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コーヒーを1日に最大3杯飲むと脳卒中や心臓病のリスクが低下 糖尿病の人にもベネフィットが

キーワード: 生活習慣 食生活 心筋梗塞/狭心症 脳梗塞/脳出血

 コーヒーを軽度から中程度、毎日飲んでいると、健康上のベネフィットを得られるという研究が、欧州心臓病学会で発表された。
 コーヒーを1日に最大3杯飲んでいると、すべての原因による死亡のリスクが12%、心血管疾患による死亡のリスクが17%、脳卒中の発症リスクが21%、それぞれ減少するという。
 英国で実施されている大規模研究に参加している46万8,629人を、11年間追跡して調査した。
コーヒーが心血管の健康に及ぼす影響を調査
 コーヒーを1日に最大3杯飲む生活スタイルは、心筋梗塞などの心血管疾患や脳卒中など、命に関わる深刻な病気のリスクの低下と関連しているという研究が、欧州心臓病学会(ESC)の年次学術集会で発表された。

 コーヒーは世界でもっとも多く飲まれている飲料の1つだが、コーヒーを飲む習慣が心血管の健康に及ぼす長期的な影響についてはよく分かっていなかった。

 「今回の研究では、コーヒーを毎日飲む習慣が、心血管系の疾患にどのように影響するかを、心臓病と診断されていない集団を対象に体系的に調べました。これまでに知られているなかで最大の研究です」と、ハンガリーのセンメルワイス大学心臓血管センターのジュディット サイモン氏は述べている。

 「研究で分かったことの1つは、コーヒーを毎日大量に飲んでいても、10〜15年というフォローアップ期間で、心血管系への有害な影響や、すべての原因による死亡は増えなかったことです。コーヒーを飲む習慣はおそらく安全ということです」と、サイモン氏は言う。

 「さらには、コーヒーを1日に0.5〜3杯飲んでいると、脳卒中、心血管疾患による死亡、およびあらゆる原因による死亡のリスクが低下することも示されました」。
50万人対象の大規模調査
 研究では、日常でのコーヒー摂取量と、偶発的な心臓発作、脳卒中、死亡との関連が調査された。対象となったのは、英国で実施されている大規模調査である「UKバイオバンク」に登録された46万8,629人の中高年。参加者は、研究開始時に心臓病の兆候がなく、平均年齢は56.2歳で、55.8%が女性だった。

 「UKバイオバンク」は、2006年に設立された、40〜69歳の中高年約50万人を対象に追跡して調査している大規模研究。血液やDNAサンプル、生活習慣や身体活動レベルなどの関連を調べている。

 研究グループは、参加者を日常でのコーヒー摂取量に応じて、「コーヒーを飲まない」(22.1%)、「軽度〜中程度(1日に0.5〜3カップ)飲んでいる」(58.4%)、「多く(1日に3カップ以上)に飲んでいる」(19.5%)という3つのグループに分けた。

 多変数モデルを使用して、約11年間(中央値)の追跡期間に、毎日のコーヒー摂取量と健康状態との関連を解析した。そのときに、年齢、性別、体重、身長、喫煙状態、身体活動、高血圧、糖尿病、コレステロール値、社会経済的状態、アルコール・肉・お茶・野菜・果物の摂取量など、影響をもたらす可能性のある因子について調整した。
コーヒーを0.5〜3カップ飲んでいる人は心血管疾患や脳卒中のリスクが低下
 その結果、コーヒーを1日に0.5〜3カップ飲んでいる人は、まったく飲まない人に比べ、すべての原因による死亡のリスクが12%低く(ハザード比[HR]=0.88、p<0.001)、心血管疾患による死亡のリスクが17%低くなった(HR=0.83、p=0.006)。脳卒中の発症リスクは21%低かった(HR=0.79、p=0.037)。

 研究グループはさらに、コーヒーの効果の隠されたメカニズムをさぐるため、11年間の追跡期間にわたり、毎日のコーヒー摂取量と心臓の構造や機能との関連を分析した。心臓の構造と機能を評価するための標準基準とされている心臓磁気共鳴画像法(MRI)の検査を受けた3万650人のデータを使用した。

 その結果、「画像分析では、コーヒーを毎日飲んでいる人は、飲まない人に比べ、心臓のサイズや機能がより健康的であることが分かりました。これは、心臓の加齢による有害な影響を逆転させることと一致していました」と、サイモン氏は指摘している。

 「今回の研究で、コーヒーを1日あたり最大3カップ飲んでいると、良好な心血管転帰と関連していることが示されました。今後は、根本的なメカニズムを解明する研究が必要となりますが、観察されたコーヒーの利点は、心臓の構造と機能の好ましい変化により部分的に説明できる可能性があります」と、サイモン氏は結論付けている。
糖尿病の人がコーヒーを飲むと死亡リスクが低下するという研究も
 過去には、2型糖尿病の人が緑茶やコーヒーを毎日飲むと、死亡リスクの低下につながるという研究も発表されている。

 研究は、九州大学などが行っている前向きゲノムコホート研究「福岡県糖尿病患者データベース研究」(FDR)で明らかになったもの。

 1日4杯以上の緑茶と2杯以上のコーヒーを飲むと、約5年間で死亡リスクが63%低下することが示された。

 コーヒーを飲んでいる人では死亡リスクは、1日1杯では19%低く、1日2杯以上では41%低かった。

 コーヒーが健康にもたらす効果やメカニズムについて、すべては解明されていないが、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸には強い抗酸化作用があり、体脂肪が減る、血圧を下げる効果があるという報告がある。

 また、緑茶やコーヒーにはカフェインも含まれている。カフェインには中枢神経に働きかけ、眠気や疲労を抑え、運動機能を高める興奮作用などがある。カフェインは、血糖を下げるインスリンの産生と感受性にも影響すると考えられている。

 ただし、カフェインを大量に摂取すると不眠症や神経症などにもなりやすくなる。カフェインの過剰な摂取にも注意が必要で、とくに夜遅い時間や就寝前には飲まないようにするなど工夫も必要だ。

Light-to-moderate coffee drinking associated with health benefits(欧州心臓病学会 2021年8月28日)
Drinking green tea and coffee daily linked to lower death risk in people with diabetes(BMJ 2020年10月2日)
Additive effects of green tea and coffee on all-cause mortality in patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry(BMJ Open Diabetes Research & Care 2020年10月21日)
[mhlab]

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