このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年04月掲載
1.治療から予防へ
 世界一の高齢社会の日本で、いつまでも健康で快適に過ごすためには、病気の予防が重要です。中でも三大死因の脳卒中、心臓病、がんさらに糖尿病や高血圧などの発症には、生活習慣が大きくかかわっていることがわかってきました。このコーナーでは、生活習慣病を予防するにはどうしたらよいのかを考えていきます。1回目は、日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に、生活習慣病とは何かを聞きました。
まず、生活習慣病とはどういうものでしょうか
 「生活習慣病とは、平成8年12月に厚生省(現・厚生労働省)が提言した概念です。それまで使われていた『成人病』では、年をとったら脳卒中、心臓病、がんなどになってもしょうがない、誰もが避けられないので、早期発見、早期治療が重要だという二次予防が中心でした。ところが、現実には中高年だけでなく類似の病気が子供にもおこって、小児成人病という言葉もできました。疾患の背景には、加齢だけではなく、子供のときからの生活習慣が大きく影響するということです。しかも、成人病になる人が年々増え、発症後の治療ではなく、予防の必要性が出てきたのです。そのためには、一人一人の生活習慣を見直そうという、一次予防の概念に変わったのです」
それほど生活習慣は重要なのですか
 「生活習慣とはライフスタイルともいい、食習慣、運動、休養、喫煙、飲酒などを指します。例えば、食べ過ぎによる過剰エネルギーや高脂肪、塩分のとり過ぎ、お酒の飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスといった不摂生は、短期間ではそれほど影響を及ぼしません。ところが、10年、20年と続けていくうちに肥満になり、血糖値、血圧、中性脂肪、コレステロール値も高くなって、生活習慣病の“終着駅”、脳卒中や心臓病を発症するのです。3月初めに人気俳優が急性心筋梗塞で倒れたというニュースがありましたが、肥満と喫煙が原因の一つだったようです。大事には至らなかったものの、長い沈黙の期間の後、ある日突然、症状が起こり、悪くすれば死にも至るのが、生活習慣病の怖いところです」
どのような生活習慣を心掛ければいいのでしょうか
 「穀類が主体で乳製品もプラスした一汁三菜の日本型食生活、適度な運動、休養といった生活習慣を子供のころから積み重ねていくことがとても大切です」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて