2011年04月28日
協会けんぽの業績評価 健診やメタボ対策は「改善が必要」
カテゴリー:
メタボリックシンドローム 健診・保健指導
全国健康保険協会業績評価に関する検討会
厚生労働省は25日、2008〜09年度に全国健康保険協会(協会けんぽ)が実施した健康保険事業の業績に対する評価結果を公表した。医療費適正化や業務の効率化への積極的な取り組みについては「評価できる」として、効率化の推進、研修による情報共有などについて「順調に事業の遂行レベルが上昇している」とした。一方、保健事業関係については「設定した目標と実施率との乖離が極めて大きい」とし、改善を求めた。
厚労省は、健診機関の拡大や、後発(ジェネリック)医薬品の使用促進、生活習慣病予防健診の検査項目の減少などについて、「改善が認められる」と一定の評価を示した。
同協会は、生活習慣病予防健診を35歳以上に実施しており、特定健康診査(40歳以上)を包括して行っている。2009年度は健診機関を前年度より150機関多い2,465機関に増やすなど、受診機会の拡大に努めた。
また、2009年度に「ジェネリック医薬品希望カード」を3,300万枚作成し、医療費通知などに同封して配付。ジェネリック医薬品に変えた場合に、薬代の自己負担の軽減が見込まれる40歳以上の加入者に、薬代の自己負担軽減額の通知を09年度から開始した。10年1月から同年6月にかけて全国の約145万人の加入者に通知し、年間約70億円の医療費の軽減効果があった。
しかし、健診機関の事業所の規模が小さく、勤務形態が多様で広域に点在していることから、効果的な勧奨が難しいなどの要因により、特定健診実施率の2009年度の実績は38.3%に留まり、目標である42.5%に届かなかった。
メタボリックシンドロームの該当者と予備群の減少率の2012年度の目標を対08年度比10%としているが、該当者のリスク保有割合の減少率は09年度の対前年度比で0.2%にとどまり、達成率が低かった。
厚労省は「目標に対する達成度が著しく不十分」として、健診の受診を被保険者・事業主に対して積極的に働きかけ「メタボリックシンドロームの減少や医療費増の軽減などの効果を上げるための保健事業の再構築が必要」としている。
全国健康保険協会は、2006年の医療制度改革で政府管掌健康保険が民営化され、08年10月に発足した。健康保険法では、厚労省が年度ごとに全国健康保険協会の業績評価を行うことを定めている。
全国健康保険協会業績評価に関する検討会(厚生労働省)
(TERA)