIPPON DATA」研究の成果だ。
家庭の味付け(塩味の濃さ)は家族で共有される
 家族は同じ食事をいっしょに摂る機会が多く、家庭の味付け(塩味の濃さ)は家族で共有されることが多い。また、食卓に並んだ料理(家庭で調理された味噌汁や煮物などの日本食、近年増加している購入した加工食品など)の味付けは、家族を構成する個人が調整するのは難しい。

 そこで研究グループは、世帯単位の食塩摂取量がその後の循環器病による死亡リスクと関連するかを調べた。世帯単位の調査は世界でもほとんど行われていない。

 食塩(ナトリウム)摂取量が多いほど、将来に脳卒中・冠動脈疾患などの循環器病を発症するリスクが高まることは、多くの研究で明らかになっている。また、日本では、家庭内調理で用いられる調味料が大きな食塩摂取源となっている。

 研究は、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授・アジア疫学研究センターセンター長の三浦克之氏らの研究グループによるもの。研究成果は、日本高血圧学会の学会誌「Hypertension Research」電子版に公開された。
日本人8,702人を24年間追跡して調査
 「NIPPON DATA」は、日本人の健康寿命や生活習慣病に影響を与える要因を明らかにすることを目的に行われている大規模コホート研究。国が全国で実施した循環器疾患基礎調査および国民健康・栄養調査の参加者を対象に追跡調査が実施されている。

 研究グループは、日本全国から無作為抽出された300地区の一般住民のうち、1980年に実施された国民栄養調査に参加した30〜79歳の男女8,702人(男性が44%、平均年齢は49.4歳、3〜5人家族の人が63%)を対象に、2004年まで24年間追跡した。

 国民栄養調査での3日間の秤量法(平均的な食事をとった連続3日間について参加者が世帯単位で食品の重量を秤で量って記録する方法)により、食品・栄養素の摂取量のデータを収集した。この栄養調査は精度の高い方法として知られている。

 世帯単位の食塩摂取密度は「世帯全体の食塩摂取量÷世帯全体の総エネルギー摂取量」とし、1000kcalあたりグラム数であらわした。世帯単位の食塩摂取密度とその後24年間の総死亡、循環器病死亡(脳卒中と心臓病の合計)、冠動脈疾患死亡(大部分が心筋梗塞による死亡)、および脳卒中死亡のリスクとの関連を調べた。
家庭での食塩摂取量が多いほど循環器病のリスクは上昇
 その結果、世帯の食塩摂取密度の平均は6.25±2.02g/1000kcalで、期間中の総死亡は2,360人(循環器病死亡は787人、冠動脈疾患死亡は168人、脳卒中死亡は361人)だった。

 解析した結果、世帯食塩摂取密度が2g/1000kcal上昇するごとに、死亡リスクは、総死亡で1.07倍、循環器病死亡で1.11倍、冠動脈疾患死亡で1.25倍、および脳卒中死亡で1.12倍と、それぞれ上昇した。

 また、対象者を世帯食塩摂取密度の四分位により4群(Q1〜Q4)に分けて比較した。もっとも塩味が薄い群をQ1、もっとも塩味が濃い群をQ4とした。

 その結果、世帯食塩摂取密度が高いほどリスクが高くなることが分かった。冠動脈疾患による死亡は、Q1に比べQ4では1.49倍に上昇した。脳卒中による死亡は、Q1に比べQ4では1.39倍に上昇した。
家族ぐるみで減塩に取り組むことが重要
 世帯食塩摂取密度が高いほど、脳卒中や心臓病などの循環器病、心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳卒中のそれぞれのリスクが高くなることが明らかになった。

 減塩は日本人全員が意識して取り組むべきものだ。研究グループは、「国民全体の食塩摂取を減らしていくためには、家族ぐるみで、減塩という視点から対策することが大変に重要です」と述べている。

 食塩摂取量と血圧は密接に関係し、食塩の過剰摂取が高血圧をもたらす。糖尿病患者向けの治療ガイドラインでは、糖尿病の合併症の危険性を抑えるために、塩分摂取量を控えることが勧められている。

 「日本人の食事摂取基準 2020年版」では、食塩摂取の目標量は男性 7.5g/日、女性 6.5g/日未満としている。高血圧を発症した人では目標量は6.0g/日未満だ。一方、日本人の塩分摂取量の平均は、男性 10.8g、女性 9.1gで、目標よりも大幅に多い。

 1日の食塩量は、調味料などにより加えられる食塩と、もともと食品に含まれている食塩を合計した量だ。ただし、調理されてしまった食塩は目で見えるものではなく、塩分の多い濃い味付けに慣れてしまうと、減塩するのは難しくなる。

 毎日の食事で塩分の少ない薄味に慣れる必要がある。香辛料・薬味を使えば、塩分が少なくとも、味わいが深くなり満足しやすくなる。
加工食品に塩分量を表示 美味しい減塩食「かるしおレシピ」
 減塩への取組みは広がりつつある。日本では、コンビニ弁当などの加工食には栄養表示があるものが多いが、従来はナトリウムの量の表示のみが義務付けられていて、食塩相当量が分かりにくかった。

 それが、日本高血圧学会などの働きがけにより、栄養表示の「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示されることになった。2020年までに、新基準の栄養表示が見られることになる。

 減塩調味料や減塩食品の利用するのもひとつの方法だ。日本高血圧学会のホームページでは、日本の代表的な減塩食品の一覧を見ることができる。

 また、国立循環器病研究センターは、心筋梗塞や脳卒中などの循環器病を予防するために、無理なく減塩するための食事調理法「かるしおレシピ」を考案した。「食塩を減らしても美味しい」ではなく「食塩を控えるからこそ美味しい」というコンセプトで作成したという。

 毎日の家族の食事として続けるために、「美味しく楽しめる」ことや、「子供のうちから素材の味を理解し、味覚を育てる」ことが必要だとしている。

NIPPON DATA(滋賀医科大学 公衆衛生学部門)
Relationship of household salt intake level with long-term all-cause and cardiovascular disease mortality in Japan: NIPPON DATA80(Hypertension Research 2019年11月21日)
さあ、減塩!(日本高血圧学会減塩委員会)
日本高血圧学会:一般のみなさま向けの情報
かるしおプロジェクト(国立循環器病研究センター)
かるしおレシピ(国立循環器病研究センター)

(Terahata)

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