このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年01月掲載
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
 日本人のがん死亡率第1位は肺がんで、1年間に男性約4万人、女性約1万5000人が亡くなっています。生活習慣との関係について、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
肺がんは男性に多いようですが、どうしてですか
 「最も関係のはっきりしている危険因子は喫煙です。男性の喫煙率が約50%、女性は約12%なので、この差が死亡人数に顕著に表れているのでしょう。男性の肺がんの7〜8割は喫煙が原因とも言われていますし、喫煙者では肺がん発生率が4〜5倍も高いのも事実です。しかも、喫煙開始年齢が早いほど肺がんになりやすいのです。さらに悪いことに、自分では吸わなくても煙を浴びている、受動喫煙者にも悪影響を及ぼし、喫煙者との同居は、約25%もリスクが高くなると考えられています。自分のためにも周りのためにも、肺がん予防にはたばこをやめることです」
食べ物では予防できないのでしょうか
 「1997(平成9)年の世界がん研究基金とアメリカがん研究の報告書『食物栄養とがんの予防』では、『野菜、果物は確実にリスクを下げる』といわれ、中でも食事からのカロチン類がよいとされていました。が、昨年の世界保健機関(WHO)報告書では、野菜、果物は胃、大腸がんなどのリスクを恐らく確実に下げるとされていたものの、肺がんについての記載はありませんでした。たばこが悪いというのは昔も今も明らかですが、野菜や果物については、研究結果が変わりつつあるようです」
さらに、最新の研究で分かってきたことがあるそうですね
 「昨年12月と1月10日に欧米から報告されたばかりの、いずれも40万人を越える大規模な2つの研究です。それによると、果物を多く食べている人では2〜4割ほど肺がん発生率が下がるが、野菜はあまり関係ないという結果でした。以前は緑黄色野菜がよいといわれていましたが、今では果物の効用が注目されていますね」
日本人は喫煙率が高いのに、肺がん死亡率が欧米の6割と低いようですが、食生活が関係していますか
 「魚がその要因の一つに挙げられ、週に3回以上食べると発生率が下がるという調査もありますが、まだ仮説の段階ではっきりしたことはわかっていません。やはり、肺がんの予防には禁煙が第一ということです」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて