一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
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WHOの運動推進グローバル計画 運動不足は世界に蔓延 日本でも3人に1人が運動不足 「世界行動計画」の日本語版を公開

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 一無・二少・三多 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 動脈硬化 がん 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 身体活動・運動不足

 世界保健機関(WHO)によると、世界の14億人が運動不足で、2型糖尿病、心血管疾患、がん、認知症などの危険性が高まっている。日本でも3人に1人以上が運動不足だ。
 慶應義塾大学スポーツ医学研究センターなどは、WHOが2018年に発表した身体活動や運動についての世界行動計画「身体活動に関する世界行動計画2018-2030」の日本語版を作成した。
よりアクティブに体を動かす社会の実現に向けて
 慶應義塾大学スポーツ医学研究センターなどは、世界保健機関(WHO)が2018年に発表した身体活動や運動についての世界行動計画「身体活動に関する世界行動計画2018-2030」の日本語版を作成した。

 運動や身体活動を習慣として行うことは、心疾患、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、結腸がんなどの非感染性疾患(NCDs)の予防と治療に役立つ。さらには、高血圧、過体重・肥満の予防や、メンタルヘルス、生活の質(QOL)およびウェルビーイングの改善にも効果がある。

 人々がよりアクティブに生活する社会が実現すれば、さまざまな健康上のベネフィットを得られるだけでなく、化石燃料の使用が抑制され、きれいな空気が生み出され、渋滞のない安全な交通が実現できるなど、より多くの収益を得られるようになる。
運動不足を2025年までに10%減、
2030年までに15%減
 世界保健機関(WHO)は世界行動計画で、運動不足の人を2025年までに10%減らし、2030年までに15%減らすことを目標としている。すべての国で適用・応用可能な科学的根拠のある20項目の政策を提案している。

 これらは2030年の持続可能な開発目標(SDGs)のうち13の領域と相互に連携しており、目標のの達成に貢献するものだとしている。さらに、健康やスポーツ分野だけでなく、都市計画・交通・研究・医療機関などが協力して、社会としてシステム思考として実施していく必要があると強調している。
37%の人が運動不足
 運動ガイドラインでは、活発なウォーキングなどの中強度の運動を1日30分、成人は週に5日以上行うことを推奨している。週に2日以上の筋力トレーニングを含めたり、長時間座り続けるのを避けることなども勧めている。

 2016年には、世界の男性の4人に1人(23%)、女性の3人に1人(32%)が、健康を維持するのに必要な運動・身体活動を行っていないことが判明した。運動不足の程度は高所得国では37%に上り、5年間で5%増加している。

 研究は、168ヵ国の18歳以上の成人約190万人を対象に行われた調査をもとにしている。それによると、2001〜2016年に身体活動レベルはほとんど改善しておらず、こうした傾向が続くと、2025年までに世界で運動不足を10%減らすというWHOの目標を達成するのは難しくなる。
日本でも3人に1人以上が運動不足
 豊かな国では、座ったまま過ごす生活が定着し、交通やレクリエーションでも体をあまり動かさなくなっている。

 運動不足の成人の割合は、米国で40.0%、英国で35.9%、ドイツで42.2%、フランスで29.3%、デンマークで28.5%、韓国で35.4%、ブラジルで47.0%に上る。

 日本では成人の35.5%(男性33.8%、女性37.0%)が運動不足だ。米英に比べると改善傾向にあるが、それでも3人に1人以上が運動不足という状況にある。
運動で糖尿病、心疾患、がんなど医療費も減らせる
 「主要な健康リスクについては改善がみられた項目もありますが、運動不足については世界的に改善していません」と、WHOのレジーナ ガットホールド氏は言う。

 「政府は、スポーツやレクリエーションをできる場を整備し、国民がウォーキング、サイクリング、水泳、ダンス、活発なレクリエーションなどの運動に積極的に取り組めるよう対策する必要があります」と、ガットホールド氏は言う。

 「活発に体を動かす生活を選ぶために、プロスポーツ選手のようになる必要はありません。エレベータの代わりに階段を使う、近所で買い物するために車ではなく徒歩で行く、自転車で通勤する、そんなことでも十分です。毎日の積み重ねが大切です」と、WHO事務局長のテドロス アダノム氏は言う。

 「世界的に、糖尿病、心疾患、がんなどの医療費が増加していますが、それには運動不足が大きく関わっています。運動不足を解消することで、これらの疾患を改善できる可能性があります」と、オーストラリアのシドニー大学のメロディー ディン氏は指摘している。
WHOが掲げる「4つの行動目標」とは
 WHOが掲げる「4つの行動目標」は、(1)アクティブな社会を創造、(2)アクティブな環境を創造、(3)アクティブな人々を育む、(4)アクティブな システムを創造というもの。

(1)アクティブな社会を創造 社会規範と心構え

 定期的な身体活動は、あらゆる年齢・能力に応じて、多様な効果があります。このことへの知識と理解を深め、真価を認め、社会全体にパラダイムシフトを起こします。

(2)アクティブな環境を創造 場所と空間

 あらゆる年齢の人々が、個々の能力に応じ、市街やコミュニティで、定期的な身体活動を行うために、安全な場所や空間へ平等にアクセスできる権利の保有を促進し、それらの環境を創造・維持します。

(3)アクティブな人々を育む 機会とプログラム

 あらゆる年齢・能力の人々が、定期的な身体活動に取り組むことを支援するため、個人、家族、コミュニティなど、どのような方法でも参加できるよう、さまざまな状況でプログラムへアクセスできる機会を創出・促進します。

(4)アクティブなシステムを創造 ガバナンスと政策の成功要因

 リソースをうまく活用し、不活動の解消を実現していくためには、分野をまたいだリーダーシップ、ガバナンス、多様な分野間のパートナーシップ、従事者の能力強化、分野間のアドボカシーや、情報システムを構築・強化し、身体活動の増加や座位行動の減少に向けて国際間、国内、地域で協調した活動を行います。
WHO『身体活動に関する世界行動計画2018-2030』の日本語版完成のお知らせ(慶應義塾大学 2020年2月10日)

Physical activity(世界保健機関)
More active people for a healthier world - The global action plan on physical activity 2018 - 2030(世界保健機関)
Globally, 1.4 billion adults at risk of disease from not doing enough physical activity(ランセット 2018年9月4日)
Worldwide trends in insufficient physical activity from 2001 to 2016: a pooled analysis of 358 population-based surveys with 1·9 million participants(ランセット グローバル ヘルス 2018年9月4日)
[Terahata]

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