« 2010年12月 | メイン | 2011年4月 »

2011年1月 アーカイブ

2011年1月14日

「紫煙の怖さと無煙を目指す指導の実際」

 世界では現在、6秒に1人が喫煙で死亡し、1分に1人が受動喫煙で死亡していると言われています。昨年10月のたばこ増税により、日本では禁煙ブームが巻き起こりましたが、日本人の喫煙率は依然、先進国の倍以上で、働き盛り世代の約5割にものぼります。喫煙は、吸っている本人はもちろんですが、無関係なまわりの他人をも巻き込み、生活習慣病のリスクを大きく高めることも大きな問題となっており、受動喫煙対策は喫緊の課題として自治体を中心に進められています。

 禁煙を成功させるための最も効果的な方法は、医療関係者の適切な介入による指導と禁煙治療です。禁煙外来を持つ専門施設はまだ少ないのが実態ですが、"喫煙は危ない""禁煙しましょう"と指導する機会は医療機関をはじめ、各種検診や保健指導等さまざまな場で求められています。

 本講演会では、厚生労働省の生活習慣病対策室・高城 亮先生から、禁煙を含む生活習慣病対策の現状についてご講義いただくとともに、禁煙外来で著名な村松弘康先生を招き、喫煙の害に関する国内外のデータをまじえ、生活習慣病との関わりや指導のコツなどを、わかりやすくお話いただきます。さらに、東京慈恵医大教授の和田高士先生には、生活習慣病予防の効果的な取り組み方について講演いただきます。お勤め先で、禁煙対策に対応していかなくてはならない医療スタッフ、保健指導スタッフ、企業の健保や関連業種の担当の方など、この機会にぜひご参加ください。

日 時
2011年2月18日(金)18:00〜20:00(17:30より受付)
場 所
東京慈恵会医科大学 1号館講堂
〒105-8461 東京都港区西新橋3-19-18 >>アクセスマップ
対象者
医師・医療・保健指導スタッフ、薬剤師
(看護師・管理栄養士・保健師・介護士・養護教諭など)
参加費
無 料
定 員
270名・事前申込制(先着順にて受付。定員になり次第〆切)
主 催
日本生活習慣病予防協会NPO法人セルフメディケーション推進協議会
後 援
慈恵医師会、東京都港区医師会、東京都港区薬剤師会、NPO法人日本禁煙学会、
日本産業保健師会、糖尿病治療研究会
協 賛
株式会社タニタ、大正製薬株式会社


講演プログラム
ご挨拶
井上 修二 先生(日本生活習慣病予防協会理事)

講演1 「生活習慣病対策の現状と今後の課題」
高城  亮 先生(厚生労働省健康局生活習慣病対策室室長補佐) 

講演2 「紫煙の怖さと禁煙指導のコツ」
村松 弘康 先生(武蔵野大学客員教授・中央内科クリニック院長)

講演3 「生活習慣病予防と一無二少三多」
和田 高士 先生(東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授)

閉会の辞
村田 正弘 先生
(NPO法人セルフメディケーション推進協議会専務理事・明治薬科大学客員教授)

司会進行
安田 俊道 先生(NPO法人セルフメディケーション推進協議会理事)

*当日は、会場の都合により、飲食できませんので、恐縮ですがご了承ください

お問い合わせ
日本生活習慣病予防協会事務局

〒105-0003
東京都港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル8階 株式会社 創新社内

電話:03-5521-2881 FAX:03-5521-2883
E-mail:

続きを読む " 「紫煙の怖さと無煙を目指す指導の実際」" »

2011年1月16日

「全国生活習慣病予防月間」の開催にあたって

池田義雄先生

 わが国の疾病構造は昭和30年代から大きく変貌し、結核が国民病といわれた感染症時代から、そのトンネルを抜けた後は非感染症時代として悪性新生物(がん)、脳血管疾患、心疾患が三大死因となっています。このような状況の中で、わが国の行政は「成人病」対策と取り組んで参りました。しかし、ここで行なわれた主要な対策は、いわゆる「成人病」の早期発見・早期治療であり、医療費の節減という点でも限界のあることが示され、平成8年12月に「成人病」に変わる新しい疾病概念として「生活習慣病」が提言され今日に至っています。

 この間、厚生労働省は毎年2月の第1週を「生活習慣病予防週間」として啓発に尽力されてきましたが、平成20年にこの活動に終止符が打たれたという事情を踏まえて、本協会はこのコンセプトを継承する形でここに「全国生活習慣病予防月間」を主催することと致しました。

 「生活習慣病」は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」として定義されます。この根底には当然のことながら遺伝の重みがあります。しかし遺伝のみでの発症・進展が、そうはたやすくは起こり得ないという疫学的事実を踏まえるとき、喫煙、飽食、大量飲酒、運動不足、不十分な休養、ストレス過多等の生活習慣の改善が強く求められます。その具体策が「一無(禁煙)、二少(少食、少酒)、三多(多動、多休、多接)」に集約されます。

 日本生活習慣病予防協会はこの「一無、二少、三多」をスローガンにこれまで積極的な啓発活動を展開して参りましたが、ここに全国生活習慣病予防月間を柱に更なる対応をはかっていくことと致しましたのでご関係各位のご協賛、ご支援、ご協力をお願い致す次第です。これの成果がわが国における医療費の節減に結びつき、「一無、二少、三多」の良い健康習慣が多く実践されることで、健康指標である平均寿命の有意な延伸を期待するものであります。

 なお、本年から6年間につきましては主要テーマを「一無、二少、三多」から順次取り上げて参ります。そこで今年のテーマは“「一無」(無煙、禁煙)”と致しましたので、ご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

『紫煙の怖さと生活習慣病予防』


村松弘康先生

村松 弘康 先生

【プロフィール】
中央内科クリニック院長
武蔵野大学客員教授
東京慈恵会医科大学呼吸器内科非常勤講師
日本生活習慣病予防協会参事

続きを読む "『紫煙の怖さと生活習慣病予防』" »

禁煙スローガン入選作品 発表

昨年の11月4日から12月5日にかけ、禁煙をテーマに全国生活習慣病予防月間のスローガンを募集いたしました。応募総数は425作品と、皆さまの「禁煙」に対する意識の高さと相まってたくさんの作品をご応募いただきました。

素晴らしい作品ばかりで、選考はたいへん難しいものとなりましたが、熱い議論と厳選の結果、各賞の受賞作品は以下のように決定いたしました。
受賞者の皆さま、本当におめでとうございます。

ご応募いただいた皆さまには多大な感謝を申しあげます。
誠にありがとうございました。

最優秀賞

禁煙で つかめる健康 家族の笑顔
(愛知県 むっちー 会社員)

優秀賞

禁煙は予防ではなく治療です
(千葉県 渡邉 厚 会社役員)

素敵だね タバコの煙の ないわが家
(静岡県 健康ケンちゃん 無職)

そのタバコ いつか真似する 我が子供
(大阪府 片山 学生)

佳作

喫煙はいのちを縮める生活習慣
(秋田県 なまはげ 会社員)

禁煙は、今日からできる、予防の一歩
(東京都 あんぴ 会社員)

禁煙は自分も他人(ひと)も健康に!
(東京都 ぷうた 看護師)

その一本 あなたもまわりも あの世行き
(神奈川県 ほのおちゃん 無職)

その煙の行き先を知っていますか?
(三重県 ちゃんふく 学生)

副流煙 奪う みんなのしあわせを
(大阪府 Kazuki 学生)

吸う度に 短くなってく 煙草と寿命。
(大阪府 0811062番 学生)

その煙で失うものは…無限大です
(大阪府 らいらい 学生)

喫煙は 命とお金の 無駄遣い
(兵庫県 rinyaku sue 学生)

続きを読む "禁煙スローガン入選作品 発表" »

喫煙と健康に関するニュース

2011年
たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン  2011年09月08日
中年の高血圧・喫煙対策で健康寿命が延伸 健康日本21評価チーム  2011年07月19日
5月31日「世界禁煙デー」 たばこを吸わない生活習慣を拡大  2011年05月31日
「たばこはかっこいい」は昔話 新社会人の9割は非喫煙者  2011年05月26日
日本生活習慣病予防協会主催 全国生活習慣病予防月間講演会
「紫煙の怖さと無煙を目指す指導の実際」を開催
  2011年02月24日
喫煙は血糖コントロールにも悪影響 米公衆衛生局長官が報告  2011年01月05日
2010年
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見を推進  2010年12月27日
無煙たばこが世界的に人気 有煙たばこより「健康的」?  2010年12月27日
職場の受動喫煙防止・メンタルヘルス 報告書  2010年12月27日
たばこ箱の警告ラベルを変更「これでも吸いますか」 米FDA  2010年11月17日
26薬局で禁煙をサポート 来店者にアドバイス 山梨禁煙週間  2010年11月10日
たばこが肺の老化を促進 自治体対策や禁煙治療に期待  2010年10月05日
たばこ増税の10月:喫煙者の半数以上が「禁煙したい」  2010年09月30日
受動喫煙で年間6800人が死亡 厚労省研究班  2010年09月29日
COPD:慢性肺疾患は早期対策が必要 厚労省検討会  2010年06月25日
薬局で禁煙支援 ニコチンパッチにも助成 【練馬区】  2010年06月07日
受動喫煙で血圧上昇、受動喫煙対策が必要 東北大調査  2010年05月21日
喫煙率はうつ病の人で2倍に 米CDC調査  2010年05月10日
職場での禁煙を義務づけ、受動喫煙を防止 検討会報告書  2010年04月30日
【世界禁煙デー】 公共施設を全面禁煙、市民の禁煙をサポート  2010年04月27日
受動喫煙を防止し脱タバコ社会を実現 日本学術会議  2010年04月15日
【たばこ増税】 100円値上げで6割は「たばこをやめたい」  2010年03月19日
がんが世界の死亡原因トップに がん撲滅に向け肥満対策  2010年03月18日
大豆のイソフラボンで肺がんリスク低下 非喫煙男性で最大57%  2010年02月08日
喫煙・飲酒習慣のない人は「体調変わらず」 中高年者縦断調査  2010年01月13日
2009年
野菜と果物の抗酸化作用 たばことお酒が血中濃度を低下  2009年12月15日
たばこ価格の引き上げを提言 厚労省がん対策協議会  2009年12月05日
「軽いたばこ」に切り替える喫煙者の本音は「禁煙したい」  2009年11月17日
たばこ値上げで喫煙率を減少 「1箱500円」は世界的な流れ  2009年11月06日
健康を脅かす上位リスクは高血圧、喫煙、糖尿病 WHO報告  2009年10月29日
たばこ、高血圧、高コレステロールは心臓病の危険因子  2009年09月29日
たばこを1箱1600円に オーストラリアのたばこ規制  2009年09月07日
肺の生活習慣病「COPD」 放っておけない慢性疾患  2009年09月04日
「禁煙宣言7ヵ条」を発表 人間ドック学会  2009年08月26日
「一無、二少、三多」はメタボを効果的に減らす  2009年07月09日
日本の医療は世界トップ 医師数は最小 OECD公表  2009年07月03日
たばこ包装の警告表示に写真も WHOが要請  2009年06月08日
生活習慣病予防週間「自分流 楽しく続ける 健康づくり」  2009年01月28日
2008年
メディアが子供や若者の健康に与える影響 米国で包括的研究  2008年12月04日
5月31日「世界禁煙デー」 若者の喫煙がテーマ  2008年04月16日
喫煙による健康障害は深刻 5月9日「呼吸の日」キャンペーン  2008年04月11日
2007年
日本の禁煙対策は不十分 日本禁煙学会  2007年09月05日
喫煙する人は寿命が短くなる NIPPON DATA 80  2007年05月16日

続きを読む "喫煙と健康に関するニュース" »

禁煙に関するリンク集

喫煙と健康に関する情報 国内
喫煙と健康に関する情報 海外
禁煙推進団体など
禁煙関連製品
禁煙指導について

全国生活習慣病予防月間とは?

生活習慣病予防と健康寿命の伸長を目指した活動です
 生活習慣病の一次予防を中心に、その普及・啓発を行う日本生活習慣病予防協会(理事長・池田義雄)では、生活習慣病予防に対する国民の意識向上と、これによる健康寿命の伸長を目指すべく、毎年2月を「全国生活習慣病予防月間」と定め、広く啓発活動を行います。

 毎年、基本テーマを中心に、強化テーマについての啓発や情報提供に力を入れていく方針ですが、“生活習慣病”の定義は広く、さまざまな疾患が関わってきますので、時勢に応じて、扱うテーマも増やしていく予定です。

【実施概要】
期間:毎年2月の1カ月間
基本テーマ:“一無二少三多”で生活習慣病予防
2011年の強化テーマ:禁煙(一無二少三多から、"一無")
対象者:国民すべて(一般生活者+医療・保健関連従事者)
主催:日本生活習慣病予防協会

毎年2月の恒例行事としてご活用ください
 当月間では、行政、自治体、関連団体等の支援を得ながら、関連業界、マスコミの民間力を結集し、集中的に生活習慣予防に関する情報提供を主とした啓発活動を行います。当協会では、以下のような基本事業を行いますので、毎年2月の恒例行事として、医療・健康分野に携わる業種の方々に、広くこの機会をご活用いただければと考えます。

【基本事業】
○スローガンの一般公募
○啓発ポスターおよびリーフレットの制作・無料配布(ホームページでのダウンロードによる)
 >>ポスター&リーフレットのページはこちら
○講演会の開催
 (2月18日・東京慈恵会医科大学講堂 “医療スタッフ向け「紫煙の怖さと無煙を目指す指導の実際」 ”
○当月間ホームページでの関連テーマに関する情報提供
医療健康・情報研究所を中心とする関連ネットワーク、メールマガジンを活用してのニュース配信
○その他

日本生活習慣病予防協会事務局までお問い合わせください
 なお、関連業界・団体におきましては、それぞれ得意分野を持っていますが、この期間に関連疾患分野の情報啓発を集約することで、相乗的に、より大きな啓発効果を生むことが期待されます。

 当月間行事を活用してのイベントや情報提供活動、監修協力など、以下のような事柄をはじめ、幅広く連携することが可能です。ご検討いただけます際は、日本生活習慣病予防協会事務局までお問い合わせください。

○当予防月間サイト内に、生活習慣病予防に関連するテーマでの特集ページの設置、バナー掲出
○予防月間のポスター・リーフレットの名入れ印刷
○日本医療健康・情報研究所・関連サイトでの情報配信の活用
 (医療スタッフ向け・患者さん向け・一般向けのメルマガ配信の活用含む)

日本生活習慣病予防協会事務局

〒105-0003
東京都港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル8階 株式会社 創新社内

電話:03-5521-2881 FAX:03-5521-2883
E-mail:

シンボルマーク・スローガンについて

「全国生活習慣病予防月間」のシンボルマークを作成しました

シンボルマーク"
   シンボルマークは、健康で躍動感のある“人”をモチーフにしています。それぞれ健康習慣である“一無二少三多”に対応しており、一無=無煙(禁煙)、二少=少食・少酒、三多=多動・多休・多接を実践し、すべての国民が健康長寿となるよう願いをこめて、さまざまな所に掲出していきたいと思います。まずは、このマークを使った“一無二少三多”ポスターを作りましたので、プリントアウトしてご使用ください。

>>ポスター&リーフレットのページはこちら

 

毎年、スローガンを公募します

   「全国生活習慣病予防月間」では毎年、強化テーマを設け、そのテーマの重要性を広く呼びかけるスローガンを公募します。入選したスローガンは、その年の柱として月間関連事業で活用されます。例えば、スローガンを使用したポスターを作り、プリントアウトして自治体や医療機関、公的施設などで、手軽に利用していただけるよう、当ホームページで無料公開いたします。応募者の熱い想いがこもった言葉(スローガン)が、多くの人の心に届くことを願っています。

 >>禁煙スローガン入選作品(2011年)はこちら

 「全国生活習慣病予防月間」では、生活習慣病に関する情報提供はもちろん、健康づくりに対応しやすい社会環境の整備についても、訴求していきたいと考えています。生活習慣病は、その名の通り、生活習慣が大きく影響している病気です。毎日の生活習慣そのものは、私たち1人1人の努力によって改善することはできますが、社会環境や家庭環境など、個人の努力だけでは叶わない要因もあります。気軽に安全にウオーキングやサイクリングができる道路、外食メニューなど飲食物の栄養表示の常識化、禁煙・分煙対策の推進...等々、皆の健康のために“できたらいいな”はたくさんあります。

   「全国生活習慣病予防月間」が、生活習慣病対策を私たち皆で考え、実践していくためのきっかけづくりとなれば幸いです。

全国生活習慣病予防月間
ポスター&リーフレット

全国生活習慣病予防月間ポスター
「一無・二少・三多」リーフレット
全国生活習慣病予防月間「一無・二少・三多で生活習慣病を予防!」

→[ダウンロード]
【推奨サイズ:A3】
(PDF 1.60 MB)
「『一無・二少・三多』の健康習慣で生活習慣病を予防!」

→[ダウンロード]
【推奨サイズ:A4】
(PDF 1.07 MB)

2011年 禁煙ポスター&リーフレット
ポスター
「禁煙で つかめる健康 家族の笑顔」


→[ダウンロード]
【推奨サイズ:A3】
(PDF 1.86 MB)
リーフレット
「生活習慣病の予防・改善は禁煙から!」


→[ダウンロード]
【推奨サイズ:A4】
(PDF 2.68 MB)

【注意事項】
■データの再配布や営利目的で使用する場合は、こちらまでご連絡ください。
■データの判型サイズを変更してご使用いただいても構いませんが、データの加工は行わないでください。
■データの作成には細心の注意を払っておりますが、動作保証を行うものではありません。
■データの著作権は、日本生活習慣病予防協会が有します。

続きを読む "全国生活習慣病予防月間
ポスター&リーフレット" »

プレスリリース

続きを読む "プレスリリース" »

全国生活習慣病予防月間に関するお問い合わせ

日本生活習慣病予防協会事務局

〒105-0003
東京都港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル8階 株式会社 創新社内

電話:03-5521-2881 FAX:03-5521-2883
E-mail:

1. 日本人の喫煙状況

 日本たばこ産業(JT)による昨年8月の発表では、「日本人の喫煙率」は成人男女あわせて23.9%(前年比1.0ポイント減)、男性のみでは36.6%(前年比2.3ポイント減)、女性では12.1%(前年比0.2ポイント増)という結果でした。男性の喫煙率は若干減少してはいるものの、他の先進諸国ではすでに20%を切っており、依然として高い状況です。女性においては、若者を中心に近年増加傾向にあり、妊娠・出産前あるいは育児中の女性が喫煙することは、我が国にとって大きな問題となっています。

 さらに、日本では、医療従事者の喫煙率も高く、男性医師の喫煙率は15%と、欧米の医師(米国男性医師3%、英国男性医師2%)に比べて極めて高いのが現状です。また、看護師においても、一般女性の平均値(12%)をしのいで約20%と、患者指導を行う立場にある医療従事者への禁煙教育もまた、緊縛の課題と言えるでしょう。

日本は世界でも喫煙率が高い国
―男女別喫煙率の国際比較―

注)15歳以上の毎日喫煙者の比率。1999〜2006年の統計。出典:OECD Health Data 2007


日本人喫煙率の年齢および男女差
―性別年齢別喫煙率の推移―


出典:最新たばこ情報ホームページ「成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)」


« 目次へ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  | 次のページへ »

2. 副流煙と受動喫煙の弊害

副流煙は主流煙より有害です
 紫煙の怖さは主流煙と副流煙によっています。 「副流煙の方が有害」という話をお聞きになったことはないでしょうか。主流煙とはフィルターを通して喫煙者本人が吸い込む煙であり、副流煙とは火のついたタバコの先端から立ち上る煙です。タバコを吸うと、先端の火の部分には酸素が引き寄せられ、燃焼温度が上昇するため赤く光ります。この時の先端の温度は900℃にも達するため、主流煙中の有害物質は多くが分解されてしまいます。さらにフィルターも通すため、主流煙の有害物質はさらに低下します。

 一方の副流煙は、ただ手に持っている時に立ち上る燃焼温度の低い煙です。有害物質の多くが分解されずに含まれており、またフィルターも通していないため、非常に危険な煙と言えます。これこそ紫煙の怖さだといっても過言ではないでしょう。厚生労働省の研究でも、副流煙には主流煙の100倍以上もの濃度で含まれる有害物質が、いくつも確認されているのです。このことは、部屋の中で副流煙が100倍に薄まったとしても、同じ部屋にいる人は主流煙を吸ったのと同じ量の有害物質を吸い込むことを意味していて、受動喫煙を決して甘く見てはいけないことがよく分かります。

 実際、喫煙者本人だけでなく、受動喫煙によるリスクも近年広く研究が行われています。厚生労働省の研究班が昨年発表した推計によると、受動喫煙が原因となり発症する肺がんや心筋梗塞で、年間約6千800人が死亡しており、そのうち職場での受動喫煙が原因とみられるのは半数以上の約3千600人だったとしています。世界においても昨年、世界保健機関(WHO)の研究チームが他人のたばこの煙を周囲の人が吸い込む受動喫煙による死亡者数が毎年60万人に達するとの推計を学術雑誌ランセットに発表しています。そのうち16万5千人は5歳未満の子どもが占めているとみられています。

 このことから、“世界では6秒に1人が喫煙で死亡し、1分に1人が受動喫煙で死亡している”として広く警鐘が鳴らされています。

たばこ煙は副流煙の方が有害

出典:1) 最新たばこ情報「主流煙と副流煙」、2) 厚生労働省たばこ煙の成分分析について、3) 厚生省編喫煙の生理・薬理:喫煙と健康;48:1992

« 目次へ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  | 次のページへ »

3. 喫煙と生活習慣病との関わり合い

1) 喫煙と心血管病変
喫煙は有害物資を吸い込む行為
 喫煙が心血管病変のリスクファクターであることは、古くから知られている事実です。たばこを吸うと、まずニコチン自体が強力な血管収縮作用を持つため、血管内腔が狭窄し血圧が上昇、血流は低下します。また、煙に含まれる一酸化炭素は酸素の200〜250倍、ヘモグロビンと結合しやすいため、全身組織の酸素欠乏状態を促し、二次性の多血症を来たすことにより血液粘調度が増大(いわゆるドロドロ血)。血栓ができやすい状態になります。活性酸素も血管内皮を障害するため、さらに血栓や塞栓症の発症を促します。一方、活性酸素により酸化変性を来たした脂質は、プラーク形成を促進して動脈硬化も進行してしまいます。実際、喫煙による心筋梗塞死に対する相対リスクは、血圧やコレステロール値をも上回るのです。

 脳梗塞死に対しても同様です。脳梗塞まで至らなくても、微小循環が障害されることで認知症が増加することも知られています。さらに受動喫煙の被害から、喫煙者と同居しているだけで、認知症の発症率は(非喫煙者と同居している人に比べ)約30%増加するとのデータもあります。

2) 喫煙と糖尿病・脂質異常症
 喫煙者ではインスリン抵抗性が認められ、血糖値が下がりにくいという事実は、以前から知られていましたが、その機序はこれまで未解明な部分が多くありました。しかし最近になって、肥満・内臓脂肪とメタボリックシンドロームの研究が進むにつれ、喫煙と糖尿病の因果関係が徐々に解明されつつあります。

 メタボリックシンドローム研究で注目されているアディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種で、インスリンの作用を助けて血糖値を下げる役割を果たしています。内臓脂肪が増加して脂肪細胞が肥大化すると、アディポネクチンの分泌は減少してしまうので、いわゆる“メタボ”の状態は要注意とされています。

 実は、喫煙でも、このアディポネクチンに影響を与えます。喫煙をすると数時間でこのアディポネクチンが減少し始め、6〜12時間は低値のままになるという研究結果も示されています。また、喫煙者と非喫煙者の間では、アディポネクチンの血中濃度に有意差があることや、試験管内で脂肪細胞にニコチンを暴露すると、ニコチンの量が多いほどアディポネクチンの分泌が低下することも確認されています。さらには、喫煙が糖尿病の新規発症を増加させることを確認したデータや、ニコチンが脂肪細胞からの遊離脂肪酸の分泌を促進する事実もあり、タバコが糖・脂質代謝に悪影響を及ぼすことは、もはや疑う余地はありません。

3) 喫煙とメタボリックシンドローム
 これまで述べてきたように、喫煙は?血圧、?糖代謝、?脂質代謝の全てに悪影響を及ぼすことから、喫煙は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の合併を増加させることも明らかです。また、受動喫煙により、周囲の非喫煙者もメタボリックシンドロームの合併率を上昇させます。すなわち、“メタボ対策”としても禁煙は欠かせないのです。

喫煙はメタボリックシンドロームを増やす
※メタボリックシンドロームの定義はNCEP-ATP?による。出典:Ishizaka N, et al:Atherosclerosis 181(2):381, 2005

« 目次へ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  | 次のページへ »

4.禁煙のメリット

 タバコの燃え方は、くすぶるような不完全燃焼であり、その煙からは一酸化炭素、活性酸素のみならず、ダイオキシン類を含む60種類以上の発癌性物質が検出されます。喫煙とは、これらの有害物質をダイレクトに肺へ吸い込み、また肺の毛細血管から血液中に取り込む行為です。肺ガンを例にすると、1日1箱吸うと死亡リスクは約5倍。禁煙をすることで、これらの疾患の発病リスクを軽減できるのですから、禁煙のメリットは極めて大きいと言えます。

 よく「今さら禁煙しても遅いのでは?」という質問を受けますが、前項で述べた心血管病変のリスクは、禁煙をすると速やかに減少します。禁煙したその日から、活性酸素による血管内皮障害や、ニコチンによる血管収縮作用はなくなるので、何歳からでも禁煙する価値は大いにあるのです。

 かく言う私も元喫煙者ですが、その私から見ても喫煙はデメリットばかりでした。タバコ代だけでなく、いちいちタバコを買いに行く手間や、吸う場所を探す手間がかかる。歯だけでなく部屋の壁紙もヤニで汚れる。受動喫煙で他人にも病気のリスクを負わせてしまう等々、考えてみると良くないことばかり。禁煙すれば、これらのデメリットは全てなくなるのです。

 完全に禁煙すると、これまでタバコのメリットと感じていたイライラの解消も、実は勘違いであったことが分かります。ニコチン依存に陥ると、血中のニコチン濃度が減少してくる度に、イライラしたり集中力がなくなってくるように感じます。ここでタバコを吸い、ニコチンの血中濃度が回復すると、これらの離脱症状(禁断症状のようなもの)がなくなるため、ホッとする。この感覚が“タバコは美味しい”と勘違いさせているのです。本来ニコチン依存になっていなければ、このようなイライラや集中力低下自体も生じないのです。

 忙しく仕事をしていれば、誰もがイライラや疲労を感じるものです。そんな時、席を離れて喫煙所まで行き(あるいは喫煙所を探しまわり)、“一服”休憩することが気晴らしになっているのではないでしょうか。しかし、禁煙に成功すると、疲れてきたら少し離席して休憩するだけで、タバコなどなくてもリフレッシュができることに気づきます。むしろ体調が良くなっていることも実感するのです。

« 目次へ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  | 次のページへ »

5.上手に禁煙するには

 禁煙する際には、まず目的や目標を明確にしてください。子供には吸って欲しくないと思うなら“親である自分が手本を示さねばならない”とか、“1日1箱のタバコ代節約で年間15万円の貯金”など、禁煙のメリットを思い浮かべながら目的を立てるとよいでしょう。動機づけが曖昧だと禁煙の継続は難しくなるものです。

 禁煙が難しいのは、前述のニコチン離脱症状の影響も大きいので、離脱症状を緩和するための禁煙補助薬の使用(できれば禁煙外来受診)を上手に活用することが望ましいと言えます。苦しいダイエットが成功しづらいのと同様に、辛い禁煙も成功しません。喫煙者の大半は、本人も気づかないうちにニコチン依存に陥っています。長年の習慣として生活の中に入り込んでしまっているため、自力のみでチャレンジするのは難しいのです。

 現在、禁煙治療は、禁煙外来等のある指定医療機関で保険診療が適用されます(1年に1回3カ月間のみ)。診察料や処方箋料・薬代すべて合計しても3割負担の場合、1日200円程度で治療できます。2〜3ヵ月の治療期間に合計5回の通院で、成功率は約70%です(自力でチャレンジした場合では20%程度)。

 “タバコをやめたい!”と思ったら、専門医を訪ねるのが確実な近道と言えるかもしれません。

« 目次へ |  1  |  2  |  3  |  4  |  5  | 

2011年1月27日

「紫煙の怖さと無煙を目指す指導の実際」

生活習慣病予防講演会は終了いたしました。
多数のご参加をいただき、誠にありがとうございました。

 世界では現在、6秒に1人が喫煙で死亡し、1分に1人が受動喫煙で死亡していると言われています。昨年10月のたばこ増税により、日本では禁煙ブームが巻き起こりましたが、日本人の喫煙率は依然、先進国の倍以上で、働き盛り世代の約5割にものぼります。喫煙は、吸っている本人はもちろんですが、無関係なまわりの他人をも巻き込み、生活習慣病のリスクを大きく高めることも大きな問題となっており、受動喫煙対策は喫緊の課題として自治体を中心に進められています。

 禁煙を成功させるための最も効果的な方法は、医療関係者の適切な介入による指導と禁煙治療です。禁煙外来を持つ専門施設はまだ少ないのが実態ですが、"喫煙は危ない""禁煙しましょう"と指導する機会は医療機関をはじめ、各種検診や保健指導等さまざまな場で求められています。

 本講演会では、厚生労働省の生活習慣病対策室・高城亮氏から、禁煙を含む生活習慣病対策の現状についてご講義いただくとともに、禁煙外来で著名な村松弘康先生を招き、喫煙の害に関する国内外のデータをまじえ、生活習慣病との関わりや指導のコツなどを、わかりやすくお話いただきます。さらに、東京慈恵医大教授の和田高士先生には、生活習慣病予防の効果的な取り組み方について講演いただきます。お勤め先で、禁煙対策に対応していかなくてはならない医療スタッフ、保健指導スタッフ、企業の健保や関連業種の担当の方など、この機会にぜひご参加ください。

日 時
2011年2月18日(金)18:00〜20:00(17:30より受付)
場 所
東京慈恵会医科大学 1号館講堂
〒105-8461 東京都港区西新橋3-19-18 >>アクセスマップ
対象者
医師・医療・保健指導スタッフ、薬剤師
(看護師・管理栄養士・保健師・介護士・養護教諭など)
参加費
無 料
定 員
270名・事前申込制(先着順にて受付。定員になり次第〆切)
申し込み方法
生活習慣病予防講演会は終了いたしました。
多数のご参加をいただき、誠にありがとうございました。
主 催
日本生活習慣病予防協会セルフメディケーション推進協議会
後 援
慈恵医師会、東京都港区医師会、東京都港区薬剤師会、NPO法人日本禁煙学会、
日本産業保健師会
協 賛
株式会社タニタ、大正製薬株式会社


講演プログラム
ご挨拶
井上 修二 先生(日本生活習慣病予防協会理事)

講演1 「生活習慣病対策の現状と今後の課題」
高城  亮 氏(厚生労働省健康局生活習慣病対策室室長補佐) 

講演2 「紫煙の怖さと禁煙指導のコツ」
村松 弘康 先生(武蔵野大学客員教授・中央内科クリニック院長)

講演3 「生活習慣病予防と一無二少三多」
和田 高士 先生(東京慈恵会医科大学 総合健診・予防医学センター教授)

閉会の辞
村田 正弘 先生(明治薬科大学客員教授・セルフメディケーション推進協議会理事)

司会進行
安田 俊道 先生(セルフメディケーション推進協議会理事)

*当日は、会場の都合により、飲食できませんので、恐縮ですがご了承ください

お問い合わせ
日本生活習慣病予防協会事務局

〒105-0003
東京都港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル8階 株式会社 創新社内

電話:03-5521-2881 FAX:03-5521-2883
E-mail:

About 2011年1月

2011年1月にブログ「全国生活習慣病予防月間2011-禁煙-」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2010年12月です。

次のアーカイブは2011年4月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。