このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年09月掲載
25.高血圧と高脂血症
 日本人のがん死亡率第1位は肺がんで、1年間に男性約4万人、女性約1万5000人が亡くなっています高血圧の別名は、“サイレントキラー(沈黙の殺人者)”。その危険因子の高脂血症、加齢との関係について、東京慈恵会医科大学健康医学センターの和田高士センター長に聞きました。
高脂血症が高血圧に悪いのはなぜですか
 「高血圧との合併で、動脈硬化が進むからです。一般的に、健康な血管の壁は柔軟性に富み、血液の圧力を拡散しています。ところが、高血圧のように高い圧力がかかると、柔軟性を失って硬くなり、細く、ボロボロになります。その血管を血液がスムーズに通るためには、さらに高い圧力が必要になります。もし、血液が高脂血症でコレステロールや中性脂肪が多い“ドロドロ血液”だとすると、なおさら高い圧力をかけないと流れなくなり、血管壁にはコレステロールがこびりついて、動脈硬化が進みます。こうした高血圧と高脂血症の悪循環が問題なのです」
動脈硬化が進むとどうなりますか
 「血管は高い圧力に耐えきれなくなり、詰まったり、破れたりし、重要な臓器に深刻な障害をもたらします。例えば、心臓の冠動脈だと、狭心症、心筋梗塞、心不全になります。細い動脈の多い脳に起こると脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血になります。心臓疾患が多い欧米人に比べると、日本人は脳に障害が出やすいので、特に注意が必要です。また、腎臓の細い血管でも、腎硬化症、腎不全などが起きます」
高血圧で特に注意しなければならない年齢層は?
 「高齢者です。65歳以上の約60%は高血圧。加齢とともに血管が老化し、柔軟性がなくなって硬くなると、収縮期血圧は上がり、拡張期が下がるので、収縮期だけが高くなる“収縮期型高血圧”が多くなります。また、血圧調節機能が衰えるので、血圧が変動しやすく、日常生活のちょっとしたことで、30―40 mmHg も上がることがあります。そのため、『老齢者高血圧治療ガイドライン』では、投薬による降圧目標値を定めています。60歳代は収縮期血圧が140以下、70歳代が150以下、80歳代は160以下。拡張期はどの世代も55以上90未満です。薬物治療は重要ですが、そうなる前にまずは、減塩、カリウムの摂取、適正体重の維持など、生活習慣の改善で血圧をコントロールし、高血圧を予防してください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて