2015年08月28日
なぜ女性の方が男性より長生き? 男性も見習いたい7つの生活習慣
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女性の方が男性より長生きする傾向は1800年代半ばにはじまったことが新たな調査で明らかになった。女性の方が長生きする現象には明確な理由があると専門家は指摘している。そこには、男性も見習いたい生活スタイルが含まれている。
女性が長生きするのは世界的な傾向
男性よりも女性の方が長生きするというのは世界的な傾向だ。世界の100歳以上の長寿者の上位を女性が占めている。
日本人の平均寿命は男性が80.2歳なのに対し、女性は86.6歳で、女性の方が6.4年長い(2013年調査)。
先進国では女性の平均寿命は、男性のそれよりもおよそ5~7年長い。女性の方が長寿である傾向は先進国だけでなく途上国でもみられ、医療の発達していないアフリカ諸国でも平均寿命は女性の方が2~5年長い。
南カリフォルニア大学の研究チームは先進国13ヵ国の、1800~1935年生まれの人のデータを分析した。
それによると、女性の方が長寿となる傾向がでてきたのは1800年代半ばのことだという。そして1880年頃から、感染症の予防、ワクチン接種の普及、食事の改善などを要因として男女ともに死亡率が急減しはじめた。
その後、女性の死亡率は急激に減少。1870年以降に生まれた女性では、40歳以降の死亡率が70%減少し、男性の死亡率の減少幅を大きく上回った。結果として現在のように女性の方が長生きするようになった。
女性の方が長生きする7つの理由
コロンビア大学医学部教授で性差医療財団のディレクターを務めるマリアン レガト氏は、早くから性差を配慮した医療を提唱してきた。レガト氏は女性の方が長生きする理由として次の7項目を挙げている。その中には、男性も見習いたい知恵が多く含まれている。
・ 女性ホルモンが動脈硬化を抑える
女性ホルモンであるエストロゲンには血圧を下げ、悪玉のLDLコレステロールの血中濃度を下げる作用などがあり、高血圧や動脈硬化に対して予防的に働く。ほとんどの先進国で50歳未満の男性の死因は心筋梗塞などの心血管疾患が多いが、同年齢の女性では目立って少ないという。
・ 動脈硬化を抑えるアディポネクチン
脂肪細胞から分泌されるタンパク質であるアディポネクチンには、動脈硬化を抑える作用があり、メタボリックシンドロームや2型糖尿病、がんなどに対し予防的に働く。長寿の女性の多くはアディポネクチン値が高く、男性の2倍以上の量が血液中に分泌されているという調査結果がある。
アディポネクチンは内臓脂肪が増えると分泌量が低下するため、男性でも内臓脂肪型肥満を減らすことが長寿の秘訣となる。
・ 女性は心臓病の発症が少ない
心筋梗塞などの心臓病は、高齢者では男女ともに死亡原因の上位に入っているが、男性では40歳代から死亡率が上昇していく。一方、女性では心臓病を発症する年齢は統計的に男性よりも10年遅く、50歳を過ぎるまで発症率は上昇しない。エストロゲンの働きにより、女性は閉経後まで心臓病から守られているといえる。
心臓病の危険因子は、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、高血糖、脂質異常症、喫煙、ストレスなど。男性は40歳を過ぎたら健診を受けて、わずかでも基準値を外れている項目があれば、生活スタイルを見直すことが必要だ。生活を健康的に改善すれば、動脈硬化の進行を防ぎ、心臓病を予防することができる。
・ 女性の方が思慮深い
男性ホルモンであるテストステロンには精神面での作用があり、行動を積極的にする働きをするが、ときには思慮の足りない衝動に駆り立てることもある。米国疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、男性の死因の上位に不慮の交通事故が入るが、女性では大幅に少ない。
・ 基礎代謝量が少ない方が長生きする
女性の体は体脂肪が多く基礎代謝量が少なく、男性は筋肉質で基礎代謝量が多い。このことは、女性が少ないエネルギーで生きていける効率の良い体をもっており、余分なエネルギーを浪費しないで環境の変化に適応でき、生理学的に優れた能力を備えていることを意味する。
マウスやサルなどの動物実験では、基礎代謝量が少ない個体の方が長生きする傾向が示されている。同様に、基礎代謝量の多い肥満の人よりも、標準体重の人の方が長生きしやすいと考えられている。
基礎代謝の中でも骨格筋(筋肉)の代謝が約4割ともっとも多い。肥満のある男性は筋力トレーニングや、ウォーキングなどの有酸素運動を続けて代謝を向上させ、太りにくい体作りをしていくことが重要だ。
・ 女性は社会的なネットワークをつくるのが上手い
米国のブリガムヤング大学の研究によると、女性は男性よりも社会的なネットワークを築くのが上手である傾向があるという。男性は高齢になると一般的に、社会的な関係を築くのが苦手になり、孤独な生活をおくりストレスや悩みをためやすい。結婚している男性の方が、独身の男性よりも健康的という調査結果もある。
同大学の調査によると、友人や家族、隣人、同僚に恵まれた高齢者は、孤独な高齢者に比べ、長生きできる可能性が1.5倍も高いという。高齢化した男性は社会的なつながりを失い孤立状態に陥りやすく、健康状態が悪化しやすい。積極的に社会的なネットワークを保つ対策が必要だ。
・ ふだんから自分の健康状態に注意することが必要
生活習慣の違いも男女の寿命の差に影響している。米国のカイザー家族財団の調査によると、女性のほうが医療機関への通院頻度が高く、食事では栄養バランスに配慮し、アルコールの摂取も少ない傾向があるという。
調査では、男性は年間に医師の診療を受ける頻度が女性よりも24%低く、血中コレステロールの検査を受けなかった比率が22%高いことが示された。こうした生活上の配慮が女性を男性より長命にしている可能性がある。
男性はしばしば、自分の健康状態が悪化しているのを否定したがる傾向がある。ふだんから自分の健康状態に注意し、異常があらわれている場合は適切な治療を継続して受けることが大切だ。
Why Don't Men Live as Long as Women?(南カリフォルニア大学 2015年7月6日)
Foundation for Gender Specific-Medicine
(TERA)