このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年02月掲載
45.がんの健康情報
 「がんに効く」「がんが治る」などといって出回る健康情報。「がん」の最終回は、これらの情報を果たしてどこまで信じてよいのか、東北大学医学部の坪野吉孝助教授に聞きました。
がんのどんな情報に注意したらよいのですか
 「がんの標準的な治療法には、外科手術、抗がん剤を使った化学療法、放射線療法などがあります。こうした通常野の治療以外の健康食品や民間療法を“代替療法”と呼びますが、がん患者さんの多くが関心をもち、実際に利用している人もいます。けれども、これらのほとんどがきちんとした科学的根拠に基づいていないのも事実。特に『極端なエネルギー制限をする』『1つの食品や成分を大量にとる』『通常の治療をやめて特定の代替療法だけを行う』などは、かえって病状を悪化させたり、健康を害する危険があるので勧められません」
ほかにもありますか
 「サプリメントのとり方に注意が必要です。まずビタミンA、Cなどの抗酸化物質ですが、放射線治療や化学療法の一部は、活性酸素を発生させてがん細胞を攻撃し、治療効果を発揮します。ところが、抗酸化物質をサプリメントとして大量にとると、かえって活性酸素の作用を弱めてしまうので、特に気をつける必要がありますね」
乳がんとの関係が注目されている大豆サプリメントはどうですか
 「大豆製品に含まれる植物性エストロゲンが、女性ホルモンのエストロゲンの働きを抑えて、乳がん予防につながるという報告があります。ところがその一方で、女性ホルモンのエストロゲンと化学構造が似ているので、エストロゲンの過剰摂取は、乳がんのリスクを高めるという考え方もあり、まだはっきりと結論が出ていません。今の段階では、サプリメントで大量にとるのは、やめておいたほうがよいでしょう」
最後にがん予防のまとめをお願いします
 「予防の基本は生活習慣です。エネルギーのとり過ぎに気をつけ、肥満を避けてください。さまざまな果物と野菜を食べることが大切ですが、サプリメントに頼らずに食品からとりましょう。また、牛、豚肉に偏らないこと。塩分を控えること。さらに、たばことアルコールをやめ、適度な運動が必要です。そして、氾濫している不確かな健康情報に惑わされないように、気をつけてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて