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中年期の肥満やフレイルは将来の認知症リスクを高める 若い頃から対策する必要が

キーワード: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 二少(少食・少酒) 一無・二少・三多 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム 骨粗鬆症/ロコモティブシンドローム/サルコペニア 「少食」食事は腹7~8分目 三多(多動・多休・多接) 「多動」身体を活発に動かす 食生活 身体活動・運動不足

 中年期に肥満であると、15年後に認知症の発症リスクが高くなることが、英国の50歳以上の成人6,582人を追跡した調査で明らかになった。
 フレイル(虚弱)も危険因子であることも分かった。若いころから、肥満とフレイルに対策しておくことが重要であることが示された。
認知症リスクを減らすために若い頃から肥満に対策する必要が
 中年期に肥満であると、15年後に認知症の発症リスクが高くなることが、英国の研究で確かめられた。体重コントロールが、認知症リスクの軽減で重要な役割を果たしているという。

 壮年期・中年期に肥満にある人は、BMI(体格指数)が正常範囲内にある人に比べて、15年後に認知症のリスクが31%増加するという。女性ではとくに肥満が認知症に影響しやすい。

 「肥満が認知症リスクを高めている可能性が示されました。認知症を予防するために、若い頃からBMIとウエスト周囲径の両方をチェックし、代謝異常を改善する必要があります」と、ユニバーシティ カレッジ ロンドン(UCL)疫学健康学部のドリーナ カダール氏は言う。

 「肥満のある人は、なるべく適正体重に近づけるために、健康的で栄養バランスの良い食事をとり、運動や身体活動を習慣として行い、アルコールの過剰摂取を避けることが大切です。そして、そのことをライフスパン全般にわたって続ける必要があります」。
肥満の人は認知症リスクが31%上昇
 カダール氏らは、英国の50歳以上の成人を追跡して調査している「英国高齢者縦断研究(ELSA)」に参加した、研究開始時に認知症のなかった6,582人のデータを分析。

 参加者をBMIにより、標準体重(18.5〜24.9)、過体重(25〜29.9)、肥満(30kg)に分類し、また、女性ではウエスト周囲径88cm超、男性では102cm超で区分した。

 平均11年の追跡期間中に、453人(6.9%)が認知症を発症。解析した結果、研究開始時に肥満であった人は標準体重の人に比べて、認知症の発症リスクが31%高いことが明らかになった。

 肥満と認知症のリスクとの関連には男女差がみられ、とくに肥満で腹囲に異常のあった女性は、腹囲が正常だった女性と比べ、認知症リスクが39%高かった。

 これまでの研究で、肥満が脂肪細胞由来のサイトカイン(細胞伝達物質)とホルモンの分泌に直接的に影響し、または血管の危険因子への悪影響を介して間接的に、認知症のリスクを高めることが示唆されている。

 また、過剰な体脂肪が、代謝および血管の経路を通じて、脳内のアミロイドタンパク質や病変の蓄積を促し、認知症リスクを上昇させる可能性が指摘されている。

 今後の研究では、肥満、高血圧、糖尿病、認知症のリスクを高めるApoEε4遺伝子などの相互作用が、認知症リスクにどう影響するかを調査する予定だ。
フレイル(虚弱)も認知症リスクを上昇
 UCLの過去の研究では、フレイル(虚弱)のある高齢者でも、認知症リスクが上昇することも分かっている。フレイルのある高齢者は、フレイルのない同世代の人よりも、10年後に認知症を発症するリスクが5倍に上昇するという。

 フレイルは、高齢化にともない、身体的機能や認知機能の低下がみられる状態で、運動障害、全身の健康状態、視力、聴力などが低下し、心血管疾患やうつ病などの慢性疾患をともなうことも多い。

 UCLの研究グループは、「英国高齢者縦断研究(ELSA)」に参加した8,722人のデータを解析。参加者を10年にわたり2年ごとに追跡して調査した。

 その結果、平均年齢64歳時にフレイルだった人は、10年後に認知症を発症するリスクが大幅に上昇することが分かった。フレイル予備群であっても、認知症リスクはほぼ2倍に上昇するという。

 「認知症の治療はとても困難なので、なるべく発症や進行を遅らせることが重要です。食事の改善や、運動や身体活動を習慣として行うなど、早くから対策することが必要です」と、UCL疫学・公衆衛生学部のニーナ ロジャース氏は言う。
生活スタイルを改善すれば認知症は予防できる
 「認知症は高齢者で非常に増えており、イングランドとウェールズでは、高齢化にともない、認知症患者数は2016〜2040年に57%増加すると予測されています」と、ロジャース氏は指摘する。

 「フレイルのある人は、そうでない人であれば比較的取るに足らないと感じるような衝撃であっても、悪影響を受ける可能性が高いのです。フレイルの人にとって、軽度の感染や転倒が、健康の急速な悪化や障害、骨折、入院と早死につながります」。

 「認知症を根治し発症前に戻す方法は開発されていません。認知症のリスクを減らし、発症を遅らせる費用対効果の高いアプローチを開発することが急務です」。

 認知症の発症には、加齢に加えて、遺伝的リスクがともなうが、残念ながら、年齢や遺伝子を変更することはできないという。

 「しかし、認知症を予防することは可能です。食事や運動などの健康的な生活スタイルを維持することで、心血管疾患やフレイルのリスクを下げることができ、認知症のリスクも抑えられる可能性があります」と、ロジャース氏は強調している。

Obesity linked to higher dementia risk(ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2020年7月7日)
Higher risk of dementia in English older individuals who are overweight or obese(International Journal of Epidemiology June 2020年6月23日)
Higher risk of dementia among frail older adults(ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2017年11月16日)
Frailty is an independent predictor of incident dementia: Evidence from the English Longitudinal Study of Ageing(Scientific Reports 2017年11月16日)
[Terahata]

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