このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年02月掲載
43.乳がん(2) 女性のがん予防と検診
 女性特有のがんである、乳がんと子宮がん。その予防と検診の重要性について、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
乳がん予防では、何が大切ですか
 「検診です。しかも“マンモグラフィー”という乳房エックス線撮影が効果的。現在は、医師が乳房を触って調べる“視触診”が一般的な検診として普及していますが、これだけでは、死亡率が下がらないことがわかっています。一方、マンモグラフィーを受けていた方が、死亡率が低くなるという研究結果があります。すでに50歳以上の検診では、マンモグラフィーと視触診を併用していますが、30〜49歳は視触診のみなので、厚生労働省は40歳以上もマンモグラフィーの併用を検討しています」
乳がんも高齢者に多いのですか
 「がんというと高齢者の病気で、年を取れば取るほどかかりやすいと思われていますが、乳がんは違います。30代以降の比較的若い世代から多く見られ、ピークは40代後半。40歳以上になったら、積極的にマンモグラフィーを含む乳がん検診を受けてください。そして、たまたま自分でしこりを見つけられたら、精密検査を受けましょう」
大豆の成分イソフラボンに、予防効果があるとよく聞きますが…
 「大豆製品の摂取量が多い日本人に乳がんが少ないことから注目されています。昨年発表された国立がんセンターの日本女性2万人の調査では、閉経後の女性でみそ汁などからのイソフラボンの摂取量が多くなるほど発生率が低くなっていました。とはいえ、サプリメントで大量にとったりすると、害を及ぼす危険性も残っているので、気をつけてください」
では、子宮がんについて教えてください
 「日本人女性に多いのは、子宮の入り口付近の頸がんです。30代から増え始めて50代がピークですが、最近は20代での罹患が増え、問題になっています。原因のほとんどが性交渉でのヒトパピローマウィルス感染。検診が有効なので、現行の30歳以上を25歳に引き下げようという動きがあります。また、子宮の奥の体がんは、この50年で発生率が2倍に増えました。閉経後の50代後半から60代前半にかかる人が最も多く、肥満がリスクを増やすことがわかっています。食事や運動に気をつけ、太り過ぎないように心掛けましょう」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて