一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

どんな病気?

 COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease;慢性閉塞性肺疾患)という病名は、あまり聞き慣れないかも知れません。しかし、「肺気腫と慢性気管支炎の二つを合わせたもの」と聞ければ、「その病名なら知っている」という方も多いのではないでしょうか。肺気腫と慢性気管支炎の症状は一人の患者さんに重なって現れることが多いうえに、なにより、どちらも汚れた空気を長年吸い続けた結果、発病するという、原因が同じ病気です。そのため現在は国際的にCOPDという病名で統一されています。

 COPDでは、肺の内部が破壊されたり気管支が狭くなって、息苦しさ、とくに息を吐き出しにくいという症状が現れます。また、多くの場合、せきやたんが長く続きます。専門的には、気管支を広げる薬を用いても1秒率(空気を目いっぱい吸った後、可能な限り速いスピードで息を吐き出して、最初の1秒間で吐き出せた量を肺活量で割った値)が70パーセント未満で、それが他の病気によるものではないとき、COPDと診断されます。

 COPDは進行性の病気です。初めのうちは、階段を上るなどの運動時だけ症状が現れるので「年のせい」と見過ごしがちですが、次第に軽い動作でも息苦しくなってきます。そのうち、ふだんの身体活動量はさらに低下し、食事を摂るのも大変になって栄養状態が悪化したり、肺の障害から骨格筋の機能障害、栄養障害や心臓の合併症も出てきてしまいます。

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング 肺機能検査空気を最大に吸い込み、その後吐くことで肺の機能を調べます。
詳しい検査 吸入薬使用による肺機能検査 COPDを確定させるには、吸入薬を使用して正確に調べます。

検査は呼吸器内科、人間ドックで行われます。

数字で見るCOPD(慢性閉塞性肺疾患)

  • 40歳以上のCOPD推計患者数は530万人 詳しく見る ▶
  • COPDの年間医療費は、1,447億円 詳しく見る ▶
  • COPDによる年間死亡数は、1万8,523人 詳しく見る ▶
  • COPDは世界の死因の第4位1) (2030年までに第3位になると予測されている)
  • COPDの患者さんが肺がんになる確率は、
    COPDでない人の5倍2)
  • 1) The top 10 causes of death(WHO)
    2) Skillrud DM, et al: Ann Intern Med. 105: 503-7,1986

COPDの予防と治療

 喫煙などで傷付いた肺を元に戻す方法はありません。そのためCOPDと診断されたら、その時点で残っている肺の働きをそれ以上低下させないようにすることが大切です。それがCOPDの治療です。

 『どんな病気?』のところでも書きましたように、COPDの原因は「汚れた空気を長年吸い続けること」です。大気汚染や煙の出る暖房器具などが原因のこともありますが、先進国ではこれらの問題は解決済みで、原因のほとんどはタバコです。実際、患者さんの約9割は喫煙者か元喫煙者です。

 ですから、COPDの予防法はタバコを吸わないことに尽きます。そしてCOPDの治療法も、タバコを吸わないことです。実際の治療では、禁煙とともに、症状にあわせて気管支を広げる薬や痰の切れを良くする薬などが処方されることがあります。薬のほかに、息を吐くときに口をすぼめたり、呼吸器リハビリテーション(ふだん使っていない筋肉を使って呼吸をしやすくする)なども、症状の改善効果があります。ただし、それらの薬の効果は、タバコを止めることによって得られる効果に及びません。なお、喫煙していない人では、身体活動量を増やすことが勧められます。

 なお、かぜやインフルエンザなどをきっかけに病状が急速に悪化する「急性増悪」という時期があります。これは命にかかわることもありますし、繰り返すと病気の進行が速くなります。ときには命にかかわることもありまするので、できるだけ避けなければなりません。症状が悪化したと思ったらすぐに受診することはもちろん、インフルエンザの予防接種は毎年受けてください。 また、COPDの患者さんは喫煙歴が長いことから、さまざまながんにもなりやすので、がん検診も欠かさず受けるようにしましょう。 また、COPDの患者さんは喫煙歴が長いことから、がんにもなりやすので、がん検診も欠かさず受けるようにしましょう。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★★
COPDの患者さんは肺がんになる危険性がかなり高いばかりでなく、肺がんになってしまったあとの治療にもCOPDが影響します。
★★★
喫煙
COPDの最大の危険因子は喫煙です。

さらに詳しく

2017年05月 公開
2019年11月 更新

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慢性閉塞性肺疾患(COPD)による年間医療費は
1,447億円 平成29年度(2017)「国民医療費の概況」より
2019年10月30日
慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡数は年間1万8,523人 平成29年(2017) 「人口動態統計(確定数) の概況」より
2019年10月30日
慢性閉塞性肺疾患(COPD)による年間医療費は1,467億円 平成28年度(2016)「国民医療費の概況」より
2017年01月26日
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慢性閉塞性肺疾患の年間医療費は1,460億円 平成26年度 国民医療費の概況
2016年10月13日
慢性閉塞性肺疾患(COPD)による死亡数は年間1万5,756人 厚生労働省「平成27年 人口動態統計(確定数)の概況」より
2016年04月19日
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の総患者数は26万1,000人 厚生労働省「平成26年患者調査の概況」より
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喫煙者の割合は男性32.2%、女性8.5% 平成26年 国民健康・栄養調査
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