一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
最近の関連情報・ニュース

特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック

キーワード: 脂質異常症(高脂血症) 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血 食生活 身体活動・運動不足

 健診で「non(ノン)-HDLコレステロール」という値をご覧になったことがあるだろうか?
 実はこのnon-HDLコレステロール値は、動脈硬化の進行を抑えるために重要な意味をもつ。
 40歳を過ぎた人が、この値を下げる対策をすると、年齢を重ねてから大きな恩恵を受けられることが分かってきた。
健診では「non-HDLコレステロール」にも注目
 脂質異常症は、コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などが異常な値になる病気だ。

 悪玉のLDLコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上昇する。善玉のHDLコレステロールが低かったり、中性脂肪が高い場合にも、動脈硬化性疾患の発症リスクが高まる。

 日本動脈硬化学会は、LDLコレステロール値が140mg/dL以上である場合、HDLコレステロール値が40mg/dL未満、中性脂肪(トリグリセライド)値が150mg/dL以上である場合に、脂質異常症が疑われるとしている。

 さらに、現在は「non(ノン)-HDLコレステロール」という値が特定健診の項目に加えられている。non-HDLコレステロールの値は脂質異常症の診断基準にも含まれている。

 日本動脈硬化学会のガイドラインでは、170mg/dL以上であれば「高non-HDL-C血症」、150〜169mg/dLは「境界域高non-HDL-C血症」と診断される。

 特定健診にもnon-HDLコレステロールの項目が導入され、動脈硬化の指標となる血中コレステロールのバランスがより正確に調べられるようになった。検査でコレステロールが正常だった人も、non-HDLコレステロールでは異常となる場合がある。いまいちど健診結果を見直してみよう。
動脈硬化を進行させるnon-HDLコレステロール
 non-HDLコレステロールは、総コレステロールから善玉のHDLコレステロールを引いたもの。血液中にはLDLコレステロールとは別の悪玉がひそんでおり、それらを含めたすべての悪玉の量をあらわすのが、non-HDLコレステロールの値だ。

 non-HDLコレステロールは、悪玉のLDLコレステロール以外に、中性脂肪が含まれるリポタンパク、脂質異常によりあらわれるレムナントなどを含んだ、動脈硬化のリスクを総合的に知ることのできる指標として注目されている。

式であらわすと――
non-HDLコレステロール =[総コレステロール]−[HDLコレステロール]
となる。

 とくに中性脂肪が高い人では、LDLコレステロールだけではなく、non-HDLコレステロールの値もチェックすることが望ましい。

 LDLコレステロールとnon-HDLコレステロールの両方の目標値を達成すると、動脈硬化性疾患のリスクがもっとも低くなるという報告がある。

 また、LDLコレステロールは空腹時に測らないと正確な値が出ない場合があるが、non-HDLコレステロールは空腹時かどうかに左右されずに測定できるという利点もある。
40歳を過ぎたらコレステロール値に注意
 コレステロール値の異常は、男性は40〜50歳くらいから、女性は閉経を迎える頃から増えはじめる。放置していると、動脈硬化が進みやすくなる。

 動脈硬化が進展すると、心筋梗塞や心不全、脳梗塞、慢性腎臓病(CKD)、足などの血管がつまる疾患(閉塞性動脈硬化症)などのリスクが上昇する。

 動脈硬化のリスクの高いのは、高血圧や脂質異常症の人、血糖値が高い糖尿病や耐糖能異常のある人、喫煙者などだ。

 糖尿病で高血糖の状態が続くと、血管の壁が損傷されコレステロールが蓄積しやすくなる。この蓄積したコレステロールは血管内にプラークという塊をつくり、動脈の壁が固くなる。プラークが蓄積することで動脈の血液の流れる部分が狭くなり、血液が流れにくくなったり塞がれたりする。

 動脈硬化を予防するために必要なのは食事改善だ。年齢や性別、身体活動量、体重などの条件によって必要なカロリー・栄養はさまざまだが、個々に合った長続きする食事法が望ましい。また、運動を習慣として行うと、善玉のHDLコレステロールが血液中に増え、動脈硬化を進みにくくなる。

 体重コントロールも効果的だ。内臓まわりに脂肪がたまると、肥大化した内臓の脂肪細胞から血管を傷つける物質が分泌される。すると、血管に炎症が起こり、動脈硬化が進行する。3〜6ヵ月で体重を3%減らすだけで、血圧や血糖値の低下などさまざまな効果を期待できる。

 食事や運動だけで十分な効果を得られない場合は、薬物療法が始められる。スタチンと呼ばれる薬は、肝臓で作られるコレステロールの量を少なくしたり、血管に起こっている炎症を抑える作用があり、動脈硬化に対してよく使われている。
45歳未満から治療を始めることが重要
 最近の研究で、コレステロール値が高い人は、若いうちから治療を始めると、齢を重ねてからの心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がることが明らかになった。

 ドイツのハンブルグ大学心臓・血管センターのフェビアン ブルンネル氏らの研究チームは、19ヵ国の40万人近くの男女を1970〜2013年に追跡調査したデータを解析した。

 その結果、年齢を重ねるにつれnon-HDL-C値が高くなると、心血管疾患(CVD)のリスクが上昇することが明らかになった。

 30年間でnon-HDL-C値が100mg/dL未満から220mg/dL以上に上昇すると、心血管イベント発生率は女性では7.7%から33.7%へ、男性では12.8%から43.6%へと増加することが分かった。

 さらに、non-HDL-C値の高い人が治療を受けて半分に下げると、心疾患リスクが低下することも明らかになった。45歳未満で、開始値が143〜186mg/dLで、心血管のリスク因子がある場合、non-HDL-C値を半分に低下することで、心疾患リスクは男性で29%から6%に、女性で16%から4%に、それぞれ低下するという。

 「年齢を重ねてから心筋梗塞や脳卒中などを発症するリスクを減らすために、コレステロール値が高くなっていると分かったら、45歳未満から治療を始めることが重要です」と、ブルンネル氏は指摘している。

'Bad' cholesterol can be deadly in otherwise healthy people(米国心臓学会 2018年8月20日)
生活習慣病と動脈硬化との関係(日本動脈硬化学会)
冠動脈疾患発症予測ツール「これりすくん」(日本動脈硬化学会)
The Lancet: First long-term estimates suggest link between cholesterol levels and risk of heart disease and stroke(Lancet 2019年12月5日)
Application of non-HDL cholesterol for population-based cardiovascular risk stratification: results from the Multinational Cardiovascular Risk Consortium(Lancet 2019年12月3日)

(Terahata)

関連トピック

疾患 ▶ 脂質異常症(高脂血症)

2020年01月21日
特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック
2020年01月21日
健診結果から3年以内の糖尿病発症リスクを予測 国際医療研究センター「糖尿病リスク予測ツール」
2020年01月09日
7月12日は「人間ドックの日」 ロゴマークの募集を開始 日本人間ドック学会
2019年12月19日
妊娠中に味噌汁を飲むと子供の睡眠不足が減る 親の腸内細菌叢は子供に受け継がれる
2019年11月22日
ナッツが肥満や糖尿病のリスクを低下 ジャンクフードをナッツに置き換える食事法

疾患 ▶ 脳梗塞/脳出血

2020年01月21日
特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック
2020年01月21日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 入浴中の事故死は冬に集中 血圧変動に注意
2020年01月09日
7月12日は「人間ドックの日」 ロゴマークの募集を開始 日本人間ドック学会
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり

疾患 ▶ 心筋梗塞/狭心症

2020年01月21日
特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック
2020年01月09日
7月12日は「人間ドックの日」 ロゴマークの募集を開始 日本人間ドック学会
2019年11月28日
「10月8日は、糖をはかる日2019」講演会レポート & 血糖値アップダウン写真コンテスト優秀作品公開
2019年11月12日
魚を中心とした日本食は健康食 魚油のサプリメントについては賛否あり
2019年11月06日
ワカメなどの海藻を食べると心疾患リスクが低下 日本食の新たなメリットを解明

生活習慣 ▶ 身体活動・運動不足

2020年01月21日
特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック
2020年01月21日
通勤手段で肥満・メタボに対策 徒歩・自転車・公共交通が有利 日本の労働者3万人を5年間調査
2020年01月21日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 入浴中の事故死は冬に集中 血圧変動に注意
2020年01月07日
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる
2019年12月19日
佐賀県の「歩くライフスタイル推進プロジェクト」 無料アプリを配信しウォーキングを促進

生活習慣 ▶ 食生活

2020年01月21日
特定健診で見逃したくない検査値「non-HDLコレステロール」 40歳を過ぎたら必ずチェック
2020年01月21日
「よく噛んで食事をする」と食後の血糖上昇を抑えられる 「よく噛む」食事法は朝と夜で効果に差が
2020年01月07日
家庭での食塩摂取量が多いと心臓病や脳卒中のリスクが上昇 家族ぐるみで減塩に取組むことが必要
2019年12月19日
トランス脂肪酸の上昇が認知症リスクを高める 日本人1,600人を10年間調査 久山町研究
2019年12月19日
牛乳やチーズなど乳製品が認知症を予防 1日1杯の牛乳は脳の健康にも良いことが判明
全国生活習慣病予防月間
大正製薬 コバラサポート
尿酸値PR
新着ニュース

トピックス&オピニオン
新型コロナウイルス関連

Dr.純子のメディカルサロン こころがきれいになる医学
保健指導リソースガイド
国際糖尿病支援基金
糖尿病ネットワーク 患者さん・医療スタッフのための糖尿病の総合情報サイト
糖尿病リソースガイド 医師・医療スタッフ向け糖尿病関連製品の情報サイト
日本健康運動研究所 健康づくりに役立つ情報満載。運動理論から基礎、応用を詳細に解説
セルフメディケーション・ネット セルフメディケーションの基礎から薬の知識までさまざまな情報を提供
日本くすり教育研究所 小・中学校で「くすり教育」を担う指導者をサポート