このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年08月掲載
20.動脈硬化になりやすい場合
 血液中の脂質が高い病気、高脂血症。中でも最近分かってきた“たちの悪い”といわれる症状を、防衛医科大学校名誉教授の中村治雄医学博士に聞きました。
“たちが悪い”とは、どういうことですか
 「動脈硬化になりやすいということです。特に(1)総コレステロール値と中性脂肪値が高い(2)悪玉LDLコレステロール値が高く、善玉HDLコレステロール値が低い(3)中性脂肪値が高く、HDLコレステロール値が低い場合。これらは、治療が必要だといわれています」」
治療とは?
 「基本は食事です。予防効果もあるので、健康な方も参考にしてください。まず、コレステロール値が高い場合は、(1)エネルギーのとり過ぎに注意(余分なエネルギーは、肝臓でのコレステロール合成の材料となり、合成を促進する)(2)脂肪の量と種類に注意(脂肪のとり過ぎは動脈硬化を進める。また、肉、乳製品などの動物性脂肪はコレステロール値を上げ、魚や植物性油脂は下げる)(3)食物繊維を多くとる(玄米、麦飯、オートミールなどの穀類と野菜がよい)(4)ビタミンE、ビタミンC、β―カロチンを多くとる。動脈硬化は、LDLコレステロールが酸化されて起こるので、緑黄色野菜などで酸化を防いでください。ただ、喫煙者では抗酸化作用が期待できないので、禁煙を勧めますね」
コレステロールが多い食品はどうですか
  「もちろん制限が必要です。特にLDLコレステロール値が140mg/dl 以上の人や糖尿病の場合は、1日300mgに以下にしてください。卵1個は250mgで、ほぼ1日分になるので気をつけましょう。また、内臓にも多く含まれるので、丸ごと食べる小魚は20―50gを目安にし、とり過ぎないようにしてください。逆に、大豆などの植物性タンパク質はコレステロール値を下げますから、納豆や豆腐、油揚げ、枝豆などを積極的にとってください」
善玉のHDLコレステロール値が低い場合は?
 「残念ながら今のところ、食品では上げられません。下げない努力が大切です。食べ過ぎ、喫煙、運動不足などの生活習慣は、HDLコレステロール値を下げるので、改善してください。中性脂肪が高い場合については、次回お話しましょう」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて