このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2003年12月掲載
37.野菜と果物、何をどれだけ食べれはよい?
 がん予防には、野菜と果物が効果的、と前回紹介しましたが、何をどれだけ食べたらよいのでしょうか。東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
どんな野菜や果物にがん予防の効果があるのですか
 「種類を特定して、この野菜がよいとか悪いということではなく、総合的に野菜と果物がよいということです。健康情報などで、ブロッコリーのスルフォラファンという成分が、がんを予防するなどといわれていますが、それはまだ基礎研究の段階で、人での臨床試験で効果が確かめられていないのです。さらに、特定の成分ばかりをとり過ぎると、予防どころか有害になる可能性も否定できません。また、がん予防と無縁と思われていた食べ物に、実はとても有効な未知の成分があるかもしれません。ですから今の時点では、さまざまな種類を取り混ぜて食べておく方がよいでしょう」
量はどうですか
 「1997(平成9)年に世界がん研究基金とアメリカがん研究機関が提言した『がん予防のための14か条』では、野菜と果物を毎日400〜800g食べるように勧めています。毎日この量を食べられればよいのですが、そこまで食べなくてもよいのでは、という研究もあります。私たちと厚生労働省による、日本人約4万人の胃がん研究ですが、野菜や果物を『週に1日未満』しか食べない人たちに比べ、『週1〜2日』の人たちでは、発生率が約20〜30%低くなりました。しかもこの結果は、食べる回数が『週3〜4日』『毎日』に増えても同じでした。ほかのがんについては分かりませんが、胃がんでは、多く食べたからといってその分リスクが下がるわけではないようです」
20〜30%のリスク低下とは、どう理解すればよいのですか
 「健康情報などで言われる『がんが消滅』『有効率96.8%』などを期待する人には、がっかりする数字かも知れませんが、野菜や果物といった日常の食べ物でがん予防できるのなら、とても意味のあることだと思います。しかも、この研究の『週に1日未満しか食べていない』という人は対象者のわずか8%。つまり、豊かな食生活の日本では、ほとんどの人が今食べている量でがんを予防できる可能性があると考えられます。もし、野菜や果物をあまり食べていないという人がいたら、週に1〜2日でも食べるように心掛けてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて