このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年09月掲載
23.高血圧とは
 自覚症状がないまま進行する高血圧。その現状を、東京慈恵会医科大学の和田高士健康医学センター長に聞きました。
高血圧とはどういう状態ですか
 「血圧が異常に高くなっている疾患です。『高血圧治療ガイドライン』(日本高血圧学会・2000年)では、収縮期(最高、最大)血圧が130(mm/Hg)未満で拡張期(最低、最小)血圧が85未満を正常血圧。収縮期が140以上、または拡張期が90以上を高血圧としています。これは医療機関で測った値なので、低めに測定される家庭血圧では、収縮期135以上、または拡張期80以上になります。気をつけてください」
症状は?
 「自覚症状がほとんどありません。あっても肩こりや頭痛程度で、測定しないと高血圧かどうかわからないのです。気づかないまま放っておくと、動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたりします。収縮期が200以上では、血管が圧力に耐えきれずに破れ、脳出血になることもあります。いずれも死に至るので、高血圧は“サイレントキラー(沈黙の殺人者)”といわれています」
患者数は?
 「約3500万人います。平成13年国民栄養調査によると、男性は40〜50歳代の約4割、60〜70歳代の6割近く、女性は50歳代の約3割、60歳代の約4割、70歳代の5割で、年齢とともに増えています。厚生労働省提言の『健康日本21』では、日本人の平均収縮期血圧が5下がると、高血圧での脳卒中死亡率が約16%、2万2000人減ると推定しています」
原因は?
 「約9割を占める『本態性高血圧』は、生活習慣病といわれるものです。検査をしても血圧が高い以外に異常がなく、遺伝や環境、生活習慣が複雑にからみ合って発症すると考えられ、男性は40歳代、女性は50歳代から増加します。残りは、腎臓の病気やホルモン異常が原因の『二次性高血圧』。10〜20歳代から常に血圧が高かったり、中高年や高齢で突然高くなります」
本態性高血圧は予防できますか
 「最近は、正常範囲でも収縮期130〜139、または拡張期85〜89を “正常高値血圧”と分類し、高血圧予備軍と考えて、積極的に予防に取り組んでいます。収縮期が130以上、または拡張期が85以上になったら、生活習慣の改善が必要です」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて