このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年02月掲載
44.がんの再発や二次がん がんになってからの食事
 がん予防は大切ですが、すでにがんになってしまった人が再発や新たな別のがん(二次がん)を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
再発や二次がんを防ぐ、食生活のポイントはありますか
 「がんになってしまっても、健康な人同様、エネルギーや栄養素をきちんととることが大切です。かつて絶食や食事制限をすることで、がん細胞への栄養を断てば、増殖を抑えられるという考えもありましたが、今ではこの方法は科学的に支持されてはいません。むしろ飢餓状態は有害であることが、最近の研究や臨床によって明らかになっています。ですから、がん患者さんの場合も、炭水化物、タンパク質、脂質などの栄養素はもちろん、健康体重を維持するための十分なエネルギーをしっかりとってください」
ほかにもありますか
 「アメリカの対がん協会は、食事療法などの生活習慣とがん患者の健康の関係についてまとめた指針を2001(平成13)年に出版し、昨年9月には、その後の研究を取り入れた改訂第2版を出しました。それによると、確実にがんの再発を予防できるという生活習慣は、残念ながらありませんでした。けれども、がんの再発予防の可能性があるというものには、『健康体重の維持』『運動量の増加』『肉などの飽和脂肪の摂取量を減らす』『野菜と果物の摂取量を増やす』などが挙げられていました。これらは、再発や二次がんのほか、がん以外の病気の予防についても、効果が期待できるので、生活に取り入れてみてはいかがでしょう」
健康な人のがん予防のポイントと同じと考えられますが…
 「基本的には、健康な人の生活習慣の注意が当てはまります。というのも、胃がんになった人が肺がんなどになる、二次がんの可能性もあるわけですから、これを予防する必要があるのです。ただ、再発や二次がん予防という切実な問題の研究は、世界的にまだ始まったばかりで極めて少ないのが現状。例えばアメリカのがん臨床医学の大きな学会で、昨年までの5年間に報告された1万5000件の研究のうち、食生活と栄養に関する研究は、わずか25件しかありませんでした。今後の研究の進歩によって、がん患者さん達の健康に役立つ生活習慣が、明らかにされていくことに期待したいですね」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて