一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
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おいしく食べる 楽しくはかる 生活習慣病講座

11.肥満と病気

 風邪は万病のもといいますが、今は肥満が問題です。肥満と病気について、肥満の研究者で日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に聞きました。
なぜ、肥満が問題なのでしょうか
 「昔は結核を中心に細菌感染による病気が多く、感染症が健康障害をもたらす最大要因でした。ところが今では、死因の3分の2をがんと動脈硬化が占め、その初期段階に肥満が大きく関わっています。また、動脈硬化につながる糖尿病、高血圧、高脂血症とこれらを引き起こす肥満は『死の四重奏』とよばれ、肥満は生活習慣病やさまざまな病気をもたらすのです」
肥満症という病気もあるようですね
 「日本肥満学会では、肥満〈BMI=体重kg÷身長m÷身長m=の数値が25以上〉で、肥満に関連する健康障害があり、医学的に減量が必要な病態を肥満症と定義しています。ここでいう健康障害とは、2型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、整形外科的疾患、月経異常の10種類です。また、BMIが25未満でも、へそ周囲が男性85cm、女性90cm以上で、内臓脂肪の過剰な蓄積があると、健康障害のリスクが高くなるので、肥満症とみなされます」
睡眠時無呼吸症候群も肥満が原因なのですか
 「ええ。今年2月に新幹線の居眠り運転で注目されましたが、過剰な脂肪が体だけでなく喉頭から頸部にまで蓄積し、呼吸障害を起こします。睡眠中はさらに気道が狭くなり、繰り返し呼吸が止まって低酸素状態になるため、睡眠不足で日中も眠いのです。実はこの睡眠時無呼吸症候群、車の運転中にも起こるので、運転免許症の問診項目でも『重度の眠気の症状を呈する睡眠障害』の有無が問われています。新幹線は自動的に停車しましたが、車は止まらないので、交通事故になったら大変危険ですね」
では、肥満を防げば病気も予防できますか
 「もちろんですが、特にBMI22前後、適正体重の維持が重要で、がんや動脈硬化などの罹患率が低くなります。また、肥満でなくても、20代女性の20%にみられるBMI18.5未満の『やせ』も問題。感染症、胃腸系の病気、貧血、風邪、生理不順などになりやすいのです。肥満でもやせでもなく、適正体重を維持し、病気を予防してください」

2003年06月 公開

※記事内容、肩書、所属等は公開当時のものです。ご留意ください。

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