このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年11月掲載
30.狭心症と心筋梗塞
 日本人の3大死因の一つ、心臓病。中でも生活習慣病といわれる『虚血性心疾患』が増えています。その症状について、国立循環器病センターの宮武邦夫副院長に聞きました。
虚血性心疾患とは、どんな病気ですか
 「心臓は24時間休みなく収縮と拡張を繰り返し、血液を循環し、酸素と栄養素を全身に送っています。心臓が働くためにも、酸素や栄養素が必要ですが、これらを運ぶ冠状動脈にコレステロールがたまって動脈硬化が進むと、内側が狭くなります。すると、心臓は酸素不足の“虚血”状態になり、虚血性心疾患といわれる、狭心症や心筋梗塞が起こります」
狭心症とは?
 「冠状動脈が75〜90%ほど狭くなり、心臓に負担がかかると一時的な虚血が起こり、突然胸が痛くなる病気です。心臓への負担が減って、酸素が十分に送られれば、痛みは1〜5分、長くても15分以内には治まります。胸が痛むといっても心臓がある左胸ではなく前胸部の、いわゆるネクタイのあたりが、圧迫されるような、締め付けられるような感じで、胃から頸部、左肩が痛い、あごがだるいという人もいます。痛みの起こり方にはタイプがあり、走る、階段を登る、重い荷物を運ぶ時など心臓に負担がかかるときだけ起こるのが『労作性狭心症』。動いたときは平気で、夜中や明け方に床の中で痛む『安静時狭心症』。また、これらが進行した『不安定狭心症』は、ほんの軽い動きや安静時でも痛むうえ、発作回数も多くなり、心筋梗塞に移行しやすくなります」
では、心筋梗塞は?
 「冠状動脈が動脈硬化や血栓で100%塞がって、長時間の虚血が続き、末梢の心筋の壊死や、場合によっては命を落とすこともあつ病気です。狭心症より強い痛みが15分以上、通常は数時間続き、冷や汗をかいたり、死の恐怖を感じるという人もいます。発作が起きて病院に到着するまでに約20〜30%もの人が亡くなりますが、専門病院に到着すれば死亡率が4〜10%に下がります。さらに3〜6時間以内の早期治療だと、障害が軽くて済みます。また、心筋梗塞を起こした人の2〜3割には、1日ほど前に、前触れの狭心症の痛みがあるので、この段階で治療できれば、心筋梗塞を防げます。胸が痛んだら、すぐ治まったからと安心せず、一刻も早く病院に行くように心掛けてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて