このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年03月掲載
46.尿酸とは
 「日本人に痛風なし」といわれたのは明治時代。現在、痛風の患者数は50〜60万人、予備軍の高尿酸血症は数百万人ものぼります。その現状を、東京慈恵会医科大学の細谷龍男教授に聞きました。
まず、尿酸とはどんなものですか
 「私たちの体は60兆個もの細胞から構成され、細胞の核には“核酸”という成分があります。この核酸は、細胞が新陳代謝を繰り返したり、エネルギーを使ったりしたときに、“プリン体”へと分解され、最終的にはこれ以上分解されない老廃物“尿酸”として尿中に排泄されています。また、プリン体は食べ物からも体に取り入れられ、同様に尿酸に分解されています」
高尿酸血症とは、どんな状態ですか
 「健康な人の場合、体内の尿酸の量はほぼ一定で、毎日半分が作られては排泄され、バランスをとっています。ところが、食べ物からの量が多くて尿酸が作られ過ぎたり、腎臓の機能が落ちて排泄される量が少なくなったりすると、体の中にたまります。体にたまる量が多くなればなるほど血液中に増え、その値が7mg/dL以上になった状態を高尿酸血症といいます」
なぜ患者数が増えたのですか
 「高尿酸血症には3種類あり、食事からのプリン体が多く、尿酸が作られ過ぎる“尿酸産生過剰型”、腎臓の尿酸排泄能力が弱くなった“尿酸排泄低下型”。そして2つを合わせた“混合型”が増えています。プリン体の多いレバーや白子などを食べ過ぎたり、日常的な過食で尿酸が増え、その分の排泄が間に合わないタイプです」
患者の95%以上が男性で、若年化が進んでいるということですが…
 「40年前は“ぜいたく病”といわれ、50代の美食家に多かったのですが、今のピークは30代。若いころからおいしい物を食べ、社会人になれば毎日お酒を飲み、運動不足、肥満が重なると、20代からでも発症します。放っておくと痛風になるので、早目に尿酸値を下げることが重要です」
男性だけの病気ですか
 「女性ホルモンに尿酸排泄作用があるので、閉経前の女性は尿酸値が低く、高尿酸血症になりにくいといえます。ただ最近、若い女性がむくみや肥満を気にして利尿剤ややせ薬を飲み、尿酸の排泄が悪くなっていることがあります。高尿酸血症の原因になるので、気をつけてください」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて