このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年11月掲載
31.危険因子
 「狭心症」と「心筋梗塞」、いわゆる虚血性心疾患の原因とその危険因子について、国立循環器病センターの宮武邦夫副院長に聞きました。
まず、虚血性心疾患の原因を教えてください
 「まだ、完全にはわかっていませんが、冠状動脈の動脈硬化が原因だと考えられています。血管の内皮にコレステロールなどがたまって動脈硬化になり、狭くなって虚血が起こると狭心症になります。また、動脈硬化の内皮細胞が何らかの原因で傷ついて破れると、血の塊(血栓)を作って、破れを修復しようとします。ところが、その血栓が大きすぎて、冠状動脈を完全に塞いでしまうと、急性心筋梗塞を起こすのです」
その危険因子は?
 「高血圧、高脂血症、喫煙が3大危険因子といわれています。高血圧は、細い動脈だけでなく、太い動脈の硬化も進める重大な危険因子。特に収縮期血圧が140(mmHg)以上、拡張期血圧が90以上だと心臓病になりやすく、血圧が高いほどそのリスクは増えます。そして高脂血症は、総コレステロール値が220(mg/dl )以上、悪玉のLDLコレステロール値が140以上、善玉のHDLコレステロール値が40以下の場合は、動脈硬化を促し、狭心症や心筋梗塞のリスクが増えます」
たばこの影響は?
 「1日20本以上の喫煙者では、虚血性心疾患の発症が50〜60%も高くなります。たばこが悪いのは、ほかの危険因子にも影響をもたらす点で、血圧を上げる、悪玉のLDLコレステロールを増やす、善玉のHDLコレステロールを減らすなどが挙げられます。さらに、ニコチンによって交感神経系ホルモンのカテコールアミンの分泌が増加し、内皮細胞がダメージを受け、血管が収縮したり、血液を固まらせ、冠状動脈を塞ぐ原因にもなります。喫煙は本人ばかりか、周りで煙を吸わされる『受動喫煙者』にも健康被害を与えていることを忘れないでください。これらのリスクも禁煙すれば減少するので、1日も早い禁煙を勧めます」
ほかにも危険因子はありますか?
 「糖尿病と肥満です。どちらも高血圧や高脂血症を起こしやすく、糖尿病予備軍でも同じなので気をつけましょう。また、危険因子は相互に関係し、増えれば雪ダルマ式にリスクが高まります。逆に一つでも減らせばよい影響も広がるので、できるだけ減らすように心掛けてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて