理事長からのメッセージ


 私どもは、誰しもが全く平等に生・老・病・死という人生を歩みます。人生はどのような取り組み方をしても、人には寿命があります。そして、これを限りなく伸ばせる方法はありません。しかし、人は古代から限りにない生命の維持を願ってきました。このような欲求を背景に人々は、いろいろな努力をしてきています。

 活動的な生命が、より長く維持できるということは、その人にとってまさに生きている喜びであり、その喜びをより充実させたものにしていくという観点から「健康」という概念が生み出され、それはwell beingな状態であるとして理解されています。このような状態をできるだけ多くの人に享受してもらうことを目指して、国政も、過去、そして現在、さらに将来に向けていろいろな取り組みをしています。

 既によく知られているように、わが国の疾病構造は昭和30年代から大きく変貌してきています。結核が国民病といわれた感染症時代から、そのトンネルを抜けた後は非感染症時代として脳卒中、心臓病、悪性腫瘍が三大死因となっています。

 このような状況の中で国の行政は成人病対策と取り組み、我が国の平均寿命の延長と国民の健康状態の改善に寄与してきました。しかし、ここで行われた主要な対策は、いわゆる成人病の早期発見、早期治療でありました。しかし、その成果に限界のあることが示され、厚生省は平成8年12月に成人病に変わる新しい疾病概念として、「生活習慣病」を提言しました。

 確かに成人病という用語からは加齢による影響が強いという印象が付きまとい、中高年に至って初めて事の重要さに気付くということが見られがちでした。そこで、異常を呈してからの早期発見という二次予防対策よりも、異常が引き起こされないようにする一次予防の重要性が改めて再認識されるところとなったというわけです。

 生活習慣病を代表する、高血圧、2型糖尿病、高尿酸血症、そしてこれらの基になる肥満などがもたらす続発症としての動脈硬化や各種の合併症、更には各種の悪性新生物(癌)も含めて、これらが引き起こされないようにする一次予防の重視は当然の動きです。このことは青壮年期は無論のこと、小児期や学童期からも積極的になされるべきです。そのための手法として過食、偏食など食生活の改善、歩行や肉体労働の減少による運動不足の解消、更には喫煙や常習的な大量飲酒の是正こそが欠かせません。勿論、多くの生活習慣病には遺伝要因や環境要因が深くかかわっています。しかし毎日の生活習慣の良否は、疾病の発症を大きく左右する重大な要因であることを深く認識せねばなりません。

 以上のような視点において生活習慣病を予防する健康作りのための「生活習慣病予防協会」を平成12年9月29日に設立いたしました。

 「日本生活習慣病予防協会」が目指しているこのような活動に、多くの方々の御理解と御協力ならびにご支援を賜り、所期の目標の達成できることを切望するものであります。