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お酒とタバコは「食道がん」リスクを高め合う 両方あるとリスクは17倍に上昇 片方を止めただけでも予防効果が

キーワード: 二少(少食・少酒) 一無・二少・三多 アルコール性肝炎 がん 「無煙」喫煙は万病の元 「少酒」お酒はほどほどに 「少食」食事は腹7~8分目 飲酒 喫煙

 飲酒・喫煙の組み合わせにより、食道がん罹患リスクが上昇することが、日本人男性16万人超を対象とした、愛知県がんセンターなどの研究で明らかになった。飲酒と喫煙の両方があると、食道がんリスクは最大で17倍に上昇する。
 一方、どちらか片方を止めただけでも、食道がんのリスクを6割下げられることも示された。
飲酒と喫煙の組み合わせで食道がんリスクが大きく上昇
 飲酒・喫煙の組み合わせにより、食道がん罹患リスクが上昇することが、日本人男性16万人超を対象とした研究で明らかになった。飲酒と喫煙が組み合わさることで食道がんのリスクを互いに高め合う交互作用が起こることが、日本人を対象としたコホート研究ではじめて示された。

 さらに、日本人男性の食道がんの80%は禁酒と禁煙により予防可能であり、禁酒だけでも60%、禁煙だけでも55%、それぞれ食道がんを予防できることが、人口寄与危険割合から推測された。人口寄与危険割合とは、もしも特定の原因がなかったら、どれだけ病気を減らせるかを示した指標。

 飲酒と喫煙はそれぞれが多くの病気の原因になり、食道がんの主要な原因でもあることは、これまでの世界中の研究で裏付けられている。また、飲酒も喫煙もする人では、どちらか単独の人に比べ、食道がんのリスクが非常に大きくなる交互作用があると考えられている。

 今回の日本人を対象とした研究で、飲酒と喫煙の交互作用がはじめて解明された。研究は、愛知県がんセンターがん予防研究分野の尾瀬功主任研究員らと国立がん研究センターのHadrien Charvat客員研究員らが共同で行ったもの。研究の詳細は医学誌「Cancer Medicine」に掲載された。
飲酒と喫煙の相加的交互作用を算出
 交互作用は、病気の原因となる要因が複数あるとき、それぞれの原因同士が病気を起こす作用を強め合う現象。実際のリスクが単独のリスク同士を足し算したより大きい場合を相加的交互作用があると言い、単独のリスク同士をかけ算したより大きい場合を相乗的交互作用があるとしている。

 交互作用の研究の多くは、相乗的スケールで検討しているが、研究グループは今回の研究で、より小さな交互作用も検出できるよう、相加的スケールも加えて検討を行った。また、求めた相加的交互作用を考慮することで、食道がんのどれだけの割合が飲酒や喫煙によって発生したのかを求めた。

 研究は、日本で行われた大規模な8件のコホート研究に参加した合計16万2,826人の男性のデータをプール解析したもの。対象となったコホート研究は、多目的コホート研究(JPHC-I、JPHC-II)、JACC研究、大崎国保コホート研究、宮城県コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、高山スタディの8件。

 研究グループは、女性は食道がん罹患率、飲酒割合、喫煙割合がいずれも低いため除外し、男性のみで解析を行った。それぞれのコホートで、調査開始時の飲酒習慣と喫煙習慣をそれぞれ2段階で評価、また飲酒量と喫煙量をそれぞれ3段階で評価し、その組合せ毎に食道がんリスクを算出した。

 食道がんリスクはCox比例ハザードモデルを用いてコホートごとに算出し、その結果をメタ解析の方法で統合した。次に、統合したリスクを用いて交互作用の計算を行った。
飲酒と喫煙の組合せにより食道がんリスクは最大16.8倍に上昇
 計16万2,826人の男性を平均12.6年追跡し、954例の食道がんの発生が確認された。この集団での飲酒率は78.5%、喫煙率は60.6%だった。

 解析した結果、飲酒も喫煙もしない人に比べ、飲酒者では2.76倍、喫煙者では2.77倍、食道がんリスクが上昇することが明らかになった。さらに、飲酒も喫煙も両方する人はリスクは8.32倍に上昇し、飲酒と喫煙の組合せにより食道がんリスクが高くなることが示された。

 さらに、飲酒量と喫煙量を3段階で評価した結果、飲酒量がエタノール換算で23g以下で喫煙をしない人に比べ、飲酒量が46g以上で喫煙が40パックイヤー超の人の食道がんリスクは16.8倍となり、組合せによってリスクが大きく上昇することが確認された。

飲酒・喫煙の組み合わせと食道がんリスク
出典:愛知県がんセンター研究所、2020年
お酒とタバコのどちらか片方を止めるだけでも予防効果がある
 研究グループは、食道がんリスクと飲酒者・喫煙者の割合から、飲酒または喫煙を原因として発生した食道がんの割合を推測する人口寄与危険割合も計算した。

 その結果、日本人男性の食道がんの81.4%は飲酒または喫煙が原因で発生しており、飲酒単独で61.2%、喫煙単独で55.4%、それぞれ食道がんの原因になっていることが示された。

 つまり、お酒とタバコの両方を止めることで食道がんの約8割を予防でき、お酒だけ、あるいはタバコだけを止めることでも約6割の食道がんを予防できることが明らかになった。

 「飲酒と喫煙はそれぞれ単独で食道がんのリスク要因になりますが、合わさることでリスクが増強されることが分かりました。そのため、食道がんの予防のためには、お酒とタバコの両方を止めることがもっとも良い方法ですが、せめてどちらか片方を止めるだけでもある程度の予防効果を得られると考えられます」と、研究グループでは述べている。

 今回の研究で明らかになった飲酒と喫煙の相加的交互作用とその大きさから、2つの展開が考えられるという。「食道がんを予防するための飲酒対策と喫煙対策では、お酒とタバコを1つずつ、あるいは片方だけを止めることも選択肢となりえます。個人に適した予防の実践が期待されます」としている。

愛知県がんセンター研究所 がん予防研究分野
Revisit of an unanswered question by pooled analysis of eight cohort studies in Japan: Does cigarette smoking and alcohol drinking have interaction for the risk of esophageal cancer?(Cancer Medicine 2019年9月1日)
[Terahata]

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