一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 JPALD
生活習慣病とその予防
主な生活習慣病
生活習慣病

高尿酸血症/痛風

どんな病気?

 痛風は「風が当っただけで痛い」と表現されるほどの激痛が発作的に起こる関節炎です。主に足の親指の付け根付近に生じます。患者さんの多くは30〜50代の男性で、女性が痛風になることはめったにありません。

 痛風発作の激しい痛みは数日間続き、手当ての有無にかかわらず、やがて治まってくるのがふつうの経過です。このため患者さんの中には、発作の原因である「高尿酸血症」を治療せずにいる人が少なくありません。高尿酸血症そのものは、全く自覚症状がない病気だからです。

 高尿酸血症とは、からだの新陳代謝で発生する老廃物である「尿酸」が増え過ぎている状態です。尿酸コントロールには「6-7-8のルール」が適応されます。尿酸値が7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断され、9mg/dl以上もしくは8mg/dl以上で合併症(腎障害・高血圧・糖尿病・肥満など)を伴うものについては薬物療法を含む治療が望まれます。治療している場合,尿酸値は6mg/dl以下にコントロールします。

 高尿酸血症のために体内で結晶化した尿酸は、関節や腎臓などに溜まります。関節に溜まった尿酸の結晶が痛風発作の原因となります。痛風そのものは短期間で治まっても、高尿酸血症を治さないことには体内の尿酸結晶はそのまま存在し続けます。

 その結果、痛風発作が再発したり、腎臓中の尿酸結晶が原因で腎臓病になったり、尿路結石ができたりといった、さまざまな合併症が起こります。また高尿酸血症の患者さんはたいてい、メタボリックシンドロームに該当し、動脈硬化が進行しやすい状態にあります

●発見・診断の検査
 検査項目解説
スクリーニング尿酸(血液検査)血液中の尿酸値を調べます。
詳しい検査尿酸クリアランス試験(血液・尿)、超音波検査など腎負荷型(産生過剰型)か排泄低下型か混合型かを調べます。また尿酸結晶の沈着の有無を調べます。

検査はかかりつけの内科医、詳しい検査は内科で行うことができます。健診としては人間ドックで行います。

数字で見る高尿酸血症/痛風

  • 高尿酸血症の推定患者数は1,000万人超
    痛風以外のリスクも明確に詳しく見る ▶
  • 30〜40歳代男性3割高尿酸血症1)
  • 痛風患者さんの37%メタボリックシンドローム1)
  • 尿酸値9mg/dL台だと、6mg/dL未満に比べて、
    5年間の痛風発作発症率が40倍1)
  • 尿酸値10mg/dL以上だと、6mg/dL未満に比べて、
    5年間の痛風発作発症率が60倍1)
  • 1)「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」(日本痛風・尿酸核酸学会)

痛風の予防と治療

 尿酸値を下げる具体的な方法の第一は減量です。高尿酸血症の患者さんの多くは太り気味で、その患者さんが減量すると、尿酸値も下がります。尿酸値だけでなく、治療前に異常値を示していた可能性が高い血清脂質値や血糖値、血圧も改善します。このような効果は、すべてメタボリックシンドロームの改善、動脈硬化の抑制につながります。

 減量のためには、適切なカロリーで栄養バランスのよい食事をとること、そして適度な運動を続けることが欠かせません。なお、運動の強さが強過ぎると、逆に尿酸値が高くなるので注意してください。

 減量に加えて、尿酸値を上げない工夫も必要です。例えばアルコール(とくにビール)を飲み過ぎない、体内で尿酸に変わる「プリン体」の多い食べ物(レバーなど)を食べ過ぎない、水分をよくとるといったことです。

 なお、高尿酸血症の治療を始めた後しばらくの間、尿酸値が変化(下降も含む)している期間は痛風発作が起きやすくなります。発作時には医師に処方された薬を飲み、対処してください。

 そして、高尿酸血症を治すことで痛風発作を予防できるだけでなく、痛風以外の合併症である腎臓病や尿路結石も予防できます。同時にメタボリックシンドロームを治療し、動脈硬化の進行を抑えることにもなります。

関連する生活習慣病

の数が多いほど関連が強いことを意味します。

★★★
高尿酸血症/痛風はCKDの原因になりやすく、かつ、CKDのために高尿酸血症/痛風になりやすくなります。
★★☆
肥満症やメタボリックシンドロームは、高尿酸血症/痛風の原因になりやすい病気です。
★☆☆
これらの病気は高尿酸血症/痛風の患者さんが併発しやすく、また併発した場合は、心臓や脳の血管の病気、腎臓の病気などの合併症が起こりやすくなります。

さらに詳しく

2015年12月 公開
2020年09月 更新

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2002年08月01日
7mg/dL が血清尿酸値の正常上限、高尿酸血症の場合6mg/dL 以下を管理目標に 日本痛風・核酸代謝学会「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第1版」発行
2000年06月17日
生活習慣を改善した理由、しない理由などが明らか 総理府「生活習慣病に関する世論調査」より
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