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糖尿病の人は筋肉が低下しやすい 高齢化と糖尿病の負のサイクル 運動と食事で対策を

キーワード: 生活習慣 糖尿病 身体活動・運動不足

 誰でも高齢になると若いときに比べ筋肉が低下しやすくなるが、2型糖尿病のある高齢者ではとくにそのリスクが高くなることが分かった。
 広島大学の研究グループは、2型糖尿病が筋肉量の低下をもたらすことを解明し、加齢がその関係性を加速させる可能性があることを明らかにした。
 加齢そのものを止めることはできないが、筋肉量の低下を防ぐことは、食事や運動などの生活スタイルを工夫すれば可能だ。
 「加齢と糖尿病の負のサイクルを防ぐことは、健やかな老後(サクセスフル・エイジング)を達成するために重要です」と、研究者は述べている。
高齢になると筋肉が低下しやすくなる
 高齢者の人口は世界的に増加しており、高齢者の割合は2015年には12%だったが、2050年には22%と約2倍に増えることが予測されている。高齢化にともないさまざまな病気のリスクが上昇するが、2型糖尿病もそのひとつだ。

 世界の糖尿病人口は2019年には4億6,300万人で、成人(20〜79歳)の11人に1人が糖尿病だが、2030年までに5億7,800万人に増えると予想されている。

 糖尿病は筋肉量の低下をもたらし、また筋肉量の低下が糖尿病のリスクを高めるという双方向の関係が、さまざまな研究で報告されている。

 しかし、高齢化が糖尿病と筋肉低下の関係にどのように影響するかについてはよく分かっていない。世界的な高齢化社会の到来で、年齢が筋肉低下にもたらす影響を解明することは、筋肉低下を防ぎ、糖尿病のリスクを減らすために重要となる。

 そこで広島大学の研究グループは、1998〜2006年に「ゆうぽうと健診センター」が関東で実施した健診データを利用し、6,133人の65歳以上の高齢者を対象に、各年齢群での糖尿病と筋肉量低下の関係を評価した。

関連情報
糖尿病の人は筋肉量が低下しやすい
 研究グループは、筋肉量を知るために「血清クレアチニン値」を利用した。クレアチニンは筋肉で産生される老廃物で、主に腎機能の指標として使われているが、研究では筋肉量の代替指標として利用されることがある。

 年齢の増加とともに、糖尿病の人でも糖尿病ではない人でもクレアチニン値は増加するが、糖尿病の人では男女ともに、よりクレアチニン値が低くなり、筋肉量が低下していることが示された。

 また、早期高齢者(65〜69歳)、中期高齢者(70〜74歳)、後期高齢者(75歳以上)の群で、それぞれ糖尿病患者および非糖尿病患者で、クレアチニン値が低くなる(25%tile以下、男性 61.9μmol/L、女性 53.0μmol/L)割合をみたところ、どの年齢群でも糖尿病群は非糖尿病群に比べ、クレアチニン値が低くなる傾向がみられた。

 この関係性は年齢層によって異なり、とくに75歳以上の後期高齢者でより顕著だった。
筋肉量の低下を防ぎサクセスフル・エイジングを
 これらから、加齢は糖尿病と低クレアチニン値(筋肉量の低下)の関係に影響をおよぼすことや、糖尿病の人が後期高齢者になると、筋肉量が低下するリスクがより高くなることが明らかになった。

 これまでも、筋肉量の低下が糖尿病のリスクを高め、糖尿病は筋肉量の低下をもたらすことが知られていたが、その両方向の負のサイクルは高齢化するとさらに加速することが示された。

 「筋肉量の低下はフレイル(虚弱の状態)のリスク増加につながります。加齢そのものは止められませんが、筋肉量低下を防ぐ取り組みは可能です。このサイクルによる糖尿病の進展を防ぎ、健康寿命延伸を含めた健やかな老後(サクセスフル・エイジング)の達成することが重要です」と、研究者は述べている。

 研究は、広島大学大学院先進理工系科学研究科理工学融合プログラムの鹿嶋小緒里准教授、大学院医系科学研究科地域医療システム学の松本正俊教授、帝京大学医学部地域医療学の井上和男教授によるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載された。

糖尿病の人は食事療法だけでは不十分
運動療法で筋肉を増やすとさらに効果が

 糖尿病の人にとって、筋肉量を低下させないことは、とても重要になる。筋肉を減らさないために、若いうちから対策することが重要だ。

 筋肉はエネルギーの貯蔵庫でもあり、血糖値の調整にも大きく関わっている。血液中に増えた糖の多くは、筋肉にも貯めこまれる。筋肉の量が減ると、糖を貯めておく場所が少なくなるため、糖を調節する力が低下して血糖値が変動しやすくなる。また、筋肉が減ると感染症に対する免疫機能も低下する。

 30〜50歳代の中年期にあまり運動をしないで過ごすと、年齢を重ねると筋肉が急激に減少する危険性が高まる。筋肉量が多いほど長生きできるという研究もある。

 とくにいまは、コロナ禍による自粛生活の長期化により、身体機能や認知機能が低下した状態である「フレイル」や「サルコペニア」が悪化しやすくなっている。意識して体を動かし、運動に取り組むことが大切だ。

運動で筋肉を増やす

 筋肉量を維持し増強するために、運動が欠かせない。筋肉量を維持するために、いまより10分多く体を動かすことから始め、慣れてきたらウォーキングなどの時間を増やしていくことが大切。
 筋肉量は年齢とともに低下しやすくなるが、筋力トレーニング(筋トレ)を行えば、高齢になっても筋肉を増やすことができる。筋力が低下している人は、下半身を中心に筋トレを行うと、効率的に筋力アップができる。軽い負荷をかけた状態で筋肉をゆっくり動かすスロートレーニングも勧められる

食事で良質なタンパク質を摂る

 筋肉を効率よく増やすためには、運動とともに栄養が重要となる。とくに大切な栄養素がタンパク質だ。
 肉・魚・卵・牛乳などの「動物性タンパク質」と、大豆や穀物などに含まれる「植物性タンパク質」を、バランスよく摂ることが大切。肉を食べるときは、脂肪分の少ない赤身の肉が勧められる。

糖尿病・体筋肉量減少サイクルの加齢促進モデル

出典:広島大学、2021年

広島大学大学院先進理工系科学研究科
Low creatinine levels in diabetes mellitus among older individuals: the Yuport Medical Checkup Center Study(Scientific Reports 2021年7月26日)
健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)(厚生労働省)
[mhlab]

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