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【新型コロナ】糖尿病と肥満の人はなぜ重症化しやすい? 感染と重症化を防ぐためにこれが必要

キーワード: 生活習慣 糖尿病 肥満症/メタボリックシンドローム

 新型コロナに感染し発症すると、糖尿病の人は重症化しやすく、さらには糖尿病ではない人も高血糖になることが多いことが知られている。
 米国の研究で、新型コロナが血糖値を上昇させるメカニズムが分かってきた。
 新型コロナウイルスは、主要な代謝シグナルを破壊し、それにより高血糖を引き起こし、多くの患者に重症化と高い死亡リスクをもたらしている可能性がある。
新型コロナが高血糖を引き起こす
 糖尿病の主要な病態である高血糖は、炎症と感染症に対する免疫力の低下を促すことが知られている。新型コロナウイルス感染症の拡大がはじまった初期の段階で、感染して重症化した患者の多くで血糖値が高い状態(高血糖)がみられることが分かっていた。

 さらに、糖尿病の病歴のない患者でも、新型コロナの発症により高血糖になることがあると報告されるようになった。入院した新型コロナ患者の高血糖は、より悪い予後と関連しているという。

 新型コロナウイルスは、血糖値の調節を助けるホルモンである「アディポネクチン」の脂肪細胞での産生を妨害し、高血糖を誘発している可能性があることが、米国のウェイルコーネル医科大学などの研究で示された。

 新型コロナウイルスは、主要な代謝シグナルを破壊し、それにより高血糖を引き起こし、多くの患者に重症化と高い死亡リスクをもたらしている可能性がある。研究の詳細は、医学誌「Cell Metabolism」に発表された。
高血糖になった新型コロナ患者は重症化しやすい
 「ホルモンは内臓などから分泌されるものと考える人も多いと思いますが、脂肪細胞からも分泌されています。脂肪細胞からはホルモンだけでなく多くの生理活性のある保護タンパク質が分泌されており、なかでもアディポネクチンは注目されています」と、ウェイルコーネル医科大学の代謝内科・心臓血管研究所のジェームズ ロー氏は言う。

 アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種。糖や脂肪をエネルギーとして活用するのを促すAMPキナーゼを活性化したり、脂肪燃焼を促し、インスリン抵抗性を抑えるなどの働きがあり、食欲やエネルギー代謝の調節にも関わっていると考えられている。

 アディポネクチンの減少は、2型糖尿病や肥満の悪化や動脈硬化を促し、循環器疾患の発症リスクを高めるとみられている。

 研究グループは、新型コロナに感染しニューヨーク市内の病院に入院した3,854人の患者の記録を分析した。これらの患者のほぼ半数(49.7%)は、入院時に高血糖であったか、入院中に高血糖を発症したことが分かった。

 高血糖になった新型コロナ患者は、より悪い転帰に強く関連していた。血糖値が正常な患者よりも高い高血糖の患者は、重度の肺機能障害(急性呼吸窮迫症候群、ARDS)を発症した割合が9倍、人工呼吸器が投入される割合が15倍それぞれ高く、死亡リスクも3倍に上昇した。
新型コロナウイルスがアディポネクチンの産生を妨害?
新型コロナ患者でアディポネクチンが減少

Cell Metab. 2021 Sep 16;S1550-4131(21)00428-9.
 インフルエンザや細菌性肺炎など他の感染症でも高血糖が起こることがあるが、これらは主に血糖値を調節する重要なホルモンであるインスリンを産生するβ細胞の減少や機能不全によって引き起こされることが多い。

 一方で、新型コロナの患者では、高血糖は主にインスリン抵抗性によって引き起こされるという。インスリン抵抗性とは、血糖を下げるホルモンであるインスリンに対する、全身の細胞の感受性が低下している状態のこと。インスリンは十分に作られていても、その効果を発揮できない状態をさす。

 さらに調べたところ、新型コロナによりARDSを発症した患者では、脂肪細胞によって産生されるホルモンであるアディポネクチンの血中濃度が大幅に低下していることが明らかになった。

 新型コロナウイルスが脂肪細胞のアディポネクチン産生を妨害するメカニズムについて、詳しくはまだ明らかにされていない。ウイルスにより炎症の一般的レベルを上げることによって間接的に引き起こされたり、脂肪細胞が破壊される可能性を考えている。

 研究グループは、新型コロナウイルスがヒトやマウスの脂肪細胞に感染し、アディポネクチン産生を直接的に妨害する可能性について検討している。

 「解明できれば、新型コロナウイルス感染症に対する新しい展望を開き、患者さんの一部で新型コロナの予後が悪化する原因について明らかにすることができます」と、ロー氏は言う。
肥満の患者はインスリン抵抗性と脂肪細胞の機能障害がある可能性
 「たとえば肥満のある患者さんは、すでにインスリン抵抗性と脂肪細胞の機能障害をある程度もっている可能性があり、脂肪細胞が感染しやすいため、新型コロナウイルスに対してより脆弱であるおそれがあります」と、ロー氏は指摘する。

 新型コロナ対策として、まず勧められるのは、予防ワクチン接種を受けること、さらには屋内環境でのマスク着用や、手洗いや消毒を徹底するなど、これまで言われ続けてきた一般的な注意事項を守ることだ。

 それらに加えて、ふだんから体重をコントロールして、健康的な体重を維持することが大切になる。

 さらに、インスリン抵抗性の改善により血糖を下げる薬であるチアゾリジン薬には、アディポネクチンの分泌を増加させる働きもある。研究グループは、このクラスの血糖降下薬が、高血糖を含む、新型コロナの治療に役立つ可能性についても指摘している。ただし、これを臨床的に実行可能にするためには、さらなる研究が必要となる。

 研究グループは、新型コロナからの回復した患者が、その後も新型コロナにより誘発された高血糖が持続し、糖尿病に進展することがあるかを調査している。

COVID-19 may trigger hyperglycemia and worsen disease by harming fat cells(ウェイルコーネル医科大学 2021年10月1日)
Hyperglycemia in acute COVID-19 is characterized by insulin resistance and adipose tissue infectivity by SARS-CoV-2(Cell Metabolism 2021年9月16日)
[mhlab]

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