2012年05月24日
非感染性疾患(NCD)の予防に向けて行動 WHO世界保健統計
カテゴリー: 高血圧 脂質異常症(高脂血症) 糖尿病 動脈硬化 心筋梗塞/狭心症 COPD(慢性閉塞性肺疾患)) がん 慢性肺疾患
NCDは世界的に中年・高齢者で急増している。2008年の世界の死亡数5,700万人のうち、63%にあたる3,600万人がNCDによるものだ。WHOは、NCDによる死亡数は2030年までに5,500万に増加すると予測している。
NCDによる死亡で割合が高いのは、「心疾患」(48%)で、次いで「がん」(21%)、「慢性呼吸病」(12%)と続く。心疾患による年間死亡数は1,700万人(2008年)から2,500万人(2030年)、がんによる死亡数は760万人(同)から1,300万人(年)に増加すると予測している。
冠性心疾患や脳血管障害に共通する原因の約8割は、喫煙、運動不足、不健康な食事、アルコールの過剰摂取などの不健康な生活習慣だ。WHOは死亡率を引き上げる要因として、(1)高血圧、(2)喫煙、(3)高血糖(糖尿病)、(4)運動不足、(5)肥満を挙げている。
世界の成人の3人に1人は高血圧だと推定されている。脳卒中と冠性心疾患のおよそ半分で高血圧が原因となっており、2004年には全死因の13%にあたる750万人の死亡の直接原因だったとみられている。
医療の進んだ高所得国では、血圧降下薬による治療が普及した結果、平均血圧は劇的に低下し心臓病による死亡は低下傾向にある。例えば、1980年には欧州の成人の40%、米国の成人の31%が高血圧だったが、治療が普及した結果、それぞれ30%および23%に低下した。
対照的にアフリカ地域では現在、成人の40〜50%が高血圧で、有病率は拡大している。途上国の高血圧有病者の多くは診断もされておらず、心臓病や脳卒中の危険性が高まっている。
糖尿病はNCDによる死亡の直接的な原因であり、全体の3.5%を占める。空腹時血糖高値によって、冠性心疾患では22%、脳卒中では16%、それぞれ死亡率が上昇するという。
よい知らせもある。世界保健統計では、早期に介入すれば、心疾患や脳卒中の80%が予防可能だ。
WHOは下記の対策を世界規模で拡大する必要性を強調している
栄養バランスのよい食事は心臓や循環器を健康にします。野菜や果物、全粒粉、体によい肉や魚を十分にとるようにし、塩分や糖分の摂取を減らしましょう。 | |
1日30分以上の運動や身体活動を習慣として行えば、心臓や血管の健康を維持するのに役立ちます。適正体重を維持するためには1日60分以上の運動が有用です。 | |
たばこは、紙巻きたばこ、葉巻、噛みたばこ、喫煙具など、いろいろなたばこがありますが、どれも体にとっては有害です。受動喫煙の悪影響も深刻です。禁煙した直後から、心疾患や脳卒中の危険性は低下し、1年後には半分ぐらいまで低下します。 | |
高血圧症には自覚症状がありませんが、突然の心臓発作や脳卒中の原因となります。自分の血圧値をチェックしましょう。 | |
高血糖(糖尿病)は、心疾患や脳卒中の危険性を高めます。特に糖尿病の人では血圧や血糖コントロールし、危険性を抑えることが重要です。 | |
高コレステロールなどの脂質異常も、心疾患や脳卒中の危険性を高めます。食事療法や薬物療法で、コレステロール値などを適切にコントロールする必要があります。 |
(mhlab)