このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年10月掲載
27.危険因子
 「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」、いわゆる脳卒中は、危険因子を抱えている人ほど起こりやすいといえます。発症との関係を、日本脳卒中協会の山口武典会長に聞きました。
何が危険因子ですか
 「第一に高血圧です。重症の状態が続くと脳出血を起こし、軽症だと細い動脈が詰まるラクナ梗塞や比較的大きな動脈が詰まるアテローム血栓性梗塞になります。また、くも膜下出血とも関係があり、先天的に脳動脈にあるこぶ(動脈瘤)が、高血圧で大きくなって破れ、脳の表面(くも膜下腔)に出血するのです」
ほかにもありますか
 「糖尿病です。健康な人の3倍以上も脳梗塞になりやすく、糖尿病予備軍でも同じだと考えられています。高血糖が続くと、動脈壁内に糖がしみ込んで動脈硬化が促進され、動脈が細くなるうえ、血小板の凝集作用が高まって血栓ができて詰まるのです。そして、高脂血症。中でも悪玉 LDL コレステロール値の高い人は、全身の動脈硬化を起こしやすく、アテローム血栓性梗塞を発症しやすくなります。心臓病もそうです。特に心房細動という不整脈があると、心臓内で血栓ができやすく、それがはがれて脳で詰まり、心原性脳塞栓症になります。また、高血圧、糖尿病、高脂血症は心房細動の原因となることがあります」
生活面で気を付けなければならないことを教えてください
 「高血圧、糖尿病、高脂血症はどれも生活習慣病なので、悪い生活習慣が影響を及ぼします。例えば、喫煙は血圧を上げ、ニコチンが動脈硬化を進めます。また一酸化炭素を吸い込むことで赤血球が増えて、血液がドロドロになります。大量飲酒は高血圧を起こしますから、1日に日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2杯までにしてください。また肥満も高血圧、糖尿病の原因なので要注意です」
では、脳卒中になりやすい人は?
 「60歳以上の男性で、家族に脳卒中の病歴があるという人が多いようです。また、危険因子が多いほど心臓血管病を発症しやすいこともわかっています。例えば、高血圧が1つ増えただけで約5倍、それに高脂血症が加わると21倍、さらに糖尿病、喫煙、心臓肥大で約70倍にもなるというデータがあります。危険因子を1つでも減らすことが大切ですね」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて