一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病とその予防

喫煙

タバコの三悪

 「タバコの三悪」とは、タバコによってからだに運び込まれるニコチン、タール、一酸化炭素です。いずれも身体に悪影響をもたらす有害物質であり、タバコについて「健康日本21」は、とくに若年者における喫煙をゼロにするという大きな目標を掲げています。

1.ニコチン
 糖代謝や脂質代謝に異常を引き起こし、糖尿病や脂質異常症などのリスクを高めます。中枢神経系の興奮と抑制が生じ、心臓・血管系への急性影響をもたらします。

2.一酸化炭素
 有毒物質。赤血球のヘモグロビンと強力に結びついて一酸化炭素ヘモグロビンを形成し、血液の酸素運搬機能を妨げます。これを補助するために赤血球が増えた状態(多血症)になります。すると、血液が流れにくくなり(いわゆるドロドロの状態)、血栓をつくります。

3.タール
 さまざまな発がん物質、発がん促進物質、その他の有害物質が含まれています。

喫煙によって生じる病気

 喫煙による煙には、約4,000種類以上の化学物質が含まれ、人体に有害なものは250種類を超え、発がん性の疑われるものは70種類を越えるといわれています。これらにより喫煙、および受動喫煙が、さまざまな病気の原因になっていることが、多くの研究から明らかになっています。

 喫煙と関係がある病気というと肺がんがよく知られていますが、それは氷山の一角に過ぎません。肺がんのほかに、喫煙により発病する確率が高くなったり、発病後に重症化しやすくなる病気として、歯周病、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫や慢性気管支炎。COPD)、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、咽頭がん、口腔がん、膀胱がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、歯周病などがあり、他にも関連性が示されている病気は枚挙にいとまがありません。

 日本人における予防可能な死亡の主要な危険因子は喫煙で、年間12〜13万人の人が喫煙により死亡しているとされます1)。また、受動喫煙による死亡者数は、年間約15,000人(肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群)2)と推計されています。

 このように、喫煙は本人だけでなく、家族や周囲の他人にまで大きな害を及ぼす可能性があることを知っておきましょう。

1) 池田奈由、他.なぜ日本国民は健康なのか THE LANCET 日本特集号
2)「たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究」平成27年度報告書



*喫煙習慣・飲酒習慣・食習慣・運動習慣・BMIから今後10年の「がん罹患リスク」を判断(国立がん研究センター 社会と健康研究センター)

禁煙の効果

 長年タバコを吸っていたとしても、何歳であっても禁煙するのに遅すぎることはありません。「30歳までに禁煙すれば、寿命が約 10 年長くなる」「50 歳では寿命が 6 年長くなる」「60 歳では寿命が 3 年長くなる」といわれています。

 禁煙による健康への効果は速やかに現れ、大きく、禁煙すると24時間で心臓発作のリスクの低下がみられます。禁煙後1ヵ月たつと、せきや喘鳴などの呼吸器症状が改善します。さらに禁煙後1年たつと肺機能が改善し、禁煙2〜4年後には虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが約3分の1減少します。禁煙期間が長くなるほどがんにかかるリスクも低下し、5年後には肺がんのリスクが低下します。禁煙して10〜15年経てば、様々な病気にかかる危険性が、非喫煙者のレベルまで近づくことがわかっています。

数字で見る喫煙

  • 現在習慣的に喫煙している人は、17.8%(男性 29.0%、女性 8.1%) 詳しく見る ▶
  • 喫煙者の死亡率は、非喫煙者と比べて
    男性1.6倍、女性1.9倍1)
    詳しく見る ▶
  • 受動喫煙による肺がんのリスクは1.28倍、虚血性心疾患のリスクは1.3倍、脳卒中のリスクは1.24倍2) 詳しく見る ▶
  • 1) 国立がん研究センターによる多目的コホート研究より
    2) 受動喫煙(e-ヘルスネット、厚生労働省)

タバコ(ニコチン)依存症の予防と治療

 タバコ(ニコチン)の依存性はヘロインやコカインと同等以上とされています。ですから喫煙が習慣化してしまった後に、本人の克己心(こっきしん、己に打ち勝つ意志)だけて禁煙を成功することはなかなか困難であることは否めません。しかし今では禁煙をサポートする薬がありますし、禁煙外来のある医療機関も少なくありません。これらを利用するなどして、「タバコをやめようかな」と思ったら先延ばしせず、禁煙を始めましょう。また、ご家族など周囲の方も、ぜひ患者さんの禁煙をサポートしてください。

 一般的にニコチンの離脱症状は最初の3日間が強く、徐々に薄れていき、3週間ほどでほぼなくなります。それとともに、味覚が改善したり、咳やたんが減ったり、呼吸が楽になったりと、禁煙の効果が現れてきます。

 近年普及してきた加熱式タバコも、主流煙には従来の紙巻きタバコとほぼ同レベルのニコチンが含まれます。吸った時の血液中のニコチン濃度は、紙巻きタバコよりわずかながら少ないとする報告もありますが、同じように有害性があると考えられます。周囲の人への影響についてはまだ不明点があるものの、有害成分の種類は従来のタバコと同じです。さらに、従来のタバコにはない未知の有害成分がこれから見つかる可能性も否定できないことから、世界保健機構(WHO)は、「受動喫煙者の健康を脅かす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。日本呼吸器学会は、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する見解」として、「使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式タ バコや電子タバコの使用は推奨できない」としています。

 なお、タバコ病の予防ということについて言えば、最も効果があるのは「最初の一本を吸わないこと」です。最初の一本の喫煙はしばしば興味本位で行われ、とくに未成年が成人喫煙者のまねをして吸い始めることがよくあります。未成年の段階での喫煙は成人以上に依存性を来しやすく、喫煙期間も長くなるので、健康被害がより大きくなります。このようなかたちで次世代にタバコ病を引き継がないためにも、タバコを吸う姿を子どもたちに見せないようにしましょう。

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2019年11月 公開
2019年12月 更新

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