このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年01月掲載
40.胃がん 減塩と検診の勧め
 日本人に最も多いがんは、胃がん。しかも日本は世界有数の胃がん大国です。食生活との関係について、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
胃がんの発生と食生活には、どんな関係があるのでしょうか
 「昔から、塩分摂取が多いと胃がんになりやすいといわれています。世界保健機関(WHO)は昨年、『塩と塩漬食品が恐らく確実にリスクを上げる』と報告しています。また、国立がんセンターの研究でも、塩分摂取の多い地域ほど胃がんでの死亡率が高くなっています。例えば、1日の塩分摂取量が約8gの沖縄県のある地域に比べて、約13gの秋田県のある地域では、3倍という結果でした」
では、予防に効果がある食べ物はありますか
 「『食事からのビタミンCが恐らく確実にリスクを下げる』と1997(平成9)年に世界がん研究基金とアメリカがん研究機関『食物栄養とがんの予防』で報告しています。また、WHO は『野菜と果物が恐らく確実にリスクを下げる』と言っています」
緑茶が胃がんを予防すると聞きますが…
 「日本では一般的な話ですが、国際的にはそうではありません。『食物栄養とがんの予防』の報告書では、緑茶の胃がん予防効果は『可能性にとどまる』程度です。私たちが行った宮城県の約2万6000人を9年間追跡した調査でも、1日1杯未満しか飲まない人と比べて、5杯以上飲んでいても胃がんの発生率は下がらないという結果でした。このほかの日本人の大規模研究でも、緑茶は胃がんのリスクを上げもしないし、下げもしないという傾向にあるようです。胃がんを予防したいのなら、塩分を控え、野菜と果物を多く食べること。そして、検診を定期的に受けることが大切です」
検診は有効なのですか
 「日本の胃がん診断技術は世界一です。昔から胃がんが多かった日本では、その分、診断や治療技術が進んでいるのです。逆に発生が少ないアメリカでは、いまだに不治の病。5年生存率も20%程度で、患者の大部分は亡くなっています。ですから、もし食べ物で防げなかったとしても、定期的に検診を受けて早期発見できれば、助かる可能性が高いのです。“人間ドック”や“健康診断”でも見つけることはできますが、より専門的な角度から診断できる“胃がん検診”の受診をお勧めします」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて