このコーナーは2003年4月より産経新聞に連載されたものを転載しています。
2004年03月掲載
47.動脈硬化との関係
 “痛風予備軍”の高尿酸血症は数百万人。尿酸値が高いと、痛風になるだけでなく、動脈硬化の危険因子にもなります。予防の重要性について、東京慈恵会医科大学の細谷龍男教授に聞きました。
まず、尿酸値と痛風との関係を教えてください
 「尿酸値が高いまま5〜10年も放っておくと、痛風になります。尿酸はもともと溶けにくい物質なので、体内に尿酸が増え過ぎて溶けきらなくなると、いろいろな所に沈着します。最も多いのが足の親指の関節で、ある日突然、真っ赤にはれあがり、七転八倒するような激しい痛みが一週間ほど続きます。これが急性痛風関節炎、俗に“風が吹いても痛い”といわれる痛風発作です」
ほかにはどんな症状がありますか
 「尿酸が関節だけでなく、皮下にたまり、こぶ状になったものが痛風結節です。関節炎とは違って痛みも炎症もないので、気づかないうちに大きくなることもあります。また、尿中で固まると尿路結石に。さらに、尿酸が沈着しやすい腎臓では、腎障害を起こし、腎機能が低下して、腎不全、尿毒症に進み、死に至ることもあるので、注意が必要です」
高尿酸血症になると、これらの症状が出るのですか
 「高尿酸血症だからといって、すぐに痛風関節炎や結節になるわけではありません。むしろ、尿酸値は高いけれど、まだ何の症状も出ていない『無症候性高尿酸血症』の人たちの方が多いのです。このいわゆる予備軍のうちに、食生活などの生活習慣を改善したり、早期治療して、痛風や尿路結石、腎障害を予防することが重要なのです」
動脈硬化の危険因子にもなるようですね
 「高尿酸血症の人は、過食、運動不足、肥満の傾向にあり、高脂血症、高血圧、糖尿病などを合併します。これらは、それ自体では死に至りませんが、お互いが密接な関係で発症し、動脈硬化を促進して虚血性心疾患などを起こすので、シンドロームXと呼ばれています。今まで高尿酸血症は、これらを合併して動脈硬化を促進すると思われていましたが、最近、尿酸値が高いこと自体が動脈硬化の危険因子になるとわかり、シンドロームXの一つに加えようと考えられています。ですから、尿酸値をあげないようにすることが大切で、その予防法について、次回お話しましょう」

(取材/文 (株)エフシージー総合研究所 大戸一恵)

目 次
1.治療から予防へ
2.食習慣と寿命
3.健康日本21と栄養
4.「一無、二少、三多」の
  ライフスタイル

5.健康と運動
6.健康と休養
7.健康とアルコール
8.健康とたばこ
肥 満
9.肥満とは
10.肥満のメカニズム
11.肥満と病気
12.肥満の予防
糖尿病
13.糖尿病とは
14.2型糖尿病と生活習慣
15.糖尿病予備軍
16.血糖コントロールと食事
17.合併症・小児糖尿病
  ・妊娠糖尿病

高脂血症
18.高脂血症と生活習慣
19.高脂血症と動脈硬化
20.動脈硬化になりやすい場合
21.中性脂肪と動脈硬化の関係
高血圧
22.血圧とは
23.高血圧とは
24.高血圧と生活習慣
25.高血圧と高脂血症
脳卒中
26.脳卒中とは
27.危険因子
28.予防法
29.一過性脳虚血発作
虚血性心疾患
30.狭心症と心筋梗塞
31.危険因子
32.アルコールは毒?薬?
33.虚血性心疾患と生活習慣
が ん
34.がんの現状
35.がん予防と生活習慣
36.健康情報の信頼性
37.野菜と果物、
  何をどれだけ食べれはよい?

38.サプリメントは有効?
39.肺がん 禁煙と果物の勧め
40.胃がん 減塩と検診の勧め
41.大腸がん 原因の半分は
  たばことアルコール!

42.乳がん(1)肥満とアルコール
43.乳がん(2)
  女性のがん予防と検診

44.がんの再発や二次がん
  がんになってからの食事

45.がんの健康情報
高尿酸血症
46.尿酸とは
47.動脈硬化との関係
48.食生活のポイント
49.生活習慣のポイント
50.読者からの質問に答えて