このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年08月掲載
19.高脂血症と動脈硬化
 高脂血症は動脈硬化につながる危険因子。その危険性について防衛医科大学校名誉教授の中村治雄医学博士に聞きました。
高脂血症が怖いといわれるのは、なぜですか
 「そのままにしておくと動脈硬化を進行させ、命を脅かすこともあるからです。悪玉LDLコレステロール(LDL−C)値140(mg/dl )以上、中性脂肪値150以上、HDL―コレステロール(HDL−C)値40未満の人は、動脈硬化が促進されるので特に注意が必要です」
動脈硬化とは、どんな状態ですか
 「動脈は、心臓から全身に酸素や栄養などを送るとても重要な血管です。普通は、血液がスムーズに流れるように内壁は滑らかですが、コレステロールがたまって、酸化変性されると、厚く盛り上がった病巣ができ、血液の流れが悪くなります。これが動脈硬化です。これまでは病巣が大きくなって、血管内腔が狭くなり、血管が詰まると考えられていましたが、最近、血管が20―60%程度狭くなると、突然病巣が破れて出血し、血栓ができて詰まることが明らかになりました。特に危険なのは、心臓の冠状動脈で起こる心筋梗塞や狭心症、脳血管では脳梗塞。いずれも生命にかかわります」
では、どうすれば予防できますか
 「動脈硬化はすでに10代から始まり、自覚症状がないまま静かに進行し、40代後半から症状が現れます。これには高脂血症のほか、さまざまな危険因子が関係して、その数が1、2、3、4、5個と増えると、冠動脈疾患のリスクが2、4、8、15、31倍といわれています。早い内に一つでも減らしていくことが必要です」
ほかの危険因子とは?
 「(1)加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)(2)高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90以上は要注意。血圧が高ければ高いほど、心臓病や脳卒中が多くなる)(3)糖尿病(単独でも、冠動脈疾患の発症率が2.6倍になる)(4)喫煙(20本で心臓病のリスクが50―60%増え、善玉HDL―Cの低下、悪玉LDL―Cの酸化変性が促進される)(5)家族の病歴(6)低HDL−C血症(7)肥満(中でも内臓脂肪型肥満は、高血圧、高脂血症、糖尿病を併発する)(8)高尿酸血症(9)運動不足(10)ストレス−などがあります。高脂血症とこれらの危険因子を少しでもなくして、動脈硬化の予防を心掛けてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて