このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年10月掲載
26.脳卒中とは
 かつて死因の第1位だった脳卒中。高血圧治療や減塩の効果で、命を落とすことは減りましたが、後遺症や寝たきりなどの深刻な問題が生じています。その現状を、日本脳卒中協会の山口武典会長に聞きました。
脳卒中は、どのような病気ですか
 「脳の血管の障害で、血管が詰まる『脳梗塞』、破れる『脳出血』や『くも膜下出血』が挙げられます。脳は体重のわずか2%程度の重さしかありませんが、血液は約12%、酸素は全体の20数%も消費されています。脳卒中が起こると、酸素やブドウ糖が不足して、神経細胞が破壊され、その細胞がつかさどっていた機能が侵され、さまざま障害が出ます。例えば、大脳だと半身の運動障害や言葉が出てこない、人の言うことが理解できないなどの失語症。脳幹や小脳だと、物が二重に見える、立てない、歩けない・・・などの症状が起こり、ひどい場合には、意識がなくなることもあります」
脳梗塞と脳出血、どちらが多いのですか
 「死因の1位だった1960年には、脳出血が約77%も占め、脳梗塞は約13%でした。塩分のとり過ぎで200mmHg以上の高血圧になり、脳出血を起こして亡くなる人が多かったからです。その後、健康診断の普及、高血圧の早期発見、薬や減塩での血圧コントロールの効果で、1999年には約23%まで減りました。その反面、脳梗塞が約63%にも増えているのが問題です」
脳梗塞の原因は?
 「主に次の3つに分けられます。(1)高血圧による『ラクナ梗塞』(脳の深い部分の細い動脈が狭くなり詰まる)(2)動脈硬化による『アテローム血栓性梗塞』(頸動脈や脳の大きな動脈が狭くなる。大部分は頸動脈の血栓がはがれて脳で詰まる)(3)心房細動という不整脈が原因の『心原性脳塞栓症』(心臓内にできた血栓がはがれて脳で詰まる)」
日本人が発症しやすいタイプは?
 「昔から塩分を好む日本ではラクナ梗塞が多く、1980年代では約40%、アテローム血栓性梗塞は約20%でした。ところが、2000年になると、ラクナ梗塞が約36%に減り、アテローム血栓性梗塞が約31%と急増。食生活の欧米化で動物性脂肪をとり過ぎ、動脈硬化が進んだのが原因でしょうね。特にアテローム血栓性梗塞は、再発しやすく、介護が必要となる場合が多いので、懸念されています」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて